第 2 章 表面プラズモン素子の設計および測定原理
3.5 表面プラズモン配線平面交差構造の設計
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3.5.2 2モード干渉に基づいた素子設計
はじめに,1入力1出力多モード干渉計の設計を行った。図3.11 に,設計した配線交差構造の上 面図と断面図,単一モード導波路断面の表面プラズモン強度分布を示す。表面プラズモンは,金属 表面に強度ピークをもち,金属表面垂直方向へ空間的に遠ざかると共に指数関数的に強度が減衰す る。また,誘電体コア型導波路に沿って伝播するプラズモンモードの信号は,金属表面に対して垂 直方向の電界振幅のみを許容する。単一モード導波路幅およびSiO2膜厚について,先行研究より,表 面プラズモンの閉じ込めが強く,比較的伝播損失の低い単一モード導波路幅600 nm,誘電体膜厚500 nm を採用した[18]。
(a) プラズモニック配線交差構造の上面図
(b) 単一モード導波路の断面図 (c) モード導波路断面の表面プラズモン強度分布
図3.11 設計した誘電体コア型プラズモニック配線交差構造
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続いて,図2.5に示した導波モードの分散特性を用いて,多モード干渉計の導波路幅を選定した。
誘電体コア型導波路内での表面プラズモンの横モードは,伝播光の導波モード分散特性が適用でき る。基本モードと 1 次モードのみが内包される V パラメータ 4~6 の導波路を想定し,𝑊MMI =
1200 nmとした。さらに,多モード干渉計内を導波する表面プラズモンの基本モードと1次モード
とのビート長を(2.40)式に基づいて算出し,𝐿1= 𝐿MMI~3000 nmとした。
3.5.3 電磁界解析による挿入損失の交差角度依存性評価
FDTD法による電磁界解析を用いて設計した配線交差構造の動作確認を行った。表3.8に,解析 条件を示す。交差角度を10°から90°(直角交差)まで変更し,多モード干渉計を設けた場合と設け ていない場合とで,交差損失とクロストークノイズの特性を比較した。ここで,交差損失は図3.12 に,多モード干渉計の有無で顕著な差が見受けられた交差角度 10°における光強度分布の比較図を 示す。また,図3.13に,提案構造の交差損失およびクロストークノイズの交差角度依存性を示す。
表3.8 FDTD法による解析の計算条件
セルサイズ(nm) 20 境界条件 PML 光源タイプ Gaussian ステップ時間(fs) 0.04448448
(a) 配線交差構造あり (b) 配線交差構造なし
図3.12 平面配線交差構造の電磁界解析結果(𝜃 = 10°)
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(a) 交差損失の交差角度依存性
(b) クロストークノイズの交差角度依存性
図3.13 電磁界解析による交差特性の交差角度依存性
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図3.12より,交差構造を設けない場合は2つの配線が交差している部分で表面プラズモンが回 折してもう一方の出力へ結合していることがわかる。図3.13(a)に示すとおり,表面プラズモンの 多モード干渉を利用した交差構造を設けることで,入力した表面プラズモンが低損失で任意の出 力へ結合していることがわかる。また,全ての交差角度で交差損失が約1.5 dB以下であり,さら に損失の交差角度依存性が低減されることを確認した。最も低損失な交差は交差角度が10度の場 合で,0.65 dBであった。
図3.13(b)に示すクロストークノイズの交差角度依存性より,出力ポート以外の導波路へ入力表
面プラズモンが結合するクロストークノイズが,交差構造を設けることで低減することを解析的 に確認した。ただし,交差角度50度近傍では,交差構造を設けていない場合でクロストークノイ ズの値が低くなる結果が得られた。これは,単純な導波路交差の場合に,表面プラズモンが回折 して出力ポートへ高効率で結合する条件を満たしたためである。
以上より,多モード干渉を用いた配線交差構造によって低損失,低クロストークノイズの交差 特性が10度~90度の交差角度で得られることを確認し,提案構造の有用性を解析的に示した。
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