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3.6.1 固有振動解析

固有振動解析に用いた各部材の剛性と減衰は下記の通り設定し,モード減衰(ひずみエネルギー減 衰定数)を算出した.

各部材の剛性:上部構造・・全断面有効剛性(合成桁として床版考慮,高欄は無視)

橋 脚・・ひび割れ剛性 免震支承・・等価剛性

すべり支承,制震ダンパー・・モデル化しない 基礎・地盤・・固有周期算出用剛性

なお,幾何学的非線形性は考慮していない.

等価減衰:上部構造・・2%

橋 脚・・2%

免震支承・・5%

基礎・地盤・・10%

算出した固有周期・モード減衰・刺激係数の 40 次モードまでを表‐3.5.1 に示す.また,各方向で振動 が卓越する次数の固有振動モードを図‐3.6.1に示す.

表‐3.3. 40 次までの固有周期 表‐3.6.1 固有振動解析結果(40 次まで)

図‐3.6.1 卓越固有振動モード

41

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0 2 4 6 8

固有振動数 (Hz)

減衰定数 h

選択次数 固有振動数(Hz) モード減衰

1 0.0613 0.0229

38 2.1067 0.0439

α= 0.01667 β= 0.00654

3.6.2 Rayleigh 減衰定数の設定

複合非線形動的解析における解析を簡便化するためにすべり支承・制震ダンパー以外の構造部材 要素に Rayleigh 減衰5)

C=αM+Σ(β・K) C:Rayleigh 減衰,M:質量マトリックス,K:剛性マトリックス を

1

次と

38

次の固有振動数,モード減衰を選択して設定した.図‐3.6.2に実線で示す.

す べ り 支 承 ・ 制 震 ダ ン パ ー の 粘 性 減 衰 (Rayleigh 減衰)は考慮していない.また,レ ベル1,レベル2地震動のいずれに対しても同 様の粘性減衰を考慮した.

3.6.3 固有振動特性

図‐3.6.1よりA橋の卓越固有周期は5秒以上であり,A橋と同規模な一般的な橋梁の卓越周期 0.7

~1.1 に比べ長周期化であるため,図‐3.6.3に示すように加速度応答スペクトルは 1/3 以下となる.

図‐3.6.2 固有振動数とモード減衰

図‐3.6.3 加速度応答スペクトルの一般的な橋梁との比較

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-1 0 1 2 3 4

-1 0 1 2 3 4

X方向(m)

Y方向(m)

-4 -3 -2 -1 0 1

-4 -3 -2 -1 0 1

X方向(m)

Y方向(m) 桁側

橋脚側 t=0 引張最大 圧縮最大 P9 橋 脚

P10 橋脚

図‐3.7.1 制震ダンパーのオービット(1 方向入力) 3.6.4 動的解析方法

動的解析法はレベル1地震動およびレベル2地震動に対していずれも時刻歴応答解析を行った.

その直接積分は Newmark-β法(β=1/4)を用い,計算時間間隔はΔt=0.001sec とし,不釣合い 力が生じた場合は収束計算を行った.

また,非線形解析は材料非線形性および幾何学的非線形性を考慮した複合非線形解析法を用いた.

力学モデルは,レベル1地震動の解析時もレベル2地震時と同一モデル(制震ダンパー,橋脚も 含めて)で解析した.

免震支承のバネ値設定にあたっては収斂作業を行うことが望ましいが,本検討では一定値で解析を 行った.

さらに,「免震支承すべりシステム」のフェールセーフ機能確認のため,制震ダンパーの破壊を考 慮した解析時は,制震ダンパーの保有する耐力を瞬間的に開放するため,計算時間間隔Δtは収斂 程度を確認しながら実施した.

3.7 基本応答特性

基本的応答特性を調べるための入力地震波は,1 方向入力を表-3.5.3における L2 ケース2(レベル 2タイプⅡ標準波 PI の N-S 成分Ⅱ-Ⅲ-2:A1-A2方向),2方向入力を表‐3.5.4における L2 タイプ

Ⅱケース1(X:Ⅱ-Ⅲ-2,Y: Ⅱ-Ⅲ-3で図‐3.5.10に示す波形1)とした.

3.7.1 制震ダンパーの特性

図-3.7.1および図-3.7.2に制震ダンパー両端取付け点(橋脚・桁)のオービットを示す.橋脚側の変 形前における取付け点位置の座標を(0.0,0.0)にシフトし各桁取付け点の履歴を表示した.初期状 態(t=0,両端は位置),制震ダンパーの引張最大時・圧縮最大時の制震ダンパーの位置を併せて プロットした.

また,図-3.7.3および図-3.7.4から 2 方向同時入力の場合,1方向入力と比較して制震ダンパーの 回転変形量は大きく,1 方向入力では軸方向変形量が 2 方向入力より最大値では若干小さいが回転変

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形量に比べて比較的大きい.また,2 方向同時入力,1方向入力ともに入力地震波の主要動方向と同 方向への変形が顕著である.P9 橋脚側と P10 橋脚側の制震ダンパーの挙動は概ね逆対称挙動しており,

これは制震ダンパーを各橋脚の片側のみに取付けたことによる.地震入力条件(1 方向:レベル2タイ プⅡ標準波 PI の N-S 成分Ⅱ-Ⅲ-2で A1-A2方向(X),2 方向同時:X:Ⅱ-Ⅲ-2,Y: Ⅱ-Ⅲ-3)では,2 方向同時入力時の軸方向変位量は軸変位量が最大になる時間を除いて 1 方向入力時より比較的小さい.

これは,2 方向同時入力時は 1 方向入力時と比較して剛体回転変形時間が長く,その間の軸方向作用 力の変化が少ないためと考えられる.

図‐3.7.2 制震ダンパーのオービット(2 方向同時入 力)

-4 -3 -2 -1 0 1

-4 -3 -2 -1 0 1

X方向(m)

Y方向(m)

桁側 橋脚側 t=0 引張最大 圧縮最大

-1 0 1 2 3 4

-1 0 1 2 3 4

X方向(m)

Y方向(m)

P9 橋脚側 P10 橋脚側

2 方向同時入力 1 方向入力

図‐3.7.3 P9 橋脚側の制震ダンパーの X,Y 方向相対変位(回転変形)

44

図‐3.7.7 P9 橋脚側制震ダンパー応答履歴と相対変位

-10000 -5000 0 5000 10000

-0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 軸方向変位(m)

抵抗力(kN)

2方向同時 1方向

図‐3.7.5 制震ダンパーの応答履歴(P9 橋脚)

図‐3.7.4 P9 橋脚側の制震ダンパーの X,Y 方向相対変位(軸方向変位)

-10000 -5000 0 5000 10000

-0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 軸方向変位(m)

抵抗力(kN)

図‐3.7.6 制震ダンパーの応答履歴(P10 橋脚)

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各制震ダンパーに作用する抵抗力と軸方向変位の応答履歴を図‐3.7.5,3.7.6示す.これから制震 ダンパーの抵抗力は 1 方向入力も 2 方向入力も同じであるが,軸方向相対変位は 1 方向入力時の方が 小さい.一方,図‐3.7.7から 2 方向同時入力時の軸直角方向(Y)の相対変位は1方向入力時より大き いことが確認できた.

3.7.2 橋脚基部の応答特性

橋脚基部は図‐3.7.8の M-φ曲線の応答から 1 方向入力も 2 方向入力も弾性範囲内で応答しており,

全く塑性化に至っていない.曲げモーメントの絶対値は 1 方向入力時も 2 方向同時入力時も殆ど同じ であることが確認できた.

3.7.3 免震支承(P9・P10 橋脚)の応答特性

図‐3.7.9から 1 方向入力時も 2 方向同時入力時も同じような挙動を示すが,作用力も相対変位も 2 方向同時入力の方が最大値で約10%程度大きいことが確認できた.

3.7.4 すべり支承の応答特性

橋軸直角方向の固有周期が 16.3 秒と長いため,入力地震波の長周期成分と共振して直角方向の変位

-0.40

-0.20 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80

0 5 10 15 20

時間 (sec)

相対変位 (m)

-8000 -4000 0 4000 8000 12000

-0.50 0.00 0.50 1.00 相対変位 (m)

(kN)

図‐3.7.9 P9 橋脚免震支承の応答特性(作用力と相対変位) -600000

-400000 -200000 0 200000 400000 600000

0 5 10 15 20

時間 (sec)

曲げモーメント (kN・m)

-600000 -400000 -200000 0 200000 400000 600000

-0.001 0.000 0.001 曲率 (1/m)

曲げモーメント (kN・m)

2 方向同時入力 1方向入力

図‐3.7.8 P9 橋脚基部(軸方向)の応答特性

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が大きくなることが予測されたため,卓越固有振動モード(図‐3.6.1の1次)の腹に位置する P6 橋脚 の直角方向にもⅡ‐Ⅲ‐2の地震波を 1 方向入力した(図‐3.6.11).

図‐3.7.11 すべり支承の応答特性(1 方向入力(P6 直角方向)と 2 方向同時入力)

A1 A2

図‐3.7.10 すべり支承の応答特性(1 方向入力(A1-A2 方向)と 2 方向同時入力)

47

また,2 方向同時入力でタイプⅠとⅡの応答の相違を調べるため,入力地震波タイプⅠとⅡに対す る応答を図‐3.7.12に示す.

図‐3.7.10と図‐3.7.11からすべり支承の橋軸および直角方向の応答変位は,必ずしも 2 方向入力 が大きくなるとは限らないことが確認できた.また,すべり支承の応答は入力地震の入力方向に左右 されやすいことがわかった.

さらに,長周期成分が多いタイプⅠの場合には橋軸方向も直角方向も応答変位が大きくなり(図‐

3.7.12),直角方向の変位が変位制限構造の制限値 1.55mを超えることが確認できた.これについて は,5.7 変位制限構造で詳述する.

3.8 まとめ

従来の耐震設計で用いられている1方向の入力地震波であれば,橋脚・免震支承・すべり支承・制 震ダンパーはその地震時応答値は設計許容値以内であることを確認したが,道示レベル2タイプⅠ地 震波の2方向同時入力では,一部のケースで桁の変形が変位制限構造のクリアランス量 1.55m超える が,免制震すべりシステムの開発コンセプトで提案した動的挙動が確認できた.

地震時移動量は大きく,レベル

2

地震時における端支点の支承変位は

0.95m

程度,中間橋脚

P6

で の桁の直角方向変位量が

1.55m

を超える場合はあるが,地震時慣性力が集中する

P9,P10

橋脚躯体 は高強度材料(σck=40N/mm2,SD490)を用い,基礎型式を鋼管矢板基礎とすることで,橋梁全体の 作用力を

P9, P10

橋脚に集中させて,他の橋脚規模の縮小化や免震支承を設置する橋脚基数の低減化

図‐3.7.12 2 方向同時入力時のすべり支承の応答特性(タイプⅡとタイプⅠ) タイプⅡ タイプⅠ

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