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親子関係とパーソナリティ特性,及び心理的適応との関連についての研究

第 2 章 親子関係研究の概観 2- 親子関係と青年の心理的側面との関連 -

2. 親子関係とパーソナリティ特性,及び心理的適応との関連についての研究

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与えるという側面があるのではないかと考察している。

小高(1994)は,高校生とその両親を対象に,親子関係診断尺度EICAと親用の作成し た親子関係尺度PEICA,YG性格検査を実施し,親子関係の認知空間を定義し,その空間 への射影を求める延長因子分析により,親子関係の認知構造の斜交因子空間に,子,及び,

父,母のYG性格検査によって測定されるパーソナリティ特性がいかに関連するかという ことを検討している。そして,その結果,子どもの認知する親子の自律性を否定した養育 態度は,親の社会的に適応した性格特性(父母の協調性,母の客観性)と関連しており,

社会的に適応した親は,子どもに対して対社会的な行動を期待するために放任を否定した 養育を行っていることを考察している。また父母の受容的な養育態度は父親の一般的活動 性と関連していたが,母親の受容的な養育態度については母親の性格特性との関連は認め られなかったことを報告しており,父親については,父親自身の性格特性が子どもへの受 容的な態度と関連するのに対して,母親については自分の性格とは関係なく子どもに対し て愛情を注いでいるという考察を加えている。さらに子どもに対する統制的な養育態度は,

親のネガティブな性格特性と関連していた(父母の気分の変化大,父親の神経質,父母の 非協調性,母の攻撃性)こと,情緒的に支持してくれていると認知する子どもは抑鬱的で なく,活動的であり,その母親もまた抑鬱的でないことを報告している(Figure 2-1)。

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Figure 2-1 親子関係と人格要因との関連性(小高, 1994, P.54)

この他にも,川原・松尾(1998)は,両親の養育態度とアパシー傾向との関連性,また 両親のイメージとアパシー傾向との関連性について検討している。その結果,受容性の低 い統制性がアパシー傾向に影響を与えていることを報告しており,「子ども自身がどのよう に認めてもらえるかがアパシー傾向に大きな意味をもつ」と考察している。つまり子ども が両親から一人の大人として認めてもらえるかが重要であるというのである。また彼らは,

高校生のアパシー傾向が最も高くなっていることから,高校段階における両親との認識の ズレがアパシー傾向に影響すると考えている。さらにアパシー傾向には否定的な両親イメ ージが存在することが認められることも報告しており,両親に対するイメージはアパシー 傾向により否定的に捉えられ,女子よりも男子のアパシー傾向がイメージに現れやすいと いうことを論じている。

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2000年に入ってからの研究では,平石 (2000a) は,結合性(他者の見解に応答し,他 者の見解に対する感受性と敬意を示すこと)と独自性(自分自身の見解をはっきり伝え,

自分と他者との違いを表明すること)に注目し,大学生にとっても結合性と独自性がバラ ンスよく表明される親子間のコミュニケーション行動の有り方が青年の健全な人格発達を 促すための社会的環境となりうるかどうか検討し,青年期後期においても親子関係の特徴 が人格発達と関連することを示唆している。また,渡邉・平石 (2010) は,中学生の母子 を対象に,中学生から高校生の母親の養育スキルはどのように変化するのかを子どもとそ の母親を対象に3年3時点の縦断調査を行い,階層的重回帰分析により検討している。そ の結果,継続的に理解・関心スキルを用いた関わりをすることが,子どもの母子相互信頼感 に影響を及ぼし,間接的に子どもの心理的適応に影響を及ぼしていることを報告している。

酒井・菅原・真栄城・菅原・北村(2002)は中学生の学校適応の諸側面について,親と 親友との信頼関係との関係から検討している。その中で彼らは,子が親に抱く信頼感が子 どもの学校適応に影響を与えていること,親子相互の信頼感が強いほど,子どもの学校適 応が良好であるという結果を得ている。また親子が相互に信頼し合えている家庭の子ども は学校での適応が比較的良く,親子間での相互の信頼感が低い家庭の子どもは不適応な傾 向にあると報告している。また,菅原・八木下・詫摩・小泉・瀬地山・菅原・北村(2002)

は,夫婦間の愛情関係が家族機能と親の養育態度を媒介として子どもの抑うつ傾向と関連 するかを検討している。その結果,両親間の愛情の強固さと家族機能の良さが,また家族 機能の良好さと子どもの抑うつ傾向が関連することを明らかにしている。また配偶者間の 愛情関係は,親自身の養育態度と関連し,相手への愛情の強さと子どもに対する態度の暖 かさや過干渉的態度との間に有意な関係がみられたことも報告している。また子どもの抑 うつの低さと関連が認められたのは,母親の養育の暖かさのみであり,父親の養育態度は 子供の抑うつ傾向と関係していなかったことを報告している。

小野寺(2008)は,Block(1980)のエゴ・レジリエンス(自我を調整する力であり,

過度のストレスにさらされたときに適切な適応状況に自我を導く力)の尺度を用いて,エ ゴ・レジリエンスの高低と母親の養育態度との関連について検討している。その結果,エ ゴ・レジリエンスの高い母親は自信をもって子育てを行っており,柔軟な養育態度を示し,

鬱傾向も低く精神的に安定していることを明らかにしている。また小野寺(2009)は,青 年の親との関係が,現在の無気力感に与える影響を検討している。また無気力感を抑制す る要因としてエゴ・レジリエンスをとりあげ,これらの関連を検討している。父親・母親

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に対する肯定感情と否定感情の男女差を検討し,その結果,女子は父母両者に対して肯定 的感情を男子よりも強くいだいていた。一方,否定感情については男女差が認められなか ったと報告している。そして大学生の生活への満足感と幸福感が親への感情とどのように 関連しているかについては,女子の生活満足感は母親に対する否定感情とは負の関連が,

父親に対する肯定的感情とは正の関連が認められたことを報告している。つまり,女性は 日々の生活に満足感を感じ,幸せであると思えるには,父親との良好な関係を築くことが 大切であるということである。さらに,彼女は,青年の無気力感が幼少期からの親のしつ けの方略とエゴ・レジリエンスとどのように関係しているのかを検討している。その結果,

幼少期からの母親のほめるしつけが子どものエゴ・レジリエンスを高め,そのエゴ・レジ リエンスが無気感を軽減させる要因として機能している可能性があるということを報告し ている。

この他にも,青年期の親子関係については,「親」との関係が生徒の環境適応や非行傾 向などに影響を及ぼすことが指摘されている(丹羽, 2005; 小保方・無藤, 2006)。また,中 井(2013)は,中学生を対象に,親に対する信頼感と学校適応との関連について検討し,そ の結果,中学生の母親に対する信頼感と父親に対する信頼感が生徒の学校適応感に影響を 及ぼしていることを明らかにしている。小林・宮原(2012)は,大学生を対象に児童期の 愛着と現在の母子関係について尋ね,これと青年の充実感との関連性について検討し,両 者の間に関連があることを報告している。その中で,児童期の愛着と現在の母子関係と間 で関連性が認められたことを報告している。