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アスナプレビルの毒性を評価するための非臨床毒性試験として、単回投与毒性試験及び反復投 与毒性試験(マウス、ラット、イヌ)、併用投与(ASV + DCV)毒性試験(ラット、サル)、遺伝

毒性試験(in vitro及びin vivo)、がん原性試験(Tg-rasH2マウス、ラット)、生殖発生毒性試験(マ ウス、ラット、ウサギ)、光毒性試験(in vitro及びin vivo)を実施した。重要な毒性試験はいず れもGLP適用下でICHガイドラインに準拠して実施した。

重要な試験で得られた曝露量と臨床推奨用量(予定市販剤形の100 mg軟カプセルのBID投与)

における定常状態のヒト曝露量との比(AUC又はCmax)を表9-1に示す。軟カプセルによる100 mg BIDは、臨床第2/3相試験に使用した200 mg錠剤によるBID投与と同様の曝露量が得られた(CTD

2.7.2)。曝露量比は、C型慢性肝炎患者の臨床推奨用量における曝露量に対する毒性試験の無毒性

量における曝露量の比として算出した。また、毒性が発現した曝露量のヒト曝露量との比も示し た。

毒性試験に用いる動物種としてラット(げっ歯類)及びイヌ(非げっ歯類)を選択した。イヌ は、経口バイオアベイラビリティ(42%以上)がサル(10%)より高く、高い全身曝露量が得ら れることから選択した。毒性試験で用いた動物種におけるアスナプレビルのin vivo代謝プロファ イルはヒトと質的に類似しており、経口投与後の血漿中化合物の大部分はアスナプレビルで、ヒ トに特有の代謝物は認められなかった。

ヒトでは反復投与により代謝物の曝露量が増加したが、曝露量がアスナプレビルの曝露量の20%

を超える、又は未変化体及び代謝物の総曝露量の10%を超える代謝物はみられなかった。ヒト血 漿中に検出されたすべてのアスナプレビル代謝物は試験に用いた動物種(マウス、ラット、イヌ 及びサル)の少なくとも1種で検出され、ヒトにアスナプレビルの臨床推奨用量を単回及び反復 経口投与したときの代謝物の曝露量は、毒性試験における動物の曝露量より低値であった。単回 投与後の動物(マウス100 mg/kg、ラット80 mg/kg、イヌ50 mg/kg)におけるアスナプレビル代 謝物の曝露量は反復投与後のヒト(200 mg BID、10日間投与)における曝露量を上回り、動物に

おけるAUC(0-8)のヒトAUC(0-12)との比は2.2~1512倍であった。したがって、代謝物の毒性試

験は実施しなかった。

単回投与毒性試験の結果、マウスでは600 mg/kgまで忍容性は良好であったが2000 mg/kgで主 に胃腸管への影響による死亡例がみられた。ラットでは2000 mg/kgまで死亡例はみられなかった。

イヌでは最高用量の300 mg/kgで嘔吐がみられ、100 mg/kg(AUC:711 μg•h/mL、ヒトAUCの193 倍)まで忍容性は良好であった。

反復投与試験では、最高用量200 mg/kg/day(AUC:503 μg•h/mL、ヒトAUCの136倍)で6ヵ 月間投与したラットにおける忍容性は良好であった。また、マウス(Tg-rasH2トランスジェニッ ク)においても最高用量200 mg/kg/day(AUC:1292 μg•h/mL、ヒトAUCの350倍)を6ヵ月間 投与したがん原性試験での忍容性は良好であった。イヌでは、最高用量 100 mg/kg/day(AUC:

302 μg•h/mL、ヒトAUCの82倍)の9ヵ月間投与における忍容性は良好であったが、300 mg/kg/day

(AUC:1385 μg•h/mL、ヒトAUCの375倍)の1ヵ月間投与で、肝臓への影響(ALT、GGT及

び総ビリルビンの増加、肝細胞壊死)が認められた。

1ヵ月間投与毒性試験でラット及びイヌに共通してみられた所見は、RDWの増加、ヘモグロビ ン、MCV及びMCHCの減少、血清中ALT、総ビリルビン及び塩素の増加、血清蛋白、総コレス テロール及びカルシウムの減少であった。これらの臨床病理学的変化は、ALT及び総ビリルビン

の増加を除き、概して軽度で回復性がみられたことから毒性学的意義の低い変化と考えられた。

ラット及びイヌの1ヵ月間投与毒性試験でみられた血液学的変化は、赤血球の小型化を反映し たものと考えられ、鉄代謝の変化及びヘモグロビン合成の障害(イヌ)が示唆された。しかし、

これらの変化の程度は軽微で、骨髄の病理組織学的変化は認められず、ラットで回復性がみられ た(イヌでは回復性を検討せず)ことから、毒性学的意義の低い変化と考えられた。また、これ らの変化は高曝露量(ラットAUC:299 μg•h/mL、イヌAUC:1385 μg•h/mL、ヒトAUCの81倍 以上)のみで認められた。ラット6ヵ月間投与毒性試験(ヒトAUC の136倍)では血液学的変 化は認められず、イヌ9ヵ月間投与試験(ヒトAUCの82倍)では赤血球関連値に軽度な変化(MCV 及びMCH減少、対照群の0.91~0.94倍)がみられたのみであった。なお、DCV + ASV併用療法 の臨床試験では重篤な血液学的有害事象は認められなかった。

ラット及びイヌでALT及び総ビリルビンの増加、イヌでGGTの増加及び肝細胞壊死がみられ たことから、アスナプレビルを高い曝露量(ラットAUC:299 μg•h/mL、イヌAUC:1385 μg•h/mL) で1ヵ月間投与した場合に肝毒性が発現する可能性が示唆された。イヌで肝臓の病理組織学的変 化(肝細胞壊死)がみられたAUCはヒトAUCの375倍であり、肝臓はイヌにおける主要な標的 器官と考えられた。In vitro試験において[14C]アスナプレビルの肝ミクロソーム(ヒト及び毒性試 験に用いた動物種由来)への結合がGSH存在下では減少し、このことから反応性中間体の生成が 示唆された。しかし、ラット6ヵ月間及びイヌ9ヵ月間投与毒性試験(ヒトAUCの82~136倍)

では肝毒性を示唆する変化はみられず、in vitroで肝ミクロソーム中に反応性中間体が形成される 可能性の毒性学的関連性は小さいと考えられた。

ラットにおいて600 mg/kg/dayの1ヵ月間投与でALT及び総ビリルビンの増加がみられたアス ナプレビルの肝臓中濃度は 228~264 μg/g で、一方、肝臓に関連した血液生化学的検査値の変化 がみられなかった200 mg/kg/dayの6ヵ月間投与後の肝臓中濃度は54.1~83.8 μg/gであった。ま た、イヌにおいて300 mg/kg/dayの1ヵ月間投与で肝臓に病理組織学的変化(肝細胞壊死)がみ られたアスナプレビルの肝臓中濃度は133~146 μg/gで、肝臓に変化がみられなかった100 mg/kg/day の9ヵ月間投与後の肝臓中濃度は2.43~5.77 μg/gであった。これらのことから、ラット及びイヌ で認められた肝臓の変化は、肝臓中の高濃度のアスナプレビルの存在に関連して発現するものと 推察された。また、ラットにおいては肝臓の絶対重量及び相対重量(体重比)の増加が100及び 600 mg/kg/dayの1ヵ月間投与(AUC 90.7~299 μg•h/mL、ヒトAUCの25倍以上)及び200 mg/kg/day の6ヵ月間投与(AUC:321 μg•h/mL、ヒトAUCの87倍)でみられたが、関連した肝臓の病理 組織学的変化は認められず、アスナプレビルの高い肝臓中濃度と関連した薬物代謝酵素の誘導に よる適応性変化と考えられた。イヌでは、アスナプレビルの肝臓中濃度が低値(2.43~5.77 μg/g)

であった100 mg/kg/dayの9ヵ月間投与では、血液生化学的検査値の変化並びに肝臓の重量及び

病理組織学的変化は認められなかった。

ラットにおける最も重篤な毒性学的所見は、1 ヵ月間投与毒性試験の最高用量 600 mg/kg/day

(AUC:299 μg•h/mL、ヒトAUCの81倍)で認められた消化管の変化(小腸及び大腸の液体及 びガスによる膨満、小腸及び盲腸の腸細胞肥大、盲腸及び結腸の杯細胞減少)であった。これら の変化には回復性がみられた。この用量では血清中蛋白の減少が認められたが、消化管の変化に

よる消化吸収不良あるいは消化管の蛋白損失の促進が関与したものと考えられた。一方、6 ヵ月 間投与毒性試験(最高用量200 mg/kg/day、ヒトAUCの136倍)では、軟便の発現頻度増加以外 に消化管への影響を示唆する変化は認められなかった。ラット1ヵ月間投与毒性試験で消化管へ の影響が発現したAUCは6ヵ月間投与毒性試験のAUCより概して低値であったが、1ヵ月間投

与試験(600 mg/kg/day)では消化管中の大量のアスナプレビルによって影響が局所的に発現した

ものと考えられた。

イヌにおいて、単回経口投与毒性試験及び1ヵ月間反復経口投与試験の高用量(AUC:617及

び1385 μg•h/mL、ヒトAUCの375倍以下)で嘔吐がみられた。しかし、イヌ1ヵ月間投与毒性

試験ではラット(ヒトAUCの81倍)より高いAUCで胃腸管に変化は認められず、サル1週間 投与毒性試験でも最高用量の300 mg/kg/day(ヒトAUCの189倍)まで胃腸管への影響はみられ なかった。

ラット1ヵ月間投与毒性試験でみられたアスナプレビル投与に関連した変化はいずれも回復性 がみられ(イヌ1ヵ月間投与毒性試験では回復性を検討せず)、ラット及びイヌの慢性毒性試験で は1ヵ月間投与毒性試験と比較して毒性の進行はみられず、新たな標的器官も認められなかった。

1, 6及び9ヵ月間投与毒性試験で共通してみられたアスナプレビルの投与に関連した変化(ラッ

トにおける軽度な回復性の肝臓重量増加及びイヌにおける軽微な回復性の赤血球の変化)は、毒 性学的意義が低いと考えられたか、関連した血液生化学的検査値又は病理組織学的変化が認めら れなかった。ラット6ヵ月間及びイヌ9ヵ月間投与毒性試験の無毒性量におけるAUCは、ヒト AUCの82倍以上であった。

アスナプレビルをダクラタスビルと併用投与した場合の毒性学的相互作用について、ラット及 びサルを用いた最長3ヵ月間の併用投与毒性試験により評価した。併用投与毒性試験の用量は、

臨床におけるヒト曝露量の範囲を網羅するAUC(ヒトAUCの18倍)が得られる用量を設定した。

いずれの試験においてもDCV + ASV併用による毒性学的相互作用を示唆する変化はみられなかっ た。ダクラタスビルと併用投与したアスナプレビルの AUC に増加傾向がみられたが、アスナプ レビルの曝露量は個体間変動が大きいことからトキシコキネティクスへの影響は明らかでなく、

ASV + DCV併用療法の臨床試験では相互作用を示唆する有害事象や薬物動態学的相互作用は現時

点まで報告されていない。

遺伝毒性に関しては、in vitro試験(細菌を用いる復帰突然変異試験,CHO細胞を用いる染色体 異常試験)及びin vivo試験(ラット小核試験)を組合せて評価した結果、いずれの試験でもICH ガイドラインで推奨される最高濃度・用量まで陰性の結果であった。

がん原性については、Tg-rasH2マウス26週間投与がん原性試験[最高用量200 mg/kg/day(AUC:

1292 μg•h/mL、ヒトAUCの350倍)]及びラット2年間投与がん原性試験[最高用量125 mg/kg/day

(雄)及び80 mg/kg/day(雌)(AUC:198 μg•h/mL、ヒトAUCの54倍)]の結果、いずれの試験 でもがん原性はみられなかった。

生殖発生毒性に関しては、ラットにおいてヒト AUC の105倍まで生殖能への影響はみられな かった。マウス及びウサギの胚・胎児発生に関する試験の結果、ヒトAUC の472 倍(マウス)

及び1.2 倍(ウサギ)まで胚・胎児発生への影響及び奇形の発生はみられず、アスナプレビルに

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