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.薬局の安全対策と管理者の役割

薬局の安全対策において 管理者が行うべき事項

1.個人の資質や能力に応じた、無理のない人員配置体制や職場環境を整備する。

2.薬剤師をはじめとする全ての職員、特に、調剤経験の少ない新人(新任)薬剤師 に対する教育・研修体制を確立し、実行する。

3.各業務手順の統一化を図り、 調剤業務マニュアル を作成する。

4.重大事故に繋がる医薬品をリストアップし、安全対策の強化・徹底を図る。

5.調剤その他作業における誤りを防ぐため、作業環境を整備する。

6.薬局で採用する機器・物品について、使用方法や保守点検方法等を熟知し、他の

、 。

職員に対して説明するか または適切な担当者を指名してその任務に当たらせる 7 . 必 要 な医 薬 品 情 報の 内 容 、 情報 源 及 び 入 手方 法 を 判 断し 、 最 新 情報 が 常 に 入 手、

活用並びに提供できる体制を整備する。

8.医療機関との機能連携を推進する。

9.事故事例やインシデント事例等を薬局内で収集し、その分析結果から防止対策を 講じ、その内容を全職員に周知徹底する。

10.自らが管理する薬局の安全確保上、必要と思われる意見を薬局開設者に述べる。

今 回 『、

PHARM-2E

分 析 』結 果 に よ り得 ら れ た 、薬 局 の安 全管理 におい て管理 者が行 う べき事項を以上のようにまとめた。以下に、その考察と解説を示す。

(1)基本的考え方

管理薬剤師の薬局における役割は、従来、構造設備の管理や、薬事に関する業務の管理 が主なものであったが、さらに近年の調剤業務の多様化・高度化に伴い、管理薬剤師には 従来の役割に加え、自らが管理する薬局の調剤事故防止対策を積極的に実施していくこと が求められるようになってきた。また、調剤事故の発生防止に薬局の組織全体として取り 組んでいくため、管理薬剤師は調剤事故防止等に関してもリーダーシップを発揮し、安全 管理の統括者としての役割を果たすことも望まれるようになってきている。

したがって、管理薬剤師は今後、調剤業務の中で患者の安全を確保する 安全管理者 としての役割を担っていることを自覚し、調剤や鑑査、薬歴管理、薬剤交付、服薬指導、

医療機関との機能連携等、自らが管理する薬局のあらゆる業務段階において、調剤事故を 防止する対策を講じていく必要があるものと思われる。

前章まででは、本研究で開発した『

PHARM-2E

分析法』を用い、一連の調剤業務の流れ の中で、事故の発生要因が多数存在する業務段階や、調剤事故の防止策が特に必要な業務 段階等を探り、調剤業務の各段階における安全対策上の留意点や具体策等を示した。管理 薬剤師は、これらの留意点や具体策等を参考に、自らが管理する薬局での調剤事故防止に 積極的に取り組むことが望まれる。

ま た 、薬 局 の 管 理者 に は 「 保 健 衛生 上 支 障 を生ず るおそ れがな いよう に、そ の薬局 の、 業務につき、薬局開設者に対し必要な意見を述べなくてはならない」ことが義務付けられ て い る が( 薬 事 法 第9 条 第 2 項 、 これ は 、 薬 局にお ける安 全管理 体制を 整備す る上で も) 同様であると考えられる。

(2)安全対策のための人的要件の管理

①必要な職員数の確保

薬局における安全対策を考える上では、第一に、当該薬局の業務量に見合った薬剤師等 の職員数が確保されていることが必要かつ絶対条件となる。したがって、業務量に見合っ た職員数が確保されていない場合には、管理薬剤師は薬局開設者に対し、改善方の必要な 意見を述べる必要がある。

②リスクを考慮した人員の配置

調剤に関する安全を確保するためには、当該薬局の業務量や業務の内容、及び薬剤師を 含む各職員の資質や能力に応じた人員配置体制を整備することが重要である。

『 』 、 、 、

今回の

PHARM-2E

分析 結果からは 個々の薬剤師の資質や能力 経験年数等に加え

処方せんの難易度、処方せんの集中する曜日や時間帯等を把握し、例えば、①調剤経験の 少ない薬剤師だけの勤務時間帯を作らない、②調剤経験の豊富な薬剤師を鑑査業務に充て る、③ベテランと新人を組み合わせた業務手順や業務配分とするなど、それらを踏まえた 無理のない、適切な人員配置を取る必要があることが明らかになっている。

③労働環境の管理

さらに、医療安全の確保の観点からは、重度の疲労を招きかねない勤務シフト(勤務体 系)の回避や、長時間勤務における休息時間の確保等も重要となる。管理薬剤師は、調剤 事故防止へ向けた職員の勤務体制に配慮するなど、労働環境全般の管理に努めることも必 要である。

また、例えば新人(新任)薬剤師が業務中に疑問を持った際に、他の薬剤師に気軽に質 問できるような環境作りや、ベテラン薬剤師に相談しやすい雰囲気作りに努めることなど も、管理薬剤師の大切な役割の一つである。加えて、調剤事故等が発生した場合に、直ち に報告が可能な職場の環境作りに努める必要もある。

④職員の健康管理

安全な薬物治療を提供するためには、薬剤師が自らの健康や生活を適切に管理すること が必要であり、自らの体調を常に把握し、健康の自己管理を行うことが重要である。

管理薬剤師は、薬剤師や他の従業者に対して、このような健康管理に対する意識の醸成 を図るとともに、全職員が健康を保持しつつ業務に当たることができるよう、職場環境の 向上に努めることが大切である。

⑤職員に対する教育・研修

今回の『

PHARM-2E

分析』結果においては、

1)疑義照会の実施に関する教育の徹底、

2)危険な薬剤に対する一層の認識、

3)複数規格がある薬剤とその常用量範囲等についての知識の習得、

4)散剤の力価計算、倍散の取扱い、

5)小児量に関する基礎知識の習得、

6)名称が類似した医薬品に関する知識の習得、

7)スピードよりも正確性重視の教育、

など、薬剤師に対する教育・研修体制の必要性が多数指摘された。

管理薬剤師は、勤務薬剤師その他の職員が、薬事・保険業務について十分理解し、医療

の上で、管理薬剤師は、勤務薬剤師等が薬学的知識・技能の維持向上を図れるよう、自ら 管理する薬局内で十分な教育・研修が行える体制を整備するとともに、地域薬剤師会等が 行う研修会等へ参加する機会を与えなくてはならない。

特に『

PHARM-2E

分析』結果では、調剤経験の少ない(新人・新任)薬剤師に対する安

全対策研修の重要性が多数指摘された。調剤経験の少ない薬剤師に対しては、管理薬剤師 が中心となり、各薬局において調剤事故防止に関する基本的な内容の研修を、早期かつ優 先的に実施するとともに、地域薬剤師会等が行う調剤事故防止のための研修会等に積極的 に参加させることが望まれる。

(3)業務手順等の統一化の推進と継続的な改善

今回の『

PHARM-2E

分析』結果からは、管理薬剤師が全ての薬剤師が行う調剤業務の質

を確保し、安全対策を確実に実施するためには、①薬局内における各種業務手順を統一化 すると同時に、②組織上・技術上の不備をなくし、さらに③各業務上の安全対策の実効性 を担保する必要性が強く指摘された。

具体的には、管理薬剤師は、薬局での調剤に関し、処方せん受付、患者インタビュー、

疑義照会、薬剤の調製、鑑査、薬歴管理、情報提供、その他薬局内での全ての調剤業務に 関 す る 調 剤 業 務 の手 順 書 ( 作 業 手順 、 確 認 事項等 )を設 け、他 の薬剤 師を教 育・指 導 し、薬剤師による調剤技術の差や、薬歴作成・患者指導等の各種業務に不連続が生じない ように配慮することが大切である。

ま た、 調 剤業 務 の 手 順書 に つ いて は 、 作 成後も 業務内 容の検 討を継 続し、 薬局内 で の 安 全サ イ ク ル ( 計 画⇒ 実 施 ⇒ 評価 ) を 通 じ、定 期的に 見直し ていく ことが 必要と な る。

①調剤業務手順の統一化

管理薬剤師は、自ら管理する薬局内の調剤業務について、個々の薬剤師による差が生じ ないように作業手順を統一化し、その内容を薬局内に周知徹底する必要がある。

例えば 『、

PHARM-2E

分析』結果における対応策でも 「複数患者の調剤を同時に行う場、 合、①処方せん、②薬剤、③ラベルなどが入れ替わらぬよう、調剤終了まで、それらを患 者ごとにトレーや箱等に入れて取り扱う」など、調剤手順に関するものが数多く見られ、

調剤手順の標準化・統一化の重要性が指摘されている。

特に、健康被害に繋がる調剤事故の多い「散剤」の調剤について作業手順を統一化し、

全ての薬剤師に徹底を図ることは、調剤の安全性を高める上で極めて重要である。また、

散剤・水剤等の計量調剤に関する作業手順を統一することは、日常の調剤業務だけではな く、夜間や休日など緊急の調剤時における安全対策上も有効である。

②鑑査の手順の統一化

、 、 、

管理薬剤師は 鑑査の水準を常に一定に確保するため 鑑査手順を可能な限り統一化し 薬局内の全ての薬剤師に周知徹底することが必要である。

前述のとおり、調剤事故防止の最も重要な段階である鑑査の実効性を高めていくには、

知識・経験に富む薬剤師をその任務に充てることのほか、複数の薬剤師による業務の差を できる限り無くしていくため、鑑査時における基本的な確認事項(薬剤の取り違え、規格 違い、数量違い、用法違い等)をリスト化した「鑑査マニュアル」を薬局独自で作成し、

鑑査業務の質の向上を図ることが大切である。

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