第 3 部 . 新環境規制に関する調査結果
9.4 新環境基準を遵守するための課題
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向けも含めた250GWの石炭火力全体では約3,000万トン/年が必要と試算されている。
一方、500MWユニットのFGDでは年間85,000トンの石膏が副生される見込みで、インド全体では
4,200万トン/年の石膏が生産されることになる。FGD導入による所内電力消費率の上昇は、ユニ
ット効率で1.0~1.5%の影響と予想されている。
表 9-8 FGD装置の設置が必要なユニット
ユニット数 容量(MW)
FGD設置が必要なプラント 482 170,931
2018-2022年でFGC設置検討中のプラント 415 161,552
窒素酸化物 (NOx)
新環境規制の規制値のうち600 mg/Nm3については低NOxバーナの利用など燃焼側での対応が可能 である。しかし、燃焼側の対応だけでは300 mg/Nm3および100 mg/Nm3の規制値は達成できず、
SCRやSNCR等の脱硝設備の追設が必要となる。ただし、海外で実用化されているSCRはダストを 多く含むインドの排ガス処理では実証されていない。またSCR導入による発電量の内部消費率上昇 も懸念される。
水銀
世界的に見ても水銀除去の確立された技術はないが、ESP、脱硫設備および脱硝設備において水銀 も除去されているため、新環境規制の基準を満たしている。
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30%低減可能である。特に、インドの2003年以前に稼働した500MW以下の火力発電設備におい ては、設計当時に十分な敷地面積が確保されていなかったため、FGD導入に必要な空間の確保が 困難である。従って、FGDの設備投資費用が確保できたとしても、設備導入の為の空間不足が問 題となり導入には至らないことが想定される。しかしながら、標準的な設計が施された500MW以 上の発電設備においては、空間不足がFGD導入の為の障壁となることは考えにくい。一般的に湿 式脱硫装置の設置スペースは、煙突手前の誘引ファンと煙突との間が使われる。
ファイナンスの制約
FGD導入にともなう費用を表 9-9に示す。この費用はNTPCの入札に基づくものである。参考ま でにNTPCによるFGD技術の比較一覧も表 9-10に示す。FGDの導入のための初期投資、および 発電所停止による経営状況の悪化は予見でき、設備導入に際し関税の優遇やMoPからの補助金が なければ発電所の経営者は設備投資費用の確保が困難である。
残余寿命が短い発電設備に対してFGDを導入することはさらに困難な課題と言える。FGD導入の ための空間の確保が可能な場合であっても、設備投資費用に見合った投資であるかが問題とな る。そのため、電力販売契約などの契約の見直しが必要となることが考えられる。CEAによると 27の発電設備が既に稼働後30年が経過しており、その設備容量の合計は5,301MWであるが、こ れらの発電設備にとって設備投資費用は大きなインパクトとなる。
表 9-9 インドにおける湿式FGD導入に要するコスト見積り
Wet FGD system Seawater FGD system
Capital cost, US$/MW 90,910 70,300
Fixed operating costs, cents/MWh 37.9 28.8
Variable operating costs, cents/MWh 0 0
Auxiliary consumption, % 1.5 1.25
FGD efficiency, % 90 90
(Source: Disease Control Priorities Third Edition, Injury Prevention and Environmental Health [2016])
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表 9-10 FGD 技術の比較
Wet FGD Dry FGD
Commercially
available range ~ 1,100 MW 300~400 MW single absorber
For novel integrated desulphurization (NID) each module of 75MW
Types 1) Seawater
2) Freshwater 1) Spray dry absorber (SDA)
2) Circulating dry absorber 3) NID.
SO2 removal efficiency
Upto 99 per cent Upto 99 per cent (90~95 per cent for SDA)
Capital cost 1) Seawater FGD: ~40 lakhs/MW
2) Freshwater FGD: ~50 lakhs/MW ~35 lakhs/MW Sorbent 1) Seawater FGD: No sorbent
2) Freshwater FGD: CaCO3
CaO/Ca(OH)2
Sorbent use Approximately 1.5~2 tonne limestone consumed per tonne SO2 removal
Approximately 0.75~1.5 tonne lime consumed per tonne SO2 removal Sorbent cost
(Rs/tonne) ~2000 ~6000
Water consumption
in m3/MWh 0.2~0.25 m3/MWh for power plants between 200~500MW;
0.25~0.3 m3/MWh for power plants between 50~200MW;
0.3~0.45 m3/MWh for power plants between 50~70MW
0.1~0.2 m3/MWh for power plants up to 200MW.
The semi dry system is not recommended for power plant > 200MW
Auxiliary power
consumption 1) Seawater FGD: 0.7~1.5 per cent
2) Freshwater FGD: 0.7 per cent 1~2 per cent Condition of
exixting stack Existing stacks to be modified in all
cases Existing stackes can be used without
modification FGD by-product 1) Seawater FGD: No by-product
2) Freshwater FGD: gypsum CaSO3/CaSO4: Has to be landfilled
Waste water Generates Doesn't generate
Erection period Up to 50MW: 12~14months 50~200MW: 14~18months 200~500MW: 18~24months
>500MW: 24~30months
Up to 50MW: 12~14months 50~200MW: 14~18months
Downtime Up to 50MW: 2~3weeks 50~200MW: 3~4weeks 200MW and above: 4~6weeks
4~6 months (due to
renovation/modification in existing PM control equipment such as bag filter/ESP)
Source: NTPC
*Assuming sulphur content 0.5 percent in coal and stoichiometric consumption of sorbents.
9.4.2 NOx排出基準に準拠する為の課題
SO2排出基準同様に2015年12月以前はNOxの排出に関る国家基準は存在していなかった。殆どの 発電設備がNOx排出量をモニターしていたものの、SCRやSNCR等の脱硝設備を有してはいなか った。新排出基準の発表以前より各発電所は国家公害防止員会(State Pollution Control Board,
SPCBs)によって発行された環境許可(Environmental Clearance, EC)、建設許可(Consent
to Establish, CTEs)等に基づきNOxの低減を実施していた。NOx排出量はプロセスおよび設備
の改修(バーナーにおける空気の多段化、燃料の多段化、煙道ガスの再循環等)または排出口に おける除去(SCR,およびSNCR)および抑制技術の採用(低NOxバーナー等)により低減可能で ある。NTPC、中央電力規制庁 (Central Electricity Regulatory Authority, CERC)、CEA等のス
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テークホルダーはインドの火力発電所は脱硝技術の導入、燃焼システムの変更等の大規模な投資 無しには新排出基準への準拠が困難であると考えている。脱硝技術の導入に関しては、脱硫技術 の導入で課題としてあげた設備導入スペースの不足、ファイナンスの制約に加え、技術的な課題 も残っている。
設備導入スペースの不足
脱硫技術に比べ、脱硝技術は巨大なスペースを必要とはしない。しかし、既存の火力発電設備に 脱硝設備を導入するには燃料や空気を通す配管のレイアウト、排ガスを通すダクトのレイアウト 等、プラントのレイアウト変更が必要となる。脱硝設備は高温での運転が必要であるため、エコ ノマイザーと空気予熱機の間に設置されることが通常であるが、スペースの制約が多いため、脱 硝設備を既設の発電設備に導入することは容易ではない。建設中の火力発電設備についても配管 やダクトレイアウトの変更が必要な可能性があるが対応は既設の発電所よりは容易と思われる。
ファイナンスの制約
NTPC、CEA、CERC等は脱硝技術に必要な資本コストを1MW当たり2万USD程度と見積もって
おり、500MWの発電設備では操業費は年間で370-440万USD程度増加すると試算している。これ
らのコストが各発電所の財務状況に与える影響は大きく、各発電所が電力販売契約(PPA)等の 既存契約の改訂を求める可能性もある。また残余寿命が短い発電設備に関しては脱硝設備関連の 投資が妥当かどうか商業的に見極める必要がある。
技術的な課題
SCRおよび低NOxバーナー技術がNOx排出量をコントロールする最も一般的な方法ではあるが、
これらの技術はインド産の石炭を原料とした火力発電所での実証試験は全くと言っていいほど行 われていない。何らかの理由で海外から導入された脱硝技術が期待通りの成果を出さない場合は 深刻な技術的問題となり、NOxの排出基準遵守が大きく遅れる可能性がある。
9.4.3 規制遵守のための課題の重要度
MoEF&CCにより発行された新排出基準は既にキャッシュフローや、設備スペース不足、設備の
残余寿命の短さ等で困っている発電事業者(特に州政府運営)にとって大きな課題である。
SOx排出基準への対応に向けた課題の重要度についてまとめたマトリクスを表 9-11に示す。各欄 の色はそれぞれ、赤色は深刻度合が高い、黄色は深刻度合が中程度、緑色は深刻度合が低いこと を表す。設備容量が500MW以上の発電所の多くはFGD導入の為のスペースを有しているが、既
設の500MW以下の発電設備では設備導入スペースの余裕を有していないことが課題となる。ファ
イナンス上の課題は、既設発電所では規模によらず課題となる。また、設備製造能力の不足も大 きな課題となる。
NOx排出基準への対応に向けた課題の重要度についてまとめたマトリクスを表 9-12に示す。SOx 排出基準と同様に、既設の発電所では設備導入スペースの余裕を有していないことやファイナン ス上の課題が挙げられる。導入実績や実証実績が無いことなどの技術的な課題も重要である。
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表 9-11 SOx排出基準遵守に向けた課題の重要度
Capacity (MW)
Installed before 2003
Installed after 2003 to 2016
Under constructi on
Units to be installed post 2017
< 500
≥ 500
< 500
≥ 500
< 500
≥ 500
< 500
≥ 500
< 500
≥ 500 Space
Financial
Technology
Supply of Equipment and material
Capacity Building
表 9-12 NOx排出基準遵守に向けた課題の重要度
Installed before 2003
Installed after 2003 to 2016
Under constructi on
Units to be installed post 2017
Space Financial Technology
Supply of Equipment and material
Capacity Building
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