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観測結果

ドキュメント内 master thesis ttanaka (ページ 74-78)

ROCIFC

6.5 観測結果

6.5.2 反同時計数によるバックグラウンド除去

図6.10に、レベルフライト時に得られたCsIトリガーのTDC出力の分布を示す。横軸の値 は、ROCの内部クロックの周期を用いて時間に較正してある。この図からわかるように、分布は

∼5 µsec以下の短いものと、出力が飽和した長いものの2つに分かれている。前者は、CsI読み 出し回路の電気的遅延の値に近く、主として荷電粒子が半導体検出器とCsIの両方で相互作用し たイベントであると考えられる。そこで、このようなTDC10 µsec以下のイベントに対して反 同時計数をかけてスペクトルを作成した。その結果が、図6.11である。これは、イメージャーと して用いたCdTeピクセル検出器(4ユニット)によるレベルフライト時のスペクトルで、赤色 が反同時計数をかけてバックグラウンドを除去したスペクトル、黒色が反同時計数をかけていな いスペクトルである。スペクトル中で、300 keV程度のところに見られるピークのようなものは、

IFC上の増幅器で出力が飽和していることによるものである。これらのイベントは、主に荷電粒 子が検出器と相互作用したものだと考えられるが、CsIによる反同時計数で、この成分が1/3 度に除去されている。

6.10: レベルフライト中のTDC出力の分布。横軸は12 bitの出力値を時間に換算してある。

6.11: CsIによる反同時計数をかけたスペクトル(赤)とかけていないスペクトル(黒)

6.5. 観測結果 67

6.5.3 得られたスペクトル

図6.12に放球直前に地上で得られたスペクトルと高度40 kmのレベルフライトで得られたスペ クトルと比較した。いずれもCdTeピクセル検出器で得られたスペクトルである。レベルフライ ト時に100 keV付近でのフラックスは∼1×10−3 counts/sec/keV/cm2であったが、この値は、

高度40 kmにおいて、我々と同様の0.5 mm厚のCdTe検出器を用いた気球実験[48のデータと ほぼ一致している。

6.12: 放球直前に地上で得られたスペクトル(黒)とレベルフライトで得られたスペクトル(赤)

図6.13は、レベルフライトで得られたスペクトルにCyg X-1からの予想されるスペクトルと 宇宙背景X線放射(CXB)から予想されるスペクトルを重ねたものである。Cyg X-1については、

hard stateのスペクトルとして、100 keV0.3 mCrab(3×10−4 counts/sec/keV/cm2)で、光子 指数1.7のベキ関数を仮定した。CXBについては検出器の視野10×10で計算したものである。

また、Cyg X-1のスペクトル、CXBスペクトルともに、CdTeの光電吸収確率、柱密度1.5 g/cm2 の窒素で計算した空気による吸収を考慮に入れている。

あるガンマ線源を観測したとき、あるエネルギーE (keV)を中心としたエネルギー幅∆E (keV) において3σの有意性で検出できる信号のフラックス(counts/sec/keV/cm2)は、

S(E) = 3 η(E)

2b(E) A∆ETs

(6.1) で表される。ここでη(E)はエネルギーE における検出器のフルピーク効率、Aは検出器の面 積、b(E)はバックグラウンドのフラックス(counts/sec/keV/cm2)を表す。今回の検出器、観測 時間、および図6.13のバックグラウンドレベルからSを計算すると、40 keV付近の20 keV で、S∼2×10−4となる。したがって、系統誤差を考慮していないものの、バックグラウンドの スペクトルを正しく見積もることができれば、本実験の検出器のように10 cm2 と小さな面積で

あってもCyg X-1を検出できることになる。しかしながら、今回の実験では、コーデッドマスク

の角度分解能にくらべ、ゴンドラの姿勢安定精度が十分でなく、ある程度の統計をためることで ガンマ線の入射方向を求めるというコーデッドマスクによるイメージ再構成の性質上、現時点で

は、Cyg X-1のイメージを得るには至っていない。

6.13: レベルフライトで得られたスペクトル(赤)とCXB(青)、Cyg X-1(黒)から予想 されるスペクトル

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