第 2 部 . 技術検討と事業性評価
8. 脱硝触媒の詳細情報
8.3 ダストの触媒摩耗への影響
排ガス中のダストによる脱硝触媒の摩耗への影響を調査するため、石炭灰を模擬した摩耗材(珪 砂)を用い、各種条件におけるハニカム脱硝触媒の摩耗率を測定した。脱硝触媒サンプルには、除 塵後の低濃度ダスト排ガス処理を想定し、ハニカム型高活性触媒(当社仕様、4.9 mmピッチ)を 選定した。摩耗率は、脱硝触媒サンプルを所定の形状に切り出し、摩耗試験装置(図 8-3参照)に 設置した後、触媒サンプル端面に摩耗材を含むガスを30分間吹き付け、試験前後の脱硝触媒サンプ ルの重量差を測定することにより算出した。摩耗試験用の摩耗材にはメジアン径が80 μm、52
Jojobera Maithon 国内(参考)
SiO2 53.9 56.1 59.1
Al2O3 30.2 30.0 21.9
Fe2O3 6.8 6.0 6.5
TiO2 2.7 2.6 1.8
K2O 2.2 1.8 1.1
CaO 1.8 1.3 6.1
P2O5 1.3 0.8 0.6
MgO 0.4 0.5 1.1
BaO 0.2 0.2 0.2
SO3 0.2 0.2 0.7
Na2O <0.1 0.1 0.4
FORM 1005-2 3
μm、20 μmの硅砂を用い、表 8-3に示すダスト濃度、ガス流速の条件にて摩耗試験を実施した。
図 8-3 磨耗試験装置
表 8-3 磨耗試験条件一覧
Test No. ダスト濃度
(g/Nm3)
ダスト平均粒子径
(μm) ガス流速
(Nm/s)
1 70 52 40
2 30 52 40
3 5 52 40
4 70 80 40
5 70 20 40
6 70 52 30
7 70 52 20
ダスト摩耗試験の結果より得られた、ダスト濃度と摩耗率の関係、ダスト粒径と摩耗率の関係、断 面ガス流速と摩耗率の関係をそれぞれ図 8-4、図 8-5 および図 8-6に示す。
FORM 1005-2 3
図 8-4 ダスト濃度と磨耗率の関係
図 8-5 ダスト粒径と磨耗率の関係
図 8-6 断面ガス流速と磨耗率の関係
FORM 1005-2 3
試験条件の範囲において、図 8-4および図 8-5に示すとおり、ダスト濃度が高いほど、またダスト 粒径が大きいほど摩耗率は直線的に増加する。その一方で図 8-5は、ダスト粒子が小さくとも、ダ スト濃度がある程度高ければ摩耗することを示している。また図 8-6に示すとおり、摩耗率はダス ト流速の3.8 乗に比例して増加する。従って、触媒摩耗を抑制するためには、触媒層へ到達するダ ストが、低濃度、小粒子径、低流速となる装置構成(設計)をすることが望ましい。
当社の脱硝触媒の商業実績、石炭灰の分析結果および摩耗試験結果から次のことが言える。
1) インド国内の石炭灰は日本国内の石炭灰に比べて粒径が大きく、50μm以上の粗大粒子を多く含 むことから、石炭灰それ自体の触媒摩耗への影響は大きいと考えられる。
2) しかし、マルチサイクロン(MC)と乾式脱硫或いは電気集塵機で除塵した後の脱硝では、ダス ト濃度は数 10 mg/Nm3であり、かつ祖大粒子が除去された微粒子であるため、摩耗への影響は ごく軽微と思われる。
3) 実際に当社商業実績において、上記レベルのダスト濃度、かつ SCR 設計ガス流速 2~3Nm/s の 領域では、ダストによる摩耗は無視できるレベルである。
4) 除塵をしないダスト濃度 100g/Nm3のケースは、摩耗試験結果から外挿して 20g/Nm3の数倍の 摩耗率を示すものの、この濃度領域では、部分的な閉塞と摩耗が同時進行すると考えられるため、
単に摩耗だけを推定することは難しい。
5) 日本国内の一般的な石炭火力発電におけるダスト濃度は 20g/Nm3程度であるが、当社の石炭火 力用脱硝触媒は、標準摩耗試験条件において摩耗率が約 14%以下に調整され、4~6 年の機械寿 命実績が認められている。
6) 本摩耗試験で使用した触媒サンプルは低濃度ダスト用触媒であるため、石炭火力用触媒と比較し て2倍程高い摩耗率であるが、商業機および実証機のダスト濃度は日本の約3桁低く、ほとんど 摩耗しないと予測されるため、4~6年の機械寿命は十分に期待できる。
FORM 1005-2 3