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第 3 章 計測・制御学習における生徒の反応に関する探索的検討

3.1 実践の様子

走行ゲーム課題型の実践で用いたコースと実践に取り組む生徒の様子を図 3-4 に示す。

生徒は,より短時間でコースを走破する走行動作にするため,センサ接触後の後退時間や 方向転換の角度などを工夫し,プログラム作成に取り組んでいた。

生徒の作成したプログラムとそのフローチャートの例を図 3-5 に示す。このプログラムは,

分岐処理と反復処理を用いている。左右どちらかのタッチセンサが反応した場合(CN1 又は

CN2 が yes の時)は,接触したセンサと逆方向にあるモータを後方(Bwd)へ動作(mot)さ せ,壁を回避する。タッチセンサの反応がない場合(CN1 と CN2 が共に no の時)は,前方

(Fwd)へ動作(mot)する処理の流れとなっている。模型自動車には左右に二つのタッチ センサが取り付けられているため,このような分岐処理を 2 段組にし,反復処理(loop-

end)によって繰り返している。

次に,生活課題型の実践に取り組む生徒の様子を図 3-6 に示す。生徒は,受け皿を移動 させるモータの作動時間やスピードを工夫し,実際に屋外で土中の水分の多少に応じて動 作するかどうかを確認しながら,プログラムの作成に取り組んでいた。生徒の作成したプ ログラムとそのフローチャートの例を図 3-7 に示す。このプログラムは,分岐処理と反復

図 3-4 走行ゲーム課題型の実践の様子

開始

センサ(CN1) に触れた

センサ(CN2) に触れた

yes yes no

no

左後方へ2秒間後退 右後方へ2秒間後退 前進

図 3-5 走行ゲーム課題型のプログラム(a)とフローチャート(b)の例

(a) (b)

no)は,灌水するために一定時間モータを動作(mot)する。モータによって受け皿が下げ られ,ペットボトルから水が放出される。湿度センサが反応しない場合(CN1 が yes)は,

何も処理は実行されない。これを反復処理で繰り返している。なお,この生徒の場合は,

動作音が大きくならないように作動速度を調整し,結果的に 50%にしていた。また,電池の 消耗を考慮するため,作動時間を調整し,結果的に 1 秒に設定していた。

(a)

図 3-6 生活課題型の実践の様子

図 3-7 生活課題型のプログラム(a)とフローチャート(b)の例

開始

土中の湿度 が低下した

yes

no

水受けが2秒間下降して 流水

水受けが2秒間上昇して 止水

水受けが停止

一定時間待つ

(b)

図 3-5 と図 3-7 に示したように,走行ゲーム課題型と生活課題型では,生徒の作成した プログラムの長さに違いがある。これは,各課題で使用したセンサとモータの数が異なっ ていたためである。なお,両課題共に,最終的に提出されたプログラムの長さにはあまり 生徒間の個人差は見られなかった。しかし,生徒が提出したプログラムからは,その解決 のポイントに課題間の差異が認められた。走行ゲーム課題型では,ルールは単純であるが,

2 つのセンサとモータを一つのプログラムの中でどのように処理させるかを考えることが 解決のポイントとなっていた。これに対して生活課題型では,使用するセンサとモータは それぞれ 1 つずつと少ないものの,灌水器全体のイメージを持って,湿度センサが実際の 土の状態をどのように捉えているかを把握できるかどうかが解決のポイントとなっていた。

なお,両課題共に指導計画で設定していた 4 単位時間内で全ての生徒がプログラムを提 出することができた。このことから,両者は解決のポイントは異なるものの,課題の難易 度はほぼ同程度であったと考えられる。しかし,個々の生徒が完成に要した時間や達成度,

学習の積極性,知識の理解度には生徒間に個人差が生じていた可能性がある。4 クラス 30 名以上の学級規模の実践では,このような個別的な学習プロセスを詳細に把握することは 難しい。そこで,本章では課題のタイプの違いによる個人差については区別せずに,全体 的な傾向を把握することを目的に分析を進めることにした。