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可能性のある事例も含まれていた。
こうした事件の教訓から,特に重大な副作 用については,その発現の可能性を患者に的 確に伝え,副作用を回避しようというのが,
薬剤師に期待されている大きな役目であり,
その後,一連の法改正に至った背景でもあっ たはずである。
ところが,実際に薬局の「薬情」を見せて いただくと,ほとんどの薬局は,レセコン会 社の基本ソフトを利用して「薬情」をプリン トアウトしており,ごく一般的な情報に止め ているように感じられる。
薬剤師に聞くと,大抵のところが,「あま り怖い症状を書くと,患者さんが薬を飲まな くなるんですよ。」という答えが返ってくる。
確かにその答えにも一理はある。
しかし,本当にこれで良いのだろうか?
レセコンの普及により,どの薬局でも簡単 に「薬情」が出せるようになった。保険で技 術料も付与されているし,近々薬事法でも書 面による提供が義務化されるが,問題は,そ の中身なのではないか。
一人でも多くの患者さんが薬の副作用を回 避できるよう,今後は提供する情報の内容の 充実が図られることを期待したい。
調剤過誤を防ぐ
もう一つ感じたことがある。
薬局に対する苦情が以前より増えた気がす る。とりわけ,調剤過誤に関する苦情が多い。
分業の進展により,薬局が取り扱う処方せ ん数が増えたことが要因なのかもしれない が,間違われた患者さん当人にとっては,怒 り千万である。 健康被害が伴えばなおさら で,御免なさいでは済まされない。
薬局に言っても収まらない怒りが,保健所 に寄せられることになる。
最近でも,薬の取り違え,倍散製剤の換算 ミスなどの苦情が相次いだが,おそらくこれ
は,氷山の一角であろう。保健所への報告義 務があるわけではないので,報告されない過 誤事例は相当数あると思われる。
苦情のあった薬局を調査してみると,ダブ ルチェックを怠ったため。初めて扱う製剤で あったため換算を思い違いした。など,ミス の原因は至極単純な場合が多く,注意してい れば防げるものばかりであった。
昨年 4 月(実質的には 7 月から),薬局に おける医薬品安全管理体制の整備のため改正 薬事法が施行された。
( 1 ) 「医療の安全を確保するための指針の 策定」
( 2 ) 「医薬品の安全使用のための責任者の 設置」
( 3 ) 「医薬品安全使用のための業務に関す る手順書の作成及び手順書に基づく 業務の実施」
などについて整備しなければならなくなった。
昨年度,都内の薬局に立入調査の際に,こ の改正法の周知を目的に,上記の「指針」や
「業務手順書」 の整備状況について調査を 行った。
調査結果は,上記( 1 )の指針を策定してい るところは約80%,( 2 )の安全責任者を設置 しているところは約90%,( 3 )の業務手順書 を作成しているところは約85%であった。
改正法が施行されて間もない時期に調査し た割には,対応が良くできていた感じである。
これは,日本薬剤師会が,改正法の施行前 から,いち早く,ひな形を作成し準備を進め ていたことや,地区の薬剤師会も研修会を開 催し会員に周知を図ったことなどが,大きく 貢献したものと思われる。薬剤師会の対応に は敬意を表したい。
しかし,個々の薬局の手順書等を拝見する と,薬剤師会や会社から配られたひな形に自 分の薬局の名前を入れただけのものが実に多 く見受けられた。
社会
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最近の薬事監視から思うこと
ひな形は大変良くできているのでそれがダ メという訳ではないが,問題は,手順書に基 づいて業務が実施されていないことである。
形はあるが,中身が伴っていないと言ったと ころだろうか。
もちろん中には,自分の薬局業務に見合っ た内容に手を加えてあるところもあったが,
数としてはそれほど多い印象ではない。
薬事法には,もともと管理薬剤師の設置が 義務付けられており,医薬品の安全も含めて 薬局内の全てを管理している。であるから,
今回の改正は「屋上屋」と感じてしまい,取 り組みがもう一つ真剣になれないと言う方も いるだろう。
しかし,現実に調剤過誤は依然として起き ている。
今回の法改正は,度重なる医療事故に対す る国民の怒りの声を受けて, 安心安全な医 療,患者中心の医療を目指すために実施され たものである。
これまでの自分たちのやり方を見直す,一 つの良いチャンスと捉えて,今までより,シ ステマチックに精度の高い管理を目指し,一 歩踏み込んでみてはいかがだろうか。
まずは,
① 薬局業務の実態に見合った手順書を作成 し,手順書に沿って業務を実施する。
② アクシデント事例や事故に至らないイン シデント事例も文書化し積み上げる。
③ 個々の事例の原因を評価・分析する。
④ 原因分析を踏まえ,間違いを繰り返さな いよう手順書を書き換える。
①改訂した手順書に従い業務を実施する。
以下は, ①→②→③→④→①…いわゆる PDCA サイクルでこれを繰り返す。
全ての項目でなくとも,例えば,
・薬剤師が一人のときの監査の手順
・ 名称類似薬や規格違い薬の取り違え防止
のための手順
・倍散製剤の換算ミス防止のための手順 など,間違えが起こりやすそうな項目から,
とりあえず始めてみてはどうだろうか。
ひとたび調剤過誤による事故を起こしてし まえば,健康被害を受けた患者さんはもちろ ん大変な苦痛であるが,間違えた当の薬剤師 も,心身ともに疲労困ぱいしてしまう。大変 なエネルギーが必要となる。 経験のある方 は,お分かりと思うが,二度と起こすまいと 深く心に誓うはずである。
私も,かつて病院薬剤師時代に,大きなミ スで患者さんに大変迷惑をかけてしまい,自 分自身とても辛い思いをした経験があり,ミ スをした薬剤師の気持ちは痛いほど分かる。
例えどんな小さなミスでも,調剤の現場か ら全てなくなることを願うものである。
おわりに
今年 9 月に大学のクラス会があった。中に は卒後30年ぶりに再会した同級生もいて,思 い出話に花が咲いた。薬局に勤務している同 級生の中には,私が薬事監視をしているのを 知って,お手柔らかに頼むよと言ってくる者 もいたが,私としては大変な心外である。
重大な法違反は別としても,些細なことで 重箱の隅をつつくような監視をしてきたつも りはない(私だけでなく,どの監視員も同じ スタンスと確信している)。
これまでも,薬局業務運営ガイドラインの 定着など,かかりつけ薬局の育成指導に力を いれて来たし,同じ一人の薬剤師として,薬 剤師の職能が都民,国民に正しく理解され,少 しでもその地位が向上することを願っている。
今後,薬事監視員が薬局にお邪魔した際に は,薬剤師の応援団が来たと思って,暖かく 迎え入れていただければ幸いである。
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平成20年度の調剤報酬改定への対応も一段 落し,レセプトのオンライン請求システムの 準備など日常業務以外にも何かと忙しい中,
早いもので気がつけばもう年末になってしま いました。
昨年 4 月の医療法改正で保険薬局は医療提 供施設の一つに位置づけられ,地域医療連携 の中での保険薬局の役割として,従来型の受 身の処方せん応需から医療麻薬の薬局間譲渡 が可能になるなど,地域の在宅医療に積極的 に取り組める制度改正がなされ,ますます薬 剤師職能を発揮し易い環境になりつつありま す。
そこで今回は,医科の在宅診療報酬の基本 構成と保険薬局との関係について考えてみた いと思います。
医科の点数表は, 初診料・ 再診料などの
「基本診療料」と投薬・検査・処置・手術な どの「特掲診療料」から構成されています。
在宅患者への診療や指導料などを評価した
「在宅医療」は特掲診療料に含まれます。診 療報酬は,基本的に「基本診療料」と「特掲 診療料」を併せて算定します。
在宅医療は以下の 4 区分(第 1 〜 4 節)か らなり,算定する際はこの4区分の合算とな ります。
第 2 章 特掲診療料 第 2 部 在宅医療
第 1 節 在宅患者診療・指導料
医師や看護師などが患家を訪問して行う診 療や指導を評価
(C008 病院薬剤師の場合の在宅患者訪問 薬剤管理指導料)
第 2 節 在宅療養指導管理料
訪問診療の際や患者や家族が来院した際な どに,医師が個々の在宅療養などについて指 導管理を行った場合に算定
(第 1 款 在宅療養指導管理料と第 2 款 在宅療養指導管理材料加算を合算して算定)
第 3 節 薬剤料
在宅療養指導管理料にあたって,規定の薬 剤を支給した場合に算定
第 4 節 特定保険医療材料料
在宅療養指導管理料にあたって,規定の特 定保険医療材料を支給した場合に算定
この中で, 第 2 節の在宅療養指導管理料
(加算を含む)として以下の種類があり,医 療機関がこれを算定する場合は,当該指導管 理に要する消毒のためのアルコールなど,衛 生材料(脱脂綿,ガーゼ,絆創膏など),酸 素,注射器,注射針,翼状針,カテーテル,
膀胱洗浄用注射器,クレンメなどは保険医療 機関が提供するとされています。ただし,在 宅療養指導管理材料加算に含まれる特定保険 医療材料のうち保険薬局で交付できるものに