第 4 章 システムの実装と評価
4.4 考察
第 5 章 おわりに
三次元コンピュータグラフィックスを作成するモデリングにおいて、ユーザが自分の思い 通りにグラフィックスを形作ることを可能とする入力手法については、様々なものが提案さ れてきた。しかし、最も適した入力方法であると考えられる、物体を直接変形させて、変形 量をPCへの入力とするような手法は、物体形状を正確に測定することの困難から、未だに モデリングへの利用へと至っていない。
本研究では、球状の物体に曲げセンサを貼付することでデバイスの形状測定を行った。セ ンサを球にループを成すように貼付することで、ループが成す形状について拘束条件を設け ることができる。それらの条件とセンサから得た各センサの歪曲量の条件から、ループの形 状が条件を満たす最適な状態にどれ程近いのかを判断する指標である、評価関数を設定する ことができる。評価関数を最小化することで、最適なループの形状を数学的に求めることが できる。デバイスにはセンサのループが3方向に貼付されており、各センサの形状を得た後 にセンサがデバイス上に貼付されているという条件から同様な最適化を行うことで、各セン サの形状からデバイス全体の形状を推定することができる。
デバイスを作製し、曲げセンサの抵抗値からデバイスの形状が推定できることを確認し た。また、カメラを用いてループの形状を撮影し、画像から形状を得た結果と曲げセンサの 抵抗値から最適化により得られた形状を比較したところ、変形を認識できていることが分 かった。
謝 辞
本研究は大阪大学基礎工学部で行ったものです。
本研究を多くの方々のご協力のもとで進めることができました。特に、大阪大学院基礎工 学研究科 大城 理 教授は、研究環境や研究に必要な機材等を提供して頂きました。また、研 究テーマを模索、洗練するにあたり、的確なご指摘を下さり、研究の助けとなっただけでな く、研究者としての考え方、姿勢についても学ぶことができました。今後研究者として生き ていくための、かけがえのない経験をさせて頂き、篤く御礼申し上げるとともに、深く感謝 致します。また、担当教官となって頂いた、大阪大学院基礎工学研究科 井村 誠孝 准教授に は、研究が行き詰まる度に何度も相談に乗って頂きました。定期的なミーティングを開催し て頂き、すべきことや分からないことを明確にして頂きました。心から御礼申し上げます。
大阪大学院基礎工学研究科 黒田 嘉宏 助教授は、担当でない学生である自分に対してもよく コミュニケーションをとって頂き、研究内容や進捗具合に関心を寄せて下さるとともに、研 究への多大なアドバイスを頂きました。深く感謝致します。
本研究を進めるにあたり、日頃から研究について相談に乗って下さった、大城研究室の先 輩である、 吉元 俊輔 氏、 高畑 裕美 氏、 山崎 直継 氏、 加藤 雄樹 氏、 繁田 悠 氏、
森口 裕樹 氏、増田 拓 氏、 八木 明日華 氏、 若松 孝圭 氏に深く感謝致します。先輩方に は、研究生活一年目で右も左も分からない自分に対し、研究の進め方から研究室生活の過ご し方に至るまで、何もかも教えて頂きました。心から感謝致します。また、同期として日頃 から研究生活の苦労と喜びを共に分かち合い、切磋琢磨してきた同研究室の、 田中 岳 氏、
松崎 成敏 氏、 安井 亮平 氏、 横畑 亮輔 氏に深く感謝申し上げます。
参考文献
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