第 4 章 ギャッププラズモンを用いた論理演算回路の開発
4.6 ギャッププラズモンを用いた論理演算回路の設計
4.6.2 構造パラメータの設計
図4.15に,設計モデルの概略図を示す。ここで,Mach-Zehnder干渉計の変調側の導波路長は,デ バイス作製の際の位置合わせの容易差と位相整合の観点で調節した。また,構造パラメータについ て,入力側導波路間隔d1,出力側導波路間隔d2,変調器長LMの最適化を行った。
(a) 設計モデルの上面図
(b) Mach-Zehnder干渉計の断面図(設計素子) (c) Mach-Zehnder干渉計の断面図(作製素子)
図4.16 設計モデルの概略図
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図 4.17 に,方向性結合に起因する隣り合うギャップ導波路に対する完全結合長の導波路間隔依 存性を示す。計算結果より,入力側の導波路では,ギャッププラズモンの結合を抑制したいことか ら,入力側導波路間隔d1は300 nmとした。また,出力側では方向性結合器としてのふるまいを求 めていることから,出力側導波路間隔d2は100 nm以下を目標値とした。実際の作製では,d2はパ ターンの作製精度に制限される。ここで,方向性結合器は干渉デバイスとして用いるため,方向性 結合器長は完全結合長の半分の値とする。
図4.17 完全結合長の導波路間隔依存性(𝑡 = 𝑔 = 50 nm)
続いて,変調器長 LMの設計を行った。変調構造として,ギャップモードとロッドへの局在モー ドのモード間干渉が生じる,2つのロッドを並列に設置した構造を採用した。ロッド構造を採用す ることで,ギャップ導波路の高い実効屈折率に起因する高い挿入損失が低減される(後述)。上下の ギャップモード間の位相差を±π/2に設計することで,出力に設置した方向性結合器でギャッププラ ズモン同士が干渉して周期的なパワー移行が発生する。図4.18に,FDTD法を用いて解析した変調 領域上面の電界強度分布を示す。解析結果より,ギャップモードとロッド局在モードとのモード間 干渉による周期的なパワーシフトを解析的に確認した。
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図4.18 変調構造中の電界強度分布(上面図)
変調構造について,シリコン薄膜上の金膜厚を50 nmとした場合におけるロッド幅とギャップ幅 を選定した。図4.19に,FDTD法を用いて算出した,変調構造におけるギャップモード実効屈折率 のロッド幅およびギャップ幅依存性を示す。
(a) ギャップモード実効屈折率 𝑛eff
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(b) 単位屈折率変調あたりの実効屈折率変化量 𝛥𝑛eff⁄𝛥𝑛
図4.19 実効屈折率のロッド幅𝑤およびギャップ幅𝑔M依存性
ギャップ導波路の伝播損失はギャップ導波路幅および導波モードの金属に対する侵入深さによ って決定される[28]。ロッド幅𝑤を100 nmとした場合において,各ギャップ幅𝑔M=100 nm,150 nm,
200 nm,250 nm,300 nmの伝播損失をそれぞれ見積もった結果,約-1.8 dB/m,-1.3 dB/m,-1.0
dB/m,-0.8 dB/m,-0.7 dB/mであった。続いて,方向性結合器の出力切り換えに必要な変調器長
の実効屈折率変化量依存性を算出した(図4.20)。
図4.20 出力切り換えに必要な変調器長の実効屈折率変化量依存性
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図4.19および図4.20の結果と伝播損失,作製精度を考慮して,ロッド幅𝑤およびギャップ幅𝑔Mの
目標値は300 nmおよび200 nmとした。
ギャップ導波路へのポンピングにおいて,ギャップ導波路のモードフィールド面積 Aeffは 0.01
m2程度であるため,この微小断面に対して100 mWの光パワーを導入すると約1.0 GW/cm2のパワ ー密度が得られる。前述したシリコンの非線形分極係数を(2.64)式へ代入して非線形屈折率係数を 算出すると,𝑛2~3 × 10−13 (cm2/W) が得られ,Δ𝑛~3 × 10−4となる。この値は,Mach-Zehnder干渉 計の出力A-B間の光路切り換えには不十分な値である。しかし,表面プラズモンの電場増強効果を 用いて電界強度を増大させることで,屈折率変調量の向上が期待できる[29]。本研究では,シンプル な構造で電界強度の増強が可能なスリット構造を採用し,設計を行った(付録F)。
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