• 検索結果がありません。

第 5 章 二軸応力制御による板材の局所化解析 82

5.3 解析例

提案手法を用いた板材の二軸引っ張り解析を行い,局所化の発生点を算出した.

様々な応力比(もしくはひずみ比)における局所化開始点をひずみ空間にプロットし たものを,成形限界線図と呼ぶ.局所化発生時に塑性変形が集中する領域はバンド状 になるが,そのバンドの発生角は応力比によって異なる.そこで局所化によって生じ るバンド域の角度も合わせて評価した.

図5.2のモデルに対し,次式で定義されるように板厚Hに対する初期不整を導入し た.ただし部材中央(図5.2の左下端)を原点としている.

( )

⎟⎟

⎜⎜ ⎞

⎛ −

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

⎛ −

=

0 2 0

1 0

2

1 1 cos2

cos2

1 L

x W

H x x , x

H β π β π (5.38)

β は初期不整の度合いを表すパラメータである.構成式はKuroda-Tvergaardの非法線 則,降伏関数はMisesとし,ひずみ硬化則は式(4.5)を用いた.使用した材料定数は軟 鋼のものであり[5-9],これを表 5.1 に示す.以上のモデルに対し,応力比α

(

: 1:0

)

0 L W =

= σ σ

α からα =1

(

σL:σW =1:1

)

まで変化させて解析を行った.なお,ひず み比を L

W ε

ε

ρ = として定義する.

得られた成形限界線図を図 5.3 に示す.縦軸εL,横軸εWはそれぞれ長手方向(図 5.2のx2方向),幅方向(x1方向)の平均ひずみを対数ひずみとして表したものである.

ここでは部材の一部が弾性除荷した時点を一様な塑性変形の限界とみなし,これを局 所化開始点としている.初期不整の度合いを四通りとして解析を行った.文献[5-10]

は異方性降伏関数を用いて M-K モデルによる板材の成形限界解析を実施したもので あるが,解析結果を見るとρ <0では降伏関数の影響はほとんどないため,等方性を 仮定している本解析との比較が可能であると考えられる.

ρ0.5より小さい,すなわち図5.3においてεL =0よりも左の領域においては初期 不整の影響は極めて小さい.文献[5-10]の結果と比較すると,特にα =0

(

σL :σW =1:0

)

Young’s modulus 200 [GPa]

Poisson’s ratio 0.3

σ0 165 [MPa]

ε 0 0.0041 n 0.209

m 0.002

Φ&0 0.001 [/sec]

p

θcrit 20 [deg]

c 2 Table 5.1 Material properties.

付近で本解析によって得られる成形限界が低い値を示している.このひずみ経路下で は,局所化が開始した後の除荷域の拡大が比較的緩やかに進展するため,最終的に塑 性域がバンド状に集中するまでに平均ひずみがさらに大きくなる.M-Kモデルはこの 変形の最終状態を初期不整とするモデルと考えられるため,本解析における結果との 差が生じたものと思われる.一方ρ >0の領域では,初期不整によって局所化開始点 が大きく異なっていることが確認できる.M-K モデルによる解析では,ρ >0におい て初期不整への依存性が非常に強いことが報告されており,本解析でもこの傾向が現 れているものと考えられる.

次にρ<0におけるひずみ比と局所化域の角度を図 5.4 に示す.ここでは,部材の 50%が弾性除荷した時点でのバンド域の角度を測定した.局所化域がx1軸に平行な時 を0[deg]としている.なおρ >0では局所化域は常に0[deg]であったため,ここでは省 略した.得られた塑性域を変形前配置に戻した際の角度も合わせて示している.これ は帯状塑性域の方向が変形とともに変わるため,元形状における値を用いる方が統一 的な評価の指標となると考えられるためである.元形状に戻した塑性域角度分布は,

M-Kモデルによるものと近い傾向を示している.以上のことから,M-Kモデルでは,

部材に初めからバンド状の不整があるのではなく,あくまでも最終的な変形状態を不 整として導入したモデルであると解釈できる.

いくつかの応力経路での荷重履歴を図 5.5 に示す.α =0

(

σLW =1:0

)

では内圧が 常に零であるため軸力のみを,それ以外は軸力,内圧の両荷重履歴を示している.横 軸は長手方向ひずみ(対数ひずみ)としており,荷重は次式で正規化している.

0 0

0W H

T T

=σ (5.39)

0 0

0L H

P P

=σ (5.40)

また×は最大化重点を,破線による縦軸は局所化変形の開始点を表している.いずれ の場合にも,局所化変形は少なくても一方の荷重が最大点を通過してから発生してい ることがわかる.またα =1

(

σLW =1:1

)

以外のひずみ経路では,軸力と圧力の荷重履 歴は比例していないが,提案手法によって両者が独立して制御できていることが確認 できる.

Fig. 5.4 Angles of localized regions (β =1×103).

0 5 10 15 20 25 30 35

-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0

Deformed configuration

Original configuration

Angle [degree]

W εL

ε ρ= 0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

εW

εL

102

1× β=

103

5× β =

103

1× β =

104

5× β =

Fig. 5.3 Forming limit diagram.

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

0.0 0.1 0.2 0.3

major strain εL

normalized loading

Fig. 5.5 Loading histories (β =1×103).

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0.0 0.1 0.2

major strain εL

normalized loading

Axial loading Pressure loading P

T

(a) α =0

(

σL :σW =1:0

)

(b) α =12

(

σLW =2:1

)

Fig. 5.5 Loading histories (β =1×103, continued).

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

0.0 0.2 0.4 0.6

major strain εL

normalized loading

Axial loading Pressure loading P

T

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8

major strain εL

normalized loading

Axial loading Pressure loadingP

T

(d) α =1

(

σLW =1:1

)

(c) α =4 5

(

σLW =5:4

)

関連したドキュメント