5 . 1節 緒言
地層処分された高レベル放射性廃棄物は多くのバリアで固まれ、 廃棄物 からの核種の移行が抑制される。 しかしながら、 放射性核種の中には非常 に半減期の長いアクチニド等の核種も含まれており、 これらの漏出を工学 ノミリアだけで抑えることは不可能である。 したがって、 長半減期の核種の 移行抑制は必然的に地層に頼ることとなる。
実際の地層中の核種の移行については、 原位置試験(79)や計算機シミュレ ーションが行われている。 実験室規模の研究も数多く行われているが、 シ ミュレーションに用いるモデル、 パラメータの値等に多くの不確かさが残
っている。 地層中の核種の移行挙動は、 pH、 Eh、 地下水組成、 岩石の 特性等、多くのパラメータに依存する。 これらのパラメータは処分地によ って異なり、 核種の移行挙動を予測するためには、 収着係数や遅延係数が これらのパラメータにどのように依存するかを知る必要がある。
収着係数を測定する方法にはバッチ法とカラム法の2つがある。 前者は 岩石等による核種の収着係数を比較的速やかに知るのに適しており、 後者 は収着係数だけでなく水理学的特性やその他の因子に依存した条件での核 種移行評価が可能である。 本研究では、 高レベル廃棄物に含まれる代表的 アクチニドであるウランを対象に、 処分場候補地層の一つである花筒岩に 対する収着についてバッチ法及びカラム法で試験研究した。 得られた収着 係数と溶液中のウランの化学種の計算評価に基づき、 収着機構について検 討した。
また、 単に岩石表面への収着だ、けで、なく岩石内部への拡散によっても遅 延が起こることが知られ(80)ており、 岩石内部へのマトリックス拡散につい ても知識を得ることが重要で、ある。 バッチ法においては、 岩石内部へのマ
トリックス拡散係数も同時に求めた。
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5.2節 バッチ法によるウランの収着試験 5.2.1試験
(1)花両岩試料
花岡岩は、 石英、 正長石、 斜長石及び有色鉱物(雲母など)を主成分と
する深成岩の一種で、 有白質粗粒完品質岩である。 本試験で試料として 用 いた花両岩は、 茨城県笠間市稲田産の花商岩で、 比較的黒雲母のような有 色鉱物を多く含む花両岩で ある。 試料として用いた花両岩の 鉱物 組成を表
5.1に、 化学組成を表 5.2に示す。
表 5.1 稲田花両岩の鉱物組成
主成分鉱物 重量割合(w t %)
石英 Si02
4 8
斜長石 (N a,Ca)Al1-2Si3-208
2 4
カリ長石 KAlSi308
2 3
副成分鉱物
5
黒雲母 K(Mg,Fe )3A12Si3010(OH)2 磁鉄鉱 Fe304
角閃石 Nao・l(恥19,Ca,Fe,AI)(AI,Si)4011(OH)2 黄鉄鉱 FeS2
ジルコン ZrSi04 くさび石CaTiSiOs
リン灰石Cas(P04)3(OH,F) 緑柱石 Be3A12Si6018
表 5.2 稲田花両岩の平均化学組成
組成 重量比(w t %) 組成 重量比(w t %)
Si02 6
9.1 7
Ti020.3 9
A1203 1 5.0 0
FeO2.4 8
Fe203 1 .0 5
CaO3.1 5
MgO
1 . 1 5
Na203.4 5
K20 3.0 1
P20S0.3 1
MnO
岡町同.
0.1 0
ioo..".
&0(+) 0.7 1
H20(ー)0.30
(2)ウラン溶液の調製
酸化ウラン (U02+x)粉末を7 0 0 OCで4時間熔焼しU308にした後、5 7 3.
5 m gを秤量し、 濃硝酸10 c cを混ぜ、て加熱溶解した。 これを蒸留水で 希釈し原液とした。 試験に用いたウラン溶液 はこの原液を元に所定の濃度、
pHに調製した。 pHの調整には0.1 Nの硝酸または水酸化ナトリウム溶 液を用い、 炭酸濃度調整には0.1 Mの炭酸ナトリウム溶液を用いた。
(3)試験手順
試験手順を図5.1に示す。 花商岩試料を粉砕し、 粒径を32�60メッ シュにそろえたものを収着試験に用いた。 この粉末試料は、 試験に供する 前に、 微粉末を取り除くため蒸留水でよく洗浄した。 この花筒岩 粉末1 g をウラン溶液30 c cとテフロンまたはガラス容器に入れて約1週間混合 接触させた。 接触終了後、 液を取りだし、 4000rpmで、20分間遠心分離し、
その上澄み液を採取しpH及びウラン濃度の分析を行った。 分析に際して は微粉末の影響を調べるため、 上澄み液をフィルターで漉過したものにつ いても測定を行った。
ウラン溶液の調製
接触(約1週間)
遠心分離(200伽pm、 20分間)
ウラン濃度の分析
図5 . 1バッチ試験のフローシート
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ウランの分析にはフリオリメータを用いた。 上澄み液1mlを白金皿上
で乾固し、 融斉rj(Na2C03:K2C03:NaF: LiF=9:9:
2:0.04) 2 gを加え溶融させたoJ定時間溶融後冷却し、 ぺレットを作成した。
フルオリメータは、 このペレットに365 n mの紫外線をあて、 発生する蛍光の強度からウラン量を定量 できる。 本試験においては10-8�10・4Mのウラン濃度を測定できた。
ウランの収着係数は、 岩石との接触前の濃度Coと接触後の平衡濃度Cfか ら以下の式で計算される。
Kd
= { Co - Cf)
V - qB (Cf)
m
Cf (5-1)
ここで、 mは岩石粉末の重量、 Vはウラン溶液の液量である。 また、 試験 容器にもわずかながらウランが収着するため、 事前に容器への収着量qBの
ウラン濃度依存性を測定しておき、 収着係数の補正を行った。
試験パラメータを表5.3に示す。 pH、 炭酸濃度、 全ウラン濃度を試験 パラメータとして試験を行った。 これとは別に花商岩構成鉱物毎に収着試 験を行った。
項目 岩石試料
pH
温度 ウラン濃度(M) 炭酸濃度(mM) 溶液量(m1 )
期間(日)
回-表5.3試験パラメータ
内容
稲田花筒岩(32�60メッシュ) 黒雲母、 カリ長石、 曹長石、 石英