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第 3 章 放射線治療におけるシンボリックデータ解析の適用 17

4.3 実データへの適用

4.3.2 解析結果

同一のクラスターに含まれる研究結果は,被験者の鍼治療・通常治療群の割付比 や被験者全体でみた場合の奏効比によって決まることが多かった.

図 4.4: 研究をコンセプトとしたシンボリッククラスタリング

クラスター1では,鍼治療の効果がなく通常の治療に効果がある,もしくは,鍼 治療と通常の治療ともに効果がみられ,かつ,通常の治療のほうが奏効割合が高い 傾向にあった.クラスター2は,鍼治療に効果がみられ,かつ,鍼治療のほうが通 常の治療より奏効割合が高かった.クラスター3は鍼治療も通常の治療も効果がみ られない傾向があった(表4.2).

表4.4は各クラスターに属するコンセプトの異質性尺度の値である.異質性の尺 度である

Q=

n i=1

Wi(Ti−T¯)2 (4.4)

は,研究ごとの対象集団や研究デザインなどの違いによって生じる分散の大きさを 表す.ただし,nは研究数,Ti は研究iにおける結果の平均値,Wi = 1/s2i は研究iの ウェイトで研究iの分散s2i の逆数, ¯T =∑n

i=1WiTi/n

i=1Wiは重みづけ平均値であ る.Qを[0,1]となるように変換したものが

I2 = max{Q−(n1)

Q ,0} (4.5)

である.すべてのクラスターにおいてQおよびI2の値が小さいことから,カット距 離を用いたクラスタリングによって,異質性の少ないコンセプトが集められたこと がわかる.また,各クラスターにおいてメタアナリシスを実施したところ,クラス ター3において鍼治療が通常の治療に対して高い効果がある結果を示してたことか ら,介入の結果について特徴的なコンセプトが集められたこともわかる(図4.7-4.9).

また,同一クラスターに属するコンセプトにおける背景情報の基本統計量や推移

表 4.2: 各クラスターに含まれるコンセプト

鍼治療群 通常治療群 Cluster Concept# 奏効 非奏効 奏効 非奏効

1

1 5 3 1 6

3 4 10 7 8

4 3 4 3 3

5 6 5 3 4

6 3 3 1 2

7 10 5 6 10

8 1 1 1 0

10 4 4 2 6

14 2 5 2 3

15 1 3 1 0

19 1 1 1 0

20 5 3 1 4

21 1 0 3 1

24 2 1 2 1

25 3 3 2 5

26 5 7 3 11

27 5 4 2 2

2

2 7 1 3 2

11 5 1 0 6

16 3 0 1 2

28 2 0 0 1

29 1 0 0 1

3

9 0 1 0 2

12 3 4 0 6

13 0 1 0 1

17 1 1 0 2

23 1 2 0 3

図 4.5: 鍼治療施行群の各時点における頭痛重症度スコア推移図

図 4.6: 通常治療施行群の各時点における頭痛重症度スコア推移図

図を作成したところ,鍼治療施行群においてベースライン時点から治療1年後のフォ ローアップ期間までの頭痛重症度スコアに違いが認められた.図4.5より鍼治療施行 群において,クラスター2に属するコンセプトの重症度スコアは,クラスター1,3 と比較すると,鍼治療から1年後において低い傾向にあることが分かる.また,通常 治療施行群においては,クラスター2に属するコンセプトの重症度スコアが全期間 通して低い傾向があった(図4.6).さらに,各クラスター毎に鍼治療施行回数を比 較すると,クラスター3のコンセプトでは,鍼治療施行回数が多い傾向があったが,

他のクラスターのコンセプトでは鍼治療施行回数は少ない傾向にあった(表4.3).こ のように,特徴的な奏効割合や各群の被験者割合が類似したものを分類でき,なお かつ,それらの研究に含まれている被験者では鍼治療施行回数や重症度スコアの推 移に違いが含まれていることが発見された.フォローアップ時点における重症度ス コアは,鍼治療施行回数に影響を及ぼすと考えられる.鍼治療施行回数の多いコン セプトでは,フォローアップ時点における重症度スコアが高い傾向があり,施行回 数が中程度のものに関しては,フォローアップ時点の重症度スコアが低い傾向があ ることから,鍼治療施行回数が重症度スコアの低下と関係する可能性が考えられる.

また,各クラスターごとでメタアナリシスを実行したところ,クラスター1に属 するコンセプトについて,鍼治療が効きやすい集団が抽出されていることが分かる.

以上のことから,同一のクラスターに属する研究に参加した被験者において,重 症度と鍼治療の回数の間に関係を持つことが示唆されている.そのため,鍼治療施 行回数が,重症度スコアや治療効果の異質性に関する変数であると考えられる.

図 4.7: メタアナリシスの結果(クラスター1)

図 4.8: メタアナリシスの結果(クラスター2)

図 4.9: メタアナリシスの結果(クラスター3)

表 4.3: 鍼治療回数の比較

Cluster N Mean SD Median NA

1 123 8.58 3.02 9.0 0

2 10 9.0 2.68 9.0 0

3 14 11.7 2.02 12.0 0

表 4.4: 各クラスター内の異質性尺度 Cluseter Q I2

1 17.0 0.0 2 1.1 0.0 3 0.85 0.0

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