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自動制御装置有無の残留塩素濃度の比較

4. 循環系浴槽での消毒剤添加・制御方法

4.3 自動制御装置有無の残留塩素濃度の比較

入浴者数と塩素濃度の推移の夏季のグラフを図-3.4.8 に、冬季を図-3.4.9 に示す。入浴者数は夏季が294名、冬季が314名である。夏季は21時~23時 までに入浴者のピークを迎えたが、冬季は16時~17時がピークであった。遊 離残留塩素濃度だけを抽出して、夏季と冬季を並べたものが図-3.4.10である。

夏季は時間が経つにつれて遊離残留塩素濃度が低くなっている。冬季は制御に

図-3.4.8 施設J・大型浴槽系統の夏季の入浴者数と残留塩素濃度の推移

0 20 40 60 80 100

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

11:00 14:00 17:00 20:00 23:00

浴者数人)

塩素濃度mg/L

時刻

遊離残留塩素 結合残留塩素 二酸化塩素 入浴者数

図-3.4.9 施設J・大型浴槽系統の冬季の入浴者数と残留塩素濃度の推移

0 20 40 60 80

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8

13:00 16:00 19:00 22:00 25:00

入浴者数(人)

素濃度(mg/L

時刻

遊離残留塩素 結合残留塩素 二酸化塩素 入浴者数

より上下しているが、30名の入浴者があった20時~21時の後の遊離残留塩素 濃度が0.15mg/Lと、基準の0.2mg/Lを下回った。

遊離残留塩素濃度の度数分布は、夏季が図-3.4.11、冬季が図-3.4.12である。

夏季は0.2mg/L台から0.8mg/L台と遊離残留塩素濃度は幅広く分布しており、

0.7mg/L台にピークが見られる。一方、冬季は0.1mg/L台から0.5mg/L台で、

ピークは低めの0.2mg/Lであった。施設Jの大型浴槽系統と同じ浴室内にある 気泡浴槽系統のデータをつぎに示す。気泡浴槽系統は、夏季、冬季共に消毒剤 の注入を定量で行っていた。

気泡浴槽系統の入浴者数と塩素濃度の推移の夏季のグラフを図-3.4.13、冬季 図-3.4.10 施設J・大型浴槽系統の夏季と冬季の遊離残留塩素濃度の推移

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

11:00 14:00 17:00 20:00 23:00

遊離残留塩素濃度(mg/L

時刻

夏季 冬季

図-3.4.11 施設J・大型浴槽系統の 夏季の遊離残留塩素濃度度数分布

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0 1 2 3 4 5 6 7 8

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

遊離残留塩素濃度

図-3.4.12 施設J・大型浴槽系統の 冬季の遊離残留塩素濃度度数分布

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0 1 2 3 4 5 6 7 8

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

遊離残留塩素濃度

を図-3.4.14に示す。夏季と冬季を並べたものが図-3.4.15である。気泡浴槽系 統の遊離残留塩素濃度の度数分布は、夏季が図-3.4.16、冬季が図-3.4.17であ る。夏季の早い時間帯に高い遊離残留塩素濃度が出ている。

このように自動制御装置導入前後の大型浴槽系統と夏季、冬季とも定量注入 をしていた気泡浴槽系統のデータが示すように、自動制御装置の有効性が確か められた。これにより入浴施設の安全性と快適性の向上を図ることができる。

図-3.4.13 施設J・気泡浴槽系統の夏季の入浴者数と残留塩素濃度の推移

0 30 60

0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 2.4 2.8 3.2 3.6 4.0

11:00 14:00 17:00 20:00 23:00

浴者数人)

塩素濃度mg/L

時刻 遊離残留塩素 結合残留塩素 二酸化塩素 入浴者数

図-3.4.14 施設J・気泡浴槽系統の冬季の入浴者数と残留塩素濃度の推移

4.4 まとめ

遊離残留塩素濃度を的確に保持するのには、ポーラログラフ式残留塩素濃度 計を設置して自動制御により消毒剤を添加する方法が良いことがわかった。こ れは北海道後志地方のリゾートホテルの同じ浴槽で、ポーラログラフ式残留塩 素濃度計の有無で採取したデータでも立証された。

このことは安全面や衛生面だけでなく、高すぎない消毒剤の注入による濃度 の維持と快適性の向上のためにも必要不可欠である。

遊離残留塩素濃度

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0 1 2 3 4 5 6

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

図-3.4.16 施設J・気泡浴槽系統の 夏季の遊離残留塩素濃度度数分布

図-3.4.17 施設J・気泡浴槽系統の 冬季の遊離残留塩素濃度度数分布

0%

20%

40%

60%

80%

100%

0 1 2 3 4 5

0.0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0 2.4 2.8 3.2 3.6

遊離残留塩素濃度

図-3.4.15 施設J・気泡浴槽系統の夏季と冬季の遊離残留塩素濃度の推移

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

11:00 14:00 17:00 20:00 23:00

遊離残留塩素濃度(mg/L

時刻

夏季 冬季