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第4章 脳機能イメージング(NIRS)による音声言語刺激に対する脳反応の分析

第1節 脳機能計測の方法

被験者:

被験者は、中学生、大学生、大学院生、総数

20

名である。(女性

12

名、男性

8

名)。

成人は本人に対し、未成年は、本人と保護者に対して本研究の趣旨の説明をし、

同意が得られたものにだけ検査協力を依頼した。中学生

1

名、教育研究科国語 コース大学院生

12

名、工学部大学院生

1

名、工学部学生

1

名、医学部学生

5

名、

という構成であった。全員右利きであった。

実験者:

実験者は、女性である。絵本の読み聞かせは、定期的に小学校、中学校、公立 図書館で行っており、読み聞かせには慣れている。

場所:

場所は徳島大学医学部の個室で、実験者、被験者、医師の

3

名で行った。

タスク(課題):

黙読、音読は、絵本の文章を文字テキストとして作成したものを使用した。黙 読・音読用テキストは、絵の影響を除くため、ひらがなばかりのテキストを作成 し、改行、分かち書きも、絵本の通りとした。読み聞かせる絵本は、『だいじょ うぶだいじょうぶ』(いとうひろし作絵

2006 講談社)を使用した。

この絵本を選定した理由は、NIRS の測定の課題設定上

1

分ごとに物語が切 れる状況を踏まえ、「だいじょうぶだいじょうぶ」という言葉の繰り返しが多く 用いられ、どの場所を切り取って測定しても、同じような結果が得られると考え たからである。

黙読、音読は、それぞれの課題において、テキストを実験者が持ち行った。絵 本の読み聞かせは、実験者が絵本を持ち行った。被験者と実験者が1m位の距離 で対面に座り行った。黙読は、被験者の指先の合図で実験者がテキストをめくっ た。これは、体動が血流に影響を与えること(アーチファクト)を避けるためで

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ある。被験者にも大きく動かないように指示を出した。

NIRS

の機器は、絶対値評価ではなく、安静時と比べてどれだけ差異があるか という相対値評価であるため、安静課題(以下レスト:

R)の設定が必要である。

そこで、赤い●を何も考えずに漫然と見つめてもらうことをレストとした。課題

(以下タスク:T)は黙読、音読、絵本の読み聞かせ聴取の

3

種類について独立 して行った。それぞれのタスクの施行

60

秒に際して、レスト

30

秒をタスクの 前後に設けた。つまり、レスト(R)30秒‐タスク(T)

60

秒‐レスト(R)30 秒のセットを

3

回繰り返した。繰り返すのは、

3

回の加算平均をとる目的で行っ た【図

7】

。 ① 黙読、② 音読、③ 絵本の読み聞かせ聴取の順番は、①‐

②‐③の順番で行ったものを

A

とし、①‐③‐②の順番で行ったものを

B

とし、

③‐②‐①の順番で行ったものを

C

とし、

A、 B、C

がほぼ同数になるように行 った。これは、馴化による血流動態への影響がないか比較するためである。

【図7】課題の測定パターン 測定部位:

測定部位は、前頭前野である。ブローブの配置は、鼻根位置を中心に、左右の 外側前頭前野(Broca野〔運動性言語野:チャンネル(以後、ch)27 を含む〕) から前頭極にかけて行った【図8】。Broca野は、言語活動にとって重要な脳の 言語中枢に当たる部分であり、おもに発語に関している部分である。前頭前野は、

計画を立てたり、論理的な判断をしたり、喜怒哀楽などの情動発現のコントロー ルに関与している部分である(p.27【図

4、 5】参照。

)先行研究における計測位 置は、前頭前野、前額部等表記が様々であるが、本研究では前頭前野(前頭極・

外側前頭前野(Broca野を含む))とした。

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【図8】プローブ装着位置 使用機器:

機器は、島津製作所

OMM-3000

を使用した【図9】。装着は、【図8】で示し たように、左右それぞれ

17ch

ずつ測定できるようにした。装着の位置は、脳波 記録のための国際

10-20

6

Fpz

を中心に左右

3

㎝間隔で送光用プローブ(赤 丸数字)と受光用プローブ(青丸数字)を格子状に設置した。

送光プローブと受光プローブの間が

ch

であり、ch における脳血流動態を計 測するものである。送光プローブからは全方向に近赤外光が出ており、それを受

け取った受光プローブとの間の血流動態を計測する。

例えば、❸から出た光を❶、❸、❹、❺で受け取り、その

間の

ch5、8、9、12

で脳血流が計測されるということ

である。解析ソフト

NIRStation+Fusion

を使用し、標準 脳三次元

MRI

画像にプローブの装着位置を重ね合わせた ところ、ch27付近が

Broca

野に相当すると考えた【図8】。課題開始時を

0

と 指定しベースライン補正を行い、課題時間

60

秒間の

3

回分を加算平均し、加算 平均波形を求めた。刺激課題遂行中の

oxy-Hb

平均波形の積分値を算出し、安静

6国際10‐20法:脳波計測の際に、頭の大きさに関係なく、ほぼ一定部位に電極配置ができる方法で、各

電極間の距離をほぼ等しく、何度検査してもほぼ同位置に配置できるという利点がある方法である。今 回複数の被験者に装着するので、大脳の解剖学的部位がほぼ同一になるようにするために、この方法を 用い中心を決めた。

50

課題に対する課題施行中の

oxy-Hb

濃度の変化量とし、統計解析の対象とした。

NIRS

は、写真のように小型で被験者の行動をあまり束縛せず、日常に近い 体勢で測定ができる。操作音も静かであることより、絵本の読み聞かせ時の声 もよく聞こえるので、本研究には最適と考えられる。

備考:

計測後にアンケート(年齢、性別、利き手、黙読・音読の得意不得意意識、

絵本の読み聞かせ聴取の感想等)を行った。黙読脳血流動態測定と同時に、読 んだ文字数を数えることで黙読速度(文字数/分)の計測も行った。

倫理的配慮:

本研究を行うにあたり、被験者よりインフォームド・コンセントを得た。な お、本研究は徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認(No. 2013)を得て 行った。

【図9】NIRS (OMM-3000:島津製作所)

【図 10】NIRS 計測の様子

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