8.1 自動車側から見た車道共有
シミュレータ実験の結果で,心理負担平均が 3 を下回ったのは接近距離 1.5m であった.こ の値は「(危険,安全)どちらとも言えない」という定義である.実際の道路での自動車の接 近距離も 1.5m 程度であった.これらを勘案すると,この「1.5m の接近距離」というのは,
34 / 47 自動車運転者にとって「安全とは言い切れないが危険でもない」という「妥協点」であると 考えられる.従って,閾値と解釈することもできる.
一方,接近距離 2.5m 以上で主観評価の値が安全側に収束することが分かった.主観評価の 1 および 2 は安全と感じる領域であり,「接近距離 2.5m の確保」は安全な車道共有への一つ の目安になると考えられる.
8.2 自転車側から見た車道共有
道路の幅員が 3m および 4m では,半数以上の自転車が歩道を走行しており,道路の幅員が 狭いと危険を考えて歩道を選択する傾向があることが前章の結果で示された.一方,5m の車 道では 3 分の 2 が車道を選択しており.さらに,6m の車道では 9 割近くが車道を走行してい ることから,車道走行に感じる危険意識が薄れているように考えられる.
そこで,自転車と自動車が車道を共有できる範囲について考察すると図 40 のようなレイア ウトが考えられる.まず,自転車が路肩に寄って走れる限界を 0.2m と仮定する.自転車の幅 は道路構造令 4) から 0.6m とされる.前述のシミュレータおよび実車の試験結果から,自転 車と自動車の接近距離を「妥協点」とされる 1.5m とする.一方,自動車は,通常の乗用車を 考え,車幅 1.8m とし7),左右のドアミラーの幅 0.2m を加えた幅を 2.2.m と考える.これら をを合計すると 4.5m となる.この数値は,前章の結果である,道路の幅が 4m 以下では歩道 を選択する自転車が多く,5m 以上では車道を走行する自転車が多い結果と整合する.従って,
自転車にとっても,1.5m が一つの判断基準になると考えられる.
図 40:車道共有の模式図
35 / 47 8.3 自転車と自動車の並進時における通行区分の提案
これまでの結果から,完全に安全とは言い切れないが,自動車側と自転車側の双方から最 低 1.5m 以上の接近距離が必要であることを述べた.また,シミュレータ実験の結果から,自 動車運転者が安心して自転車を追い抜ける接近距離は,2.5m 以上であることも分かった.こ れらおよび,前節の道路上での自転車と自動車の範囲を踏まえて車道を自転車と自動車で共 有した場合の通行区分を提案する.
道路は広ければ広い方が良いが,実情ではそのように行かない.そこで,まず,5m 道路に ついて区分を考察したものを図 41 に示す.5m の車道において,自転車と車道を 2:3 にする と,前述の車道共有の模式図のような配分になる.接近距離については,1.5m 以上の 1.6m を確保したことなる.
自転車の走行においては自動車の追い越し車線と同様な追い越し車線が必要な場合も生じる.
そこで次に,道路の幅が 6m の場合を考えてみる.この場合は道路幅に余裕があるため,自転 車の追い越しレーンも作成できることになる.この場合の例を図 42 に示す.車道共有の模式 図と同様の考えで,また,自動車運転者が安心して自転車を追い抜ける接近距離が 2.5m 以上 であることも勘案して,接近距離については,2.5m 以上の 2.6m を確保した.
図 41:5m 道路における通行区分の提案
36 / 47 図 42:6m 道路における通行区分の提案1
また,6m 道路の場合,追い越しレーンを広く取らず,図 43 に示すように自転車走行レー ンに余裕を持たせることも考えられる.このように,道路幅が広くなると自由度も増加する.
ただし,いずれにしても自動車と自転車の接近距離は 1.5m 以上に取ることが望まれる.
図 43:6m 道路における通行区分の提案2
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