第 4 章 計測・制御学習において形成される技術的な見方・考え方の構造分析
2.1 一次調査
調査対象は,K 県内の公立中学校 3 校で計測・制御学習の実践を履修した中学 3 年生とし た。各校の学習指導過程を表 4-1 に示す。 学校によって若干の差異はあるものの,いずれ の学習指導過程も,第 3 章で示した走行ゲーム課題型の題材であり,①生活の中にある計 測・制御,②計測・制御システム,③処理の手順とプログラム,④プログラムによる模型 の制御,⑤情報技術の評価・活用の 5 単元で構成されている。これは K 県内の技術・家庭 科研究会が発行しているモデル・カリキュラムに沿った標準的な実践である48) 。
2.1.2 質問項目の設定
第3章で得られた計352コメントの内容を教職経験15年以上の技術科教員3名の協議によ って帰納的に分類し,本調査のための計25項目の質問項目を作成した。作成した質問項目 を図4-1に示す。
本調査では,作成した25項目を,計測・制御学習によって形成される技術的な見方・考 え方を把握する項目とした。加えて,計測・制御学習に対する生徒の情意を把握する項目 として,第2章と同じ①「計測・制御学習の楽しさ」,②「計測・制御学習の難しさ」,③「計 測・制御学習の有用感」の3項目を設定した。回答はいずれも,各項目に対するあてはまり の程度を「とても」,「少し」,「あまり」,「まったく」の4段階で回答させるものとした。
2.1.3 調査及び分析の手続き
作成した質問項目を用いて本調査を実施した。本調査は正規の計測・制御学習の実践後 に実施した。本調査における有効回答数は 236 名(男子 114 名,女子 122 名,有効回答率 98.7%)であった。
集計では各項目に対する回答において,「とても」から「まったく」までの 4 件法の回答 に対して, 4 点から 1 点まで順番に点数化した。計測・制御学習に対する生徒の情意に関 する 3 項目は,項目別に平均値と S.D.を求めた。計測・制御学習によって形成される技術 的な見方・考え方を把握する 25 項目に対しては,各項目の天井効果及びフロア効果,IT 相 関によって不良項目の有無を確認した。その後,因子分析を行った。因子分析では,主因 子法で初期解を求めた後,スクリープロット法を用いて回転する因子数を決定し,プロマ ックス法による因子軸の回転を施した。回転後の因子負荷量の絶対 0.40 を基準に各項目を 各因子に当てはめ,いずれの因子にも該当しない項目を削除しながら因子分析を数回繰り 返した。因子分析の後,最終解として抽出された因子に該当する項目について教職経験年 数 15 年以上の技術科教員で協議し,項目を取捨選択し,測定尺度を構成した。以下,本測 定尺度を「計測・制御学習における技術的な見方・考え方尺度」と呼ぶ。
表 4-1 調査対象校における学習指導過程
A中学校 B中学校 C中学校
①生活の中にある計測・制御 1 1 1
②計測・制御システム 1 1 1
③処理の手順とプログラム 4 2 2
④プログラムによる模型の制御 (1)センサを利用しない課題 (2)タッチセンサを利用した課題 (3)赤外線センサを利用した課題
⑤情報技術の評価・活用 1 1 1
3 4 3
学習内容 時数
図4-1本調査に使用した調査票
2.2 二次調査 2.2.1 調査対象
生活課題型(自動灌水器題材)の実践に参加した K 県内の公立中学校 1 校の中学 3 年生 154 名(男子 73 名,女子 81 名)を対象とした。本実践の学習指導過程,題材,教材はいずれ も,第 3 章の生活課題型と同じものである。
2.2.2 測定尺度
一次調査で構成した「計測・制御学習における技術的な見方・考え方尺度」を用いた。
2.2.3 手続き
分析では,標準的な走行ゲーム課題型の実践を履修した一次調査対象者と,生活課題型 の実践を履修した二次調査対象者の間で,一次調査で抽出された技術的な見方・考え方の 構成因子の尺度平均値を比較した。
3.結果と考察
3.1 測定尺度の構成