第 4 章 システムの実装と評価
4.1 システムの実装
第3章で述べた提案手法に基づき、自己形状認識デバイスを作成した。システムの外観を 図4.1に示す。
図 4.1: システムの外観
デバイスの表面には3方向に曲げセンサが並べて貼付されておりループを形成している。
一周のループを構成するセンサは6個である。センサに繋がる導線は全てデバイスの球体内 を通しており、ベースの中にはA/D変換器と電気回路基盤が収納されている。使用したPC とA/D変換器について、表4.1と図4.2に示す。
表4.1: 使用した機器
OS Microsoft Windows 7
PC CPU Intel Core i5-2.40GHz
memory 4.0GB
A/D converter Arduino Mega 2560
図4.2: A/D変換器
システムで用いられる電気回路の概要を図4.3に示す。
図 4.3: 電気回路の概要
図4.3のように、計測できる電圧をVi(i= 0,1, ..., N−1)とすると曲げセンサの抵抗値Ri
は式(4.1)のように求められる。
Ri =R Vi
V −Vi (4.1)
本研究で用いる曲げセンサを図4.4に示す。
図4.4: 本研究で用いる曲げセンサ
本研究では、一般に広く流通している曲げセンサの中で最も短い、56mmの長さのものを 用いた。第3章でも述べたように、一つの曲げセンサは可能な限り短いものであるほうが、
二回以上曲がるような複雑な変形をする可能性が小さくなる。曲げセンサが複雑な変形をす ると、あらかじめ測定しておくセンサの歪曲量と抵抗値の関係に正しく対応しない、形状を 三次関数を用いたパラメトリック曲線で表現できない、といった問題が生じる。56mmの曲 げセンサであるならば、掌や指によって加えられる変形により複雑な形状になる可能性は十 分低いと考えられる。
4.1.1 曲げセンサの較正
式(4.1)で得られる抵抗値に対して、適切な歪曲量を対応させるための測定を行った。測
定の様子を図4.5に示し、縦軸を歪曲量、横軸を曲げセンサの抵抗値として両者の関係を図 4.6に示す。歪曲量θは図4.5のように撮影した画像から測定した。曲げセンサから抵抗値 を測定した後、図4.6に示されるような抵抗値と歪曲量の関係を用いて、曲げセンサの歪曲 量を求めた。図4.6の点の間は一次補間によって対応関係を定めている。求めた歪曲量は、
最適化のための条件の一つとして式(3.15)において用いられる。
図4.5: 測定の様子
図 4.6: 曲げセンサの歪曲量と抵抗値の関係
4.1.2 評価関数の最小化
本研究では式(3.16)(3.20)(3.21)のような、評価関数である非線形関数を最小化する解を 求めるために共役勾配法を用いた。共役勾配法とは、非線形方程式の解を求める反復法の一 つであり、次の解候補を探索する際に共役性の概念を用いていることから共役勾配法と呼ば れる。共役であるということは、次の式(4.2)のように定義される。
uTQv=O (4.2)
つまり、ベクトルu,vと行列Qが式(4.2)を満たすとき、ベクトルuとベクトルvは行列 Qに関して共役であると定義される。非線形関数の最小値を求める方法として、共役勾配法 の他にニュートン法や可変計量法等が広く用いられているが、それらの手法にはあまり優劣 の差はないとされている。本研究においては、式(3.16)(3.20)(3.21)のような評価関数を最 小化するにあたって、三つの手法を試したところ、収束性が最も良かった共役勾配法を採用 した。