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第二章 好酸球と肥満細胞との相互作用における MRGPRX2 の関与

第四節 考察

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を阻害した(Figure 21A,21B,22A,22B)。この原因として,ヒト結合組織型肥満細胞の方が

MRGPRX2/HEK293細胞よりも感度が高い可能性が挙げられる。第一章にて,MRGPRX2リガンド

であるSPなどのbasic secretagogueに対してヒト結合組織型肥満細胞の方がMRGPRX2/HEK293 細胞より低濃度で活性を示すことが示されており(Figure 4A,4B),MBP(99-110)および ECP(29-45)も同様の結果であった(Figure 20A,B)。高感度のヒト結合組織型肥満細胞を用いたアッセイ 系では2つのアンタゴニストの阻害活性の違いを検出できる可能性があるため,アンタゴニスト間の 活性差が得られたと推測した。2つのアンタゴニストはMRGPRX2/HEK293細胞へのSP結合を阻 害することを第一章にて示したが(Figure 10),2 つのアンタゴニストの相乗または相加効果につい て今後検討することによって,2 つのアンタゴニストが競合するするかなどの特徴を把握できる可能 性がある。

全長のMBPおよびECPの結晶構造から考察すると,それぞれのペプチドに相当する領域は表 面に露出しておらず(Boix et al., 1999,Swaminathan et al., 2001),MBP(99–110)領域は浅い溝に

位置し,ECP(29–45)領域は 2 つの内部ループによって挟まれた溝に埋め込まれている(Figure

25)。したがって,MBP(99-110)および ECP(29-45)が,全長の各タンパク質中に存在したまま

の状態でMRGPRX2のリガンド結合部位として機能するためには,強い立体構造の変化が必要に

なると考えられる。一方,tryptase は,肥満細胞顆粒に保存されている最も豊富なメディエーターで あり,炎症部位において tryptase 濃度が上昇することが報告されている(Walls, 2000)。さらに,炎 症部位では,MBPおよびECPも検出されている(Walls, 2000)。Tryptaseは細胞内で活性化され,

ヒスタミンおよび他のメディエーターとともに肥満細胞の分泌顆粒としてエキソサイトーシスされるが

(Caughey, 1997),肥満細胞顆粒に局在する tryptase は,総肥満細胞タンパク質含有量の最大 25%を占めると報告されている(Schwartz et al., 1987)。放出されたtryptaseは生体循環protease阻 害因子に耐性があり,他の proteaseよりも長く活性を維持するとされている(Caughey, 1997)。炎症 部位における MBP および ECP に由来する活性ペプチドの存在は不明であるが,MBP および

ECPのtryptase消化産物ペプチドが慢性炎症部位に存在する可能性が十分にあると考えられる。

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また,MRGPRX2 は複数の塩基性ペプチドを認識する GPCR であることから,tryptase によって分

解された複数のMBPおよびECPペプチド断片が効率的にMRGPRX2を介して肥満細胞を活性 化すると考えた。 AEU において,肥満細胞と好酸球の両方が関与することが知られているが,両 細胞が共に応答を永続させる方法はあまり知られていない。MBPおよびECPのtryptase消化フラ グメントは,AEUにおけるMRGPRX2を介した肥満細胞の短期および長期の活性化を維持するた めの新規増幅因子として機能する可能性があると考える。

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Figure 25 MBP(A)とECP(B)の立体構造

各 Full-length MBP(PDBコード:1H8U,A)またはECP(PDBコード:4A2O B)タンパク質の立体 構造はPyMOL分子グラフィックスツールにて作成した。MBP(99-110)領域(Aの赤線)は 2つの ループの間に形成される浅い溝に位置する。 MBP(99-110)よりも弱い MRGPRX2 活性を示し た MBP(58-74)領域(A の青線)は舌のような構造を形成する。 ECP(29-45)領域(B の赤線)

はループとN末端のアルファヘリックスの間に形成される溝に位置する。 ECP(29-45)よりも弱い MRGPRX2活性を示したECP(62-78)はECP C末端の2つのベータシートの間に位置する。

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ドキュメント内 新規低分子創薬ターゲットの創出-MRGPRX2- (ページ 63-67)

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