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規約の保管と閲覧

ドキュメント内 役員候補に選ばれたら (ページ 34-38)

1 規約の保管者

規約は,管理者が保管しなければなりません。誰が規約を保管しているかを対外的に 明確にするためです。管理者がいないときは,区分所有者又はその代理人であって,建 物を使用している者の中から,規約又は集会の決議で選任された者が保管しなければな りません。管理組合が法人である場合は,規約は,理事が保管しなければなりません。

(区分所有法第33条第1項,標準管理規約第72条第2項)

2 規約の保管場所

法人でない管理組合の場合は,規約をどこで保管すべきかについて,法律は特に定め ていません。ただし,規約をどこに保管しているかを,建物の見やすい場所(掲示板や 建物の出入口等)に掲示しなければなりません。保管場所を対外的に明確にするためで す。管理組合が法人である場合は,規約は,管理組合法人の事務所において保管しなけ ればなりません。(区分所有法第33条第3項,標準管理規約第72条第6項)

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3 規約の閲覧

規約の保管者は,利害関係人の請求があったときは,閲覧を拒否すべき正当な理由が ある場合を除いて,規約を閲覧させなければなりません。正当な理由がないのに閲覧を 拒むと,20万円以下の過料に処せられます。(区分所有法第71条第2項)

利害関係人とは,規約の拘束を当然に受ける区分所有者,賃借人等の専有部分の占有 者,売買等によって区分所有権を取得しようとする者,専有部分を賃借しようとする者,

管理組合に対して債権を有する者,管理組合と取引をしようとする者,区分所有権又は 敷地利用権の上に抵当権を有し,又は抵当権の設定を受けようとする者など,広い範囲 の者を含みます。マンションの売買又は貸借の代理又は媒介の依頼を受けた宅地建物取 引業者も利害関係人に含まれます。

閲覧を拒絶する正当な理由がある場合とは,夜間など不適当な時間の閲覧請求がされ た場合とか,不必要に何回も閲覧請求をするとか,いやがらせの閲覧請求であることが 明らかな場合などがこれに当たります。

4 規約の電子化

コンピュータ・ネットワークの普及,IT革命と呼ばれる情報技術の進展,高度情報 化社会に対応するという観点から区分所有法の一部が改正され,規約,議事録等の関係 書類は,電磁気的記録をもって作成し,又は保管することができるものとなりました。

電磁的記録とは,「磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記 録しておくことができる物をもって調整するファイルに情報を記録したもの」であり,

フロッピーディスクやCD-ROMなどのことをいいます。また,規約の閲覧は,電磁 的記録を紙に出力して行うことはもちろんですが,パソコンのディスプレイに表示する ことによって行うこともできます。

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第7節 標準管理規約等

1 マンション標準管理規約(単棟型、団地型、複合用途型)

最近のマンションを取り巻く状況は,建物の高経年化や入居者の高齢化を始め,管理費の滞 納問題,住戸の賃貸化等解決すべき課題が山積し顕著に表面化してきています。この様な状況 に対処するため,近年,マンションの管理について法整備が進められてきました。

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マンション管理適正化法),「マンシ ョンの建替えの円滑化等に関する法律」(マンション建替え円滑化法)が施行され,更には「建 物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)が大幅に改訂され施行されました。これらの法 律の制定及び改訂を受けて,国土交通省は従来からの「中高層共同住宅標準管理規約」を見直 し,平成16年1月23日「マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント

(単棟型)」,「同(団地型)」,「同(複合用途型)」として改正し発表しました。

これまで,標準管理規約は分譲業者等が原始管理規約を定める場合の「モデル=指針」であ るという位置づけでしたが,今回の改正で,管理組合が管理規約を制定し変更する際の「参考」

と位置づけられました。手がかりとして活用するようにという趣旨です。

・「単棟型」 一般の分譲マンションで住居専用単棟型のマンション用である。

・「団地型」 ①複数棟からなるいわゆる団地で,

②その複数棟全部が区分所有建物であり,

③敷地全部(法定敷地,規約敷地の両方を含む)を団地建物所有者が全 員で共有(又は準共有)しており,

④且つ,団地管理規約で団地内全ての区分所有建物の管理または使用に 関する規約が定められているマンションにあっては団地型の標準管 理規約を用いることが望ましい。

(逆に,敷地内に複数棟の区分所有建物があっても,土地の共有関係が それぞれ建物ごとに分かれている様な場合には団地型の標準管理規 約ではなく単棟型の管理規約を基本とすることになる。)

・「複合用途型」 低層階に店舗があり,上層階に住居があるマンションを指すことが多い。

(複合用途型であっても規模が小さく一部共用部分がないマンション にあっては,単棟型を参考にして管理規約を定めることも考えられる。)

この他,国土交通省からは平成17年12月15日,「マンション管理標準指針」が公表 されました。これは,マンションの維持・管理のため,「何を」「どのような点に」留意す べきかという観点からマンション管理の重要事項に関する標準指針として示したものです。

2 マンション使用細則モデル等

管理組合が細則を設定し,又は変更しようとするときに,参考として財団法人マンション 管理センターが作成した細則のモデルがあります。

この使用細則モデルには下記のものが用意されています。

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1.○○マンション使用細則 2.専有部分の修繕等に関する細則 3.専用庭使用細則

4.駐車場使用細則 5.自転車置場使用細則 6.集会室使用細則

7.(参考資料)ペット飼育細則について

法人の管理組合にも標準管理規約があるの?

管理組合が法人化するときの手引きとして,(財)マンション管理センターから「管理組合 法人設立の手引き」(改訂新版)が発行(平成17年3月)されており,そのなかに「法人管 理規約(単棟型)モデル及びコメント」が記載されています。「マンション標準管理規約及び コメント(単棟型)」との対比表も記載されていて,任意の管理組合と管理組合法人との違い がよくわかるようになっています。

管理組合が管理組合法人になることの具体的なメリットとして,主として次の2点がある とされています。

①法律関係が明確になること

管理組合法人は,その法人の名で契約の締結,権利の取得,義務の履行をすることが できます。例えば,銀行預金の名義人を理事長個人名ではなく,管理組合法人名義にで きます。また,空き室を購入してコミュニティセンター等にする場合も,不動産登記等 は管理組合法人名義で登記することが出来,管理組合財産と個人財産を明確にすること ができます。

②取引の安全および円滑化が図れること

管理組合法人となることにより,その団体の存在とその代表者の資格が法人登記によ り公示されますので,第三者は安心してこの団体と取引ができます。例えば,大規模修 繕工事のような多額の取引を行う場合も,法人名で契約・取引が行われますので、相手 方も安心して契約ができる結果,取引の円滑化が図られることになります。

ただし,理事長が交代するなど登記事項に変更があればその都度変更登記をしなければな りませんし,財産目録の作成や組合員名簿の作成が義務づけられます。こうした事務の増加 とメリットを比較しながら,管理組合として検討されてはいかがでしょうか。

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※ 区分所有法上での「集会」「管理者」は標準管理規約ではそれぞれ「総会」「理事長」と表現されています。

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