• 検索結果がありません。

自動車走行音を対象とした音の到来方向の推定とラウドネス 補正補正

6.2 自動車走行音を対象とした音の到来方向の推定とラウドネス

Fig. 6.2.1 Microphone probe used for measuring car noise.

Microphone probe (4ch)

(b) Analysis of arriving direction of sound using PC (a) Microphone probe

Windshield

Dashboard Passenger-side window

Passenger-side mirror

Fig. 6.2.2 Measurement photos for measuring car noise with microphone probe.

音源は

,

コンクリートで整備された交通量の多い片側

3

車線の一般道を速度約

50 km/h

で走行 中に

,

助手席の窓をサイドバイザーの高さ程度

(

3 cm)

まで開けたときに聞こえる

,

主に車体表 面付近を流れる走行風の乱れなどで発生する音とした。

Fig. 6.2.3

はこの音をマイクロホンプロー ブを構成する

4

台のマイクロホンのうち中央に配置されたマイクロホンから取得された応答の周 波数特性である

(A

特性補正

)

。同図より

,

窓を少し開けることで

500 Hz

以上のレベルが増大する ことが確認できる。

-60 -50 -40 -30 -20 -10 0

10 100 1000

Relative sound pressure level (dB)

Frequency (Hz) Window closed

Window opened

Fig. 6.2.3 Frequency characteristics of car window noise caused by passenger-side win-dow opened about 3 centimeters.

ローブの中心に設置されているカメラの視野角に依存する。分布を求めるにあたり

,

当該プローブ を構成する

4

台のマイクロホンのうち中央に配置されたマイクロホンの先端から助手席側の窓面 までの距離は

0.1 m,

分析時間は

30

,

分析周波数範囲は

800 Hz

から

1 kHz

とした。この周波 数範囲は

,

後述するマイクロホンプローブを用いた分析より

, Fig. 6.2.3

で特に顕著なレベルの増 大が確認できる

800 Hz

から

1 kHz

の範囲で窓を開けた方向の音圧レベルが高い傾向を得たため

,

音源の主たる周波数がこの範囲であると考えられることから決定した。分析時間の範囲内におい て

,

矩形窓で

0.1

秒ごとに切り出した応答から移動平均回数

10

回で音圧レベル分布を時々刻々求 める。分析時間の範囲内で求められた複数の音圧レベル分布を各到来方向ごとにエネルギ平均し て音圧レベル分布を求める。音圧レベル分布のうち最大の音圧レベルを得る角度

(

仰角と方位角

)

,

主たる音の到来方向とする。

6.2.4 分析結果

Fig. 6.2.4

,

分析した音圧レベル分布である。同図

(a)

はマイクロホンプローブに設置されて

いるカメラにより撮影された車内の写真とある瞬間の音圧レベル分布の結果を重ねた図であり

,

真には助手席側のフロントガラスとサイドミラーなどが写っている

(

本研究では使用しないマイク ロホンアレーを構成するマイクロホンも数本写っている

)

。同図

(b)

は分析時間

30

秒間の音圧レ ベル分布をエネルギ平均した結果である。

Fig. 6.2.4

より

, (a)

および

(b)

ともに音圧レベルが高 い方向は左上隅で一致している。この方向は

,

助手席側の窓を開けた方向と一致している。この到 来方向を角度で表すと

,

仰角

35

度かつ方位角

44

(

表示範囲の左上隅

)

であった。分析した周 波数範囲におけるレベルの最大と最小の差は

9 dB

であり

, SN

(Signal-to-Noise ratio)

の観点 から音の到来方向は明確であると判断できる。よって

,

本測定で対象とする自動車の助手席側の窓 を一部開けたときに発生する音について

,

助手席の正面方向を基準とした主たる音の到来方向は

,

仰角

35

度かつ方位角

44

度である。

(a) A certain moment

Azimuth angle (deg.)

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40

Elevation angle (deg.)

-30 -20 -10 0 10 20 30

0 -1 -2 -3 -4 -5 -6 -7 -8 -9 -10

Relative level (dB)

(b) Average for 30 seconds

Relative level (dB)

0

-5

Passenger-side window opened about 3 centimeters

Fig. 6.2.4 Distributions of sound pressure level for car window noise caused by passenger-side window opened about 3 centimeters in range of frequencies from 800 Hz to 1 kHz. (a) Photo for interior and distribution of sound pressure level at a certain moment; (b) distribution of sound pressure level averaged for 30 seconds.

を確認する。

Fig. 6.2.5

, (a)

補正前

(

従来の分析方法

)

の音圧レベル分布

[Fig. 6.2.4(b)

と同じ

], (b)

音の到来方向を考慮したラウドネス補正後の音圧レベル分布である。同図

(b)

に示す分布を求 めるための補正処理を行うにあたり

,

音源の分布幅は考慮せず

(

ある単一の方向からのみ音が到来

;

単一音源を仮定

),

補正のために適用したラウドネス変化量は

800 Hz

1 kHz

における単一音源 を対象としたラウドネスの変化量

(Table 5.2.2

の上段と中段

)

をエネルギ平均した値を用いた。

Fig. 6.2.5

より

,

同図

(a)

に示した補正前における主たる音の到来方向

(

仰角

35

,

方位角−44

)

に対して

,

ラウドネス補正後の同図

(b)

では主たる音の到来方向は大きく変化しないが

,

音圧 レベルの高い範囲は仰角方向に拡大し

,

方位角

40

度から

44

度の範囲では仰角

35

度から

35

度のレベル差が約

2 dB

以内の分布となった。音圧レベルの高い範囲が仰角方向に拡大したのは

, Table 5.2.2

の上段

(800 Hz)

と中段

(1 kHz)

より仰角

0

度以下の変化量は仰角

0

度以上の変化量 と比べて大きいためである。また

,

仰角方向のレベル差が

2 dB

以内であるが

,

この

2 dB

の差は

60%

以上の人が音の大きさの違いを判断することができる

[61]

。よって

,

人が知覚する音の到 来方向の範囲は従来の分析結果と比べてより仰角方向に広い範囲であると考えられる。

以上より

,

今回対象とした音源

(

自動車走行音

)

において主観的観点から騒音低減

(

音の大きさの 低減

)

を目的に改善すべき範囲は

,

音源位置そのものは当然であるが

,

音源位置からさらに仰角方 向に広がった範囲も対象になる可能性が示唆された。

Azimuth angle (deg.)

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40

Elevation angle (deg.)

-30 -20 -10 0 10 20 30

(a) Before correction

Azimuth angle (deg.)

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40

Elevation angle (deg.)

-30 -20 -10 0 10 20 30

(b) After correction

0 -1 -2 -3 -4 -5 -6 -7 -8 -9 -10

Relative level (dB)

Fig. 6.2.5 Correcting distributions of sound pressure level in consideration of arrival direction of sound in range of frequencies from 800 Hz to 1 kHz. (a) Before correction;

(b) after correction. Source was car window noise caused by passenger-side window opened about 3 centimeters.

本節では

,

掃除機運転音を対象とした音の到来方向推定のための音圧レベル分布の測定結果と

,

音圧レベル分布に対してラウドネス補正を実施した結果について述べる。

6.3.1 測定対象

Table 6.3.1

,

本測定で対象とするコードレス掃除機

3

機種

(A, B,

および

C)

である。各掃

除機はどの機種も

,

ハンドル

,

延長パイプ

,

およびヘッドで構成されている。寸法や重量は機種に よって異なるものの大きな差ではない。

Table 6.3.1 Cordless vacuum cleaners for measuring noise and distribution of sound pressure level.

A B C

Dimension

(mm) 250 245 1,232 240 218 1,175 308 255 1,012 Weight 2.1

(kg) 2.6 2.5

Model

Photo

Handle

Extension pipe

Head

Fig. 6.3.1

, (a)

が掃除機運転音の測定構成を示した写真

, (b)

(c)

が掃除機とマイクロホン およびマイクロホンプローブの位置関係を正面と側面から示した図である。本測定構成は

,

電気掃 除機の各種性能測定規格である

JIS C9108:2017 [62]

を参考とした

(

ただし

,

コードレス掃除機は 当該規格の非対象である

)

測定は

,

半無響室で実施した。半無響室の中心に

,

治具と紐を使ってハンドルを支持した掃 除機を設置する。このとき

,

半無響室の床面と掃除機の延長パイプとの角度は

55

度とした

[Fig. 6.3.1(c)]

。騒音計

(

小野測器

, LA

3560)

,

掃除機のハンドルの中心から直上に床面から

1,500 mm

,

ハンドルの中心から側方に

1,500 mm

とした

(

前者の位置を直上

,

後者の位置を側

方とする

)

。側方に設置される騒音計の床面高さ

[Fig. 6.3.1(b)

H]

, Table 6.3.1

に示した各 掃除機のハンドルの高さに依存する。

音の到来方向

(

主たる音源位置

)

推定のための音圧レベル分布を測定するため

,

前節の自動車走 行音の測定でも使用したマイクロホンプローブ

(Fig. 6.2.1)

を使用する。当該プローブの位置は

,

床面高さ

1,200 mm

かつ掃除機中心から側方に

750 mm[Fig. 6.3.1(b)]

2

点とした。音圧レベ ル分布の分析範囲は

,

当該プローブの仕様上

,

プローブ中央に設置されているカメラに映る範囲内 である。そのため

,

掃除機全体が当該カメラ内に収まるよう

,

側方に設置された当該プローブは水 平面から見下ろす角度

45

(

仰角

45

)

になるように傾けて設置した。当該プローブを構成す る

4

台のマイクロホンの間隔は

120 mm

とした。この間隔のとき

,

音圧レベル分布の分析周波数 範囲は

500 Hz

から

4 kHz

である。

当該プローブのカメラで撮影される動画あるいは静止画に音圧レベル分布をマッピングするこ とで

,

音の到来方向

(

主たる音源位置

)

を評価する。このマイクロホンプローブで得られる応答は

,

当該プローブと接続されている制御および分析用コンピュータにより録音される。

Sound level meter

Microphone probe

(Side)

(Top)

(Side)

Vacuum cleaner (a) Photo

(c) Side 55 deg.

(Center) (Side)

Sound level meter

1,500

1,500

H

~ ~

Vacuum cleaner

(b) Front (Top)

(Center)

~ ~

1,200 45 deg.

Microphone probe (Side)

750

~ ~

~ ~

~ ~

Sound level meter

Sound level meter (Top)

~ ~

Fig. 6.3.1 Photo and positions for measuring noise radiated from cordless vacuum clearer and distribution of sound pressure level.

運転条件

各掃除機とも

,

満充電の状態で運転音を測定した。運転モードは

,

各掃除機で音が最大となる強 あるいは

MAX

とした。ただし

,

ヘッドにブラシが設置されている機種については

,

ブラシの回転 はなしとした。

運転音測定

掃除機の直上と側方に設置した騒音計により

10

秒間の等価騒音レベル

(LAeq)

を測定し

,

これ を運転音とする。

ここで

,

側方に設けた運転音の測定点について述べる。各掃除機のハンドルには排気口が備えら れているが

,

その位置は各掃除機で異なる。掃除機

A

の排気口は

,

ハンドル下方の左右に渡り設置 されている。掃除機

B

の排気口は

,

ユーザがハンドルを握ったときの右側に備えられている。こ れは

,

一般的に多い右利きのユーザが右手でハンドルを握ったとき

,

排気口からの排風がユーザに 直接当たらないよう配慮されているためである。掃除機

C

の排気口は

,

掃除機

A

と同様にハンド ル下方の左右に渡り設置されているが

,

排気口前に備えられているカバーにより

,

排風を左側ある いは右側に可変することができる

(Fig. 6.3.2)

。以上のように

,

掃除機

3

種で排気口の位置が異な る。排気口からはハンドル内部に備えられているモータの音が放射されると考えられるため

,

側方 で測定される音は排気口の位置により異なると考えられる。このため

,

掃除機

B

と掃除機

C

にお いて側方で測定される運転音は

,

排気口の方向

(

排気口側

)

と排気口と反対側の方向

(

排気口反対 側

)

2

種類を測定した。掃除機

C

については

,

側方の測定点は固定とし

,

排気口前のカバーの位 置によって

2

種類の条件を変更させた。

(b) Right (a) Left

Cover

Fig. 6.3.2 Exhaust port direction of vacuum cleaner C. The direction can be changed to either left or right by cover.

音圧レベル分布測定

マイクロホンプローブを構成する

4

台のマイクロホンで得られる応答から

,

最小分散法による ビームフォーミング処理を用いて音圧レベル分布を求める

[34]

。当該プローブの仕様上

,

求められ る分布の範囲はプローブの中心に設置されているカメラの視野角に依存する。音圧レベル分布は

,

掃除機全体の評価が可能な掃除機の側方を対象とした。また

,

音圧レベル分布を求めるにあたり

,

当該プローブを構成する

4

台のマイクロホンのうち中央に配置されたマイクロホンの先端から掃 除機までの距離は

1.06 m[= 0.75/ sin(45

)],

分析時間は

10

秒とした。分析周波数範囲は

,

後述す る各掃除機の主たるピーク周波数を含む

1/3

オクターブバンド中心周波数とした。分析時間の範 囲内において

,

矩形窓で

0.1

秒ごとに切り出した応答から移動平均回数

10

回で音圧レベル分布を 時々刻々求め

,

分析時間の範囲内で求められた複数の音圧レベル分布を各方向ごとにエネルギ平均 して音圧レベル分布を求める。この音圧レベル分布のうち最大の音圧レベルを得る角度

(

仰角と方 位角

)

,

音の到来方向

(

主たる音源位置

)

とする。音圧レベル分布を測定するにあたり

,

掃除機

B

C

については掃除機の排気口側と排気口反対側の

2

条件を測定した。

6.3.4 運転音の測定結果

まず

,

各掃除機の基本的な音響性能である等価騒音レベルを確認する。

Fig. 6.3.3

,

騒音計で 測定された等価騒音レベルのオーバーオール値の相対値である。本図の

A, B,

および

C

は掃除機

A,

掃除機

B,

および掃除機

C

を示し

,

また

B

C

の添え字

e

は排気口側

, oe

は排気口反対側の

3 , ,

関連したドキュメント