第 4 章 計測・制御学習において形成される技術的な見方・考え方の構造分析
3.1 測定尺度の構成
2.2 二次調査 2.2.1 調査対象
生活課題型(自動灌水器題材)の実践に参加した K 県内の公立中学校 1 校の中学 3 年生 154 名(男子 73 名,女子 81 名)を対象とした。本実践の学習指導過程,題材,教材はいずれ も,第 3 章の生活課題型と同じものである。
2.2.2 測定尺度
一次調査で構成した「計測・制御学習における技術的な見方・考え方尺度」を用いた。
2.2.3 手続き
分析では,標準的な走行ゲーム課題型の実践を履修した一次調査対象者と,生活課題型 の実践を履修した二次調査対象者の間で,一次調査で抽出された技術的な見方・考え方の 構成因子の尺度平均値を比較した。
3.結果と考察
3.1 測定尺度の構成
が 0.4 以上を示した。そこで 25 項目全てを用いて,因子分析を行った。
その結果,初期解として抽出された各因子の固有値は,第 1 因子から順に 8.63,2.70,
1.43,1.09,1.01,0.90…となり,第 4 因子において固有値が 1.0 近くまで大きく減衰し た。また,第 4 因子以降の固有値の減衰傾向は緩やかであった。そこで,第 3 因子までを 対象にプロマックス回転を施すこととして,最終解を求めた。その際,因子負荷量の絶対 値 0.40 を基準に各項目を各因子に当てはめ,いずれの因子にも該当しない項目を削除しな がら因子分析を数回繰り返した。その結果,最終解として得られた因子負荷量を表 4-3 に,
因子間相関を表 4-4 に示す。
第 1 因子では,「身の回りの機器や製品を見て,プログラムでどのような処理手順が実行 されているか,考えてみることがある」,「身の回りの機器や製品が,どのような部品や装 置が組み合わさってできているかを自分なりに考えてみることがある」などの項目が含ま れた。これらは,生徒が身の回りにある機器や製品に対して,その仕組みをシステムとし て捉えようとする見方・考え方を示す項目と考えられる。そこで第 1 因子を「システム的 な見方・考え方」因子と命名した。
第 2 因子では,「身の回りの機器や製品を見て,コンピュータや電子回路など,計測・制 御に関する技術の大切さに気付くことがある」,「コンピュータで計測・制御されている身 の回りの機器や製品を,身近に感じることがある」などの項目が含まれた。これは生徒が 身の回りにある機器や製品に用いられている計測・制御技術の大切さに気づき,興味・関 心を持てるようになったことを示す項目と考えられる。そこで第 2 因子を「計測・制御技 術に対する興味・関心」因子と命名した。
第3因子では,「コンピュータで計測・制御されている機器や製品は,日頃から丁寧に取 り扱うことが大切だと思う」,「コンピュータで計測・制御されている機器や製品は,日頃 から適切にメンテナンスすることが大切だと思う」などの項目が含まれた。これらは生徒 が身の回りにある機器や製品に対して,それを使用するユーザーとしての責任感を認識し ていることを示す項目だと考えられる。そこで第3因子を「ユーザーとしての責任感」因子 と命名した。
15
12 14 13 11 21 10 20 3
4 1 6 2 7 9 8
17 18 16 25
-0.005 0.147
0.657 身の回りの機器や製品を見て,内部で情報がどのように処理されているか,考えてみること
がありますか?
0.034 身の回りの機器や製品が,どのような部品や装置の組み合わさってできているかを自分なり
に考えてみることがありますか?
身の回りの機器や製品を見て,プログラムでどのような処理手順(アルゴリズム)が実行されて いるか,考えてみることがありますか?
日常生活の中にある様々な手順や動作をアルゴリズムやフローチャートを使って詳しく考え
てみることがありますか? 0.920 -0.262 -0.047
0.034 0.212
0.514 生活の中にある問題を解決するために,コンピュータによる計測・制御の技術を活用したシ
ステムのアイデアを自分なりに考えてみることがありますか?
-0.152 -0.032
0.824
0.077 0.158
0.621
0.035 0.709
身の回りの機器や製品を見て,どのような出力装置がどのように動作しているか,考えてみる ことがありますか?
0.141 0.027
0.720
身の回りの製品や機器を見て,どのような種類のセンサが何を計測するために使われている か,考えることがありますか?
0.128 0.026
0.643 コンピュータによる計測・制御の技術を活用して,自分の生活の中にある問題を解決してみ
たいと思うことがありますか?
0.058 0.579
0.024 コンピュータで計測・制御されている身の回りの機器や製品を,身近に感じることがあります
か?
0.018 0.612
0.120 コンピュータで計測・制御されている身の回りの機器や製品の仕組みに興味がありますか?
-0.002 0.661
0.041 身の回りの機器や製品を見て,コンピュータや電子回路など,計測・制御に関する技術の大 切さに気付くことがありますか?
-0.070 0.331
0.430 身の回りの機器や製品を見て,その仕組みを入力,処理,出力の組み合わせで考えることが ありますか?
コンピュータで計測・制御されている機器や製品が社会や生活の役に立っていると感じるこ とがありますか?
0.007 0.423
0.153 コンピュータで計測・制御されている身の回りの機器や製品を見て,それを作った人の工夫
や苦労を感じることがありますか?
0.106 0.430
0.266 身の回りにある機器や製品の中で,コンピュータで計測・制御されているものを自分で見つ
けることができますか?
0.416 0.129
-0.035 これからの社会においてより良い技術の開発を進めていくためには,技術者だけでなく,利
用者が広い視野で適切な機器や製品を選択していくことが大切だと思いますか?
0.493 0.011
0.063 コンピュータで計測・制御されている機器や製品も,時には誤動作を起こしたり,事故を起こ
したりする可能性があると思いますか?
0.747 0.058
-0.020 コンピュータで計測・制御されている機器や製品は,日頃から適切にメンテナンス(お手入
れ)することが大切だと思いますか?
0.923 -0.122
-0.009 コンピュータで計測・制御されている機器や製品は,日頃から丁寧に取り扱うことが大切だと
思いますか?
-0.173 0.447
0.446 コンピュータで計測・制御されている身の回りの機器や製品の仕組みを自分なりに考えるこ
とがありますか?
0.178 0.485
-0.066
F3 F2
F1
No. 項 目
表 4-3 技術的な見方・考え方を把握する 25 項目における因子分析の結果(因子負荷量)
3.1.3 尺度項目の再編
抽出した各因子の尺度平均値を用いた分析を行うために,精度を下げずに各因子の項目 数を均衡化させる項目再編を行った。
再編前には「システム的な見方・考え方」因子は9項目,「計測・制御技術に対する興味・
関心」因子は7項目,「ユーザーとしての責任感」因子は4項目がそれぞれ該当していた。そ こで,これらの項目数を均衡化させるために,最も項目数の少ない「ユーザーとしての責 任感」因子に合わせて「システム的な見方・考え方」因子及び「計測・制御技術に対する 興味・関心」因子を4項目に再編した。再編にあたっては,K県内の教職経験15年以上の技 術科教員10名と技術科教育を専門とする大学教員2名の計12名で協議し,計測・制御学習で 形成される技術的な見方・考え方の構成概念に照らして項目を取捨選択した。その際,再 編後の尺度項目が,今後の計測・制御学習における授業改善の研究に使用できることも配 慮した。その結果,「システム的な見方・考え方」因子はNo.10,12,13,14の4項目に再編 された。同様に「計測・制御技術に対する興味・関心」因子は,No.4,6,8,9の4項目に再編 された。この項目再編の妥当性を確認するために,因子別に再編前後の尺度平均値間の相 関係数を求めた(表4-5)。その結果,再編前後の因子間の相関係数は,すべて0.90以上と 高く,両者の測定精度は同等と見なせるものであった。また,因子別に再編前後の内的整 合性についてCronbachのα係数を求めた(表4-6)。その結果,各因子ともに,再編後のα 係数が0.7以上を示し,因子の内的整合性が適切に維持されていることが確認された。
以下,再編した3因子12項目を「計測・制御学習における技術的な見方・考え方尺度」,
各因子を総称して「技術的な見方・考え方因子群」と命名する。
F1 F2 F3
F1 - 0.588 0.219
F2 - 0.376
F3 -
表 4-4 因子間相関
表 4-5 項目再編前後の相関係数