3.2.1 表面磁石型磁気歯車の表面磁石型磁気歯車の表面磁石型磁気歯車の表面磁石型磁気歯車の構造構造構造構造
図3-1に標準的な表面磁石型磁気歯車の構造を示す。なお、図中の矢印は永 久磁石の磁化方向を示している。本磁気歯車は、第1章の1.4.2(4)節で述べ た通り、同心軸上に内側より、高速ロータ、ステータ歯車、低速ロータの順に 構成されており、高速ロータが入力軸、低速ロータが出力軸と接続されている。
ステータ歯車は高速ロータと低速ロータの間にわずかな空隙をおいて配置さ れ、歯車の歯のように円周方向に磁極片と空隙が交互に配置されている。また、
四つの軸受を用いて安定な回転を実現している。
この機構で、高速ロータが回転するとギャップ中に発生する磁束のうち、低 速ロータの磁極間隔と等しい空間高調波成分が回転することによってトルク が低速ロータに伝達される。このとき、図3-1の磁気歯車では入力軸、出力軸、
固定軸の各磁極数の関係は次式で表され、
in out
s
P P
P = +
(3-1)速比は以下のように求めることができる。
out in
r
P
G = − P
(3-2)(a) 表面磁石型磁気歯車の断面図
(b) 表面磁石型磁気歯車の磁気的構成図
図3-1 表面磁石型磁気歯車の構造 出力軸
低速ロータ 永久磁石 高速ロータ
ステータ歯車 入力軸
ステータ歯車
永久磁石 高速ロータ
低速ロータ
ここに Psはステータ歯車の磁極片数、Pinは高速ロータの極対数、Pontは低速 ロータの極対数、Grは速比である。表面磁石型磁気歯車では、上述の低速ロー タである外側磁石を固定し、ステータ歯車を低速側の出力軸とする機構も可能 である。この場合には、式(3-1)と式(3-2)のかわりに以下の式が成り立つ。
in out
s
P P
P = −
(3-3)out in
r
P
G = + P
(3-4)但し、Psは固定した外側磁石の磁極対数、Pinは高速ロータの極対数、Pontは(上 記ではステータ歯車と呼んだ)低速側の出力軸の極対片数、Grは速比である。
式(3-2)や式(3-4)において、速比が正であることは、高速ロータと低速ロ ータの回転方向が同じであることを示し、速比が負であることは、高速ロータ と低速ロータの回転方向が逆であることを表す。したがって、本磁気歯車では、
固定する部分を選択することにより高速ロータと低速ロータの回転方向を同 方向にも逆方向にも任意に選択可能である。
表面磁石型磁気歯車を増速機として使用する場合には、上記のいずれの場合 も入力軸と出力軸を入れ替えればよい。このように表面磁石型磁気歯車は、固 定する箇所を外側磁石やステータ歯車を入れ替えることにより、同じ極対数、
磁極片数の構成でも速比を変えたりたり回転方向を変更したりすることが可 能な機構である。
3.2.2 表面磁石型磁気歯車の駆動原理表面磁石型磁気歯車の駆動原理表面磁石型磁気歯車の駆動原理表面磁石型磁気歯車の駆動原理
図3-2に表面磁石型磁気歯車の高速ロータの永久磁石、ステータ歯車の磁極 片、低速ロータの磁極を展開した図を示す。以下では、ステータ歯車を固定し、
外側磁石を低速ロータとした場合の表面磁石型磁気歯車として説明する。なお、
表面磁石型磁気歯車の詳細な動作原理についての解説は、平田[10],[11]によっ
図3-2 表面磁石型磁気歯車の駆動原理
高速ロータの永久磁石
360 360 360
360°°°/ °/ / / Ps
360 360 360
360°°°/ °/ / / Nout -- 360-- 360 360° 360°°°/ / / / Ps
低速ロータの永久磁石 ステータ歯車(固定)
STEP-2 STEP-1
STEP-3
て報告されているので、ここでは図3-2を用いた簡単な動作原理についてのみ 説明する。
図 3-2 において、外部よりの力が加えられていない状態では、STEP-1 のよ うに高速ロータの N 極、ステータ歯車の磁極片、低速ロータの S 極の中心が 直線状に並び、磁気的に安定な状態をとる。ついで、STEP-2 のように、低速 ロータを固定したまま、高速ロータをステータ歯車の1磁極片分だけ、回転さ せると、磁気的な安定状態が崩れる。そこで、STEP-3 のように、低速ロータ の固定を解除すると、低速ロータは磁気的な安定な位置まで回転する。以上の 動作における高速ロータと低速ロータの回転速度比が、表面磁石型磁気歯車の 減速比となり、トルクは減速比にしたがって増加する[21]。そして、これらの 一連の動作が連続的に起こることで、表面磁石型磁気歯車は動力伝達機構とし て駆動している。