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考察

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−第1報−

IV. 考察

ジュニア選手の健康度と体調、食生活スコ アとの間には有意な関係が認められ、食生活 が良い者は生活面(睡眠、生活の規則性)や 健康度、体調も良いことが明らかになった。

また、食生活が良い者は競技への意欲も高い 傾向にあった。競技意欲の高い選手は食生活 への配慮がされ、また、競技力を高めるため には食生活への配慮が必要であると言える。

一方、食生活に配慮している者はサプリメ ントの利用頻度が高いことも認められた。近 年の多種多様なサプリメントの情報の氾濫が もたす結果と考えられる。サプリメントの効 果について、正しい情報を啓蒙する必要があ る。

本研究はジュニア選手の食生活と健康度、

体調の関係を実証的に示した数少ない研究で あり、スポーツ活動における栄養の重要性を 啓蒙する上での基礎的知見として意義深いも 表 4 は食生活スコアと「良好な健康度、体

調」の関係をロジスティック回帰分析で検討

のと考えられる。

文献

河合美香、志水見千子(2006)競技力向上 のための医・科学トレーニング、財団法人富 山県健康スポーツ財団、9 − 22

鈴木正成、河合美香(1996)平成 8 年度 NoVII ジュニア期のスポーツライフに関す る研究−第 3 報−、財団法人日本体育協会ス ポーツ科学専門委員会、22 − 33

1.はじめに

平成 12 年 9 月に文部省(現、文部科学省)

から「スポーツ振興基本計画」が告示され、

①生涯スポーツ社会の実現に向けた地域にお けるスポーツ環境の整備充実、②我が国の国 際競技力の総合的な向上方策、③生涯スポー ツおよび競技スポーツと学校体育・スポーツ との連携の推進など、我が国のスポーツ振興 に関わる施策が示された。これにもとづいて

①については、各都道府県で少なくとも 1 つ の「広域スポーツセンター」を、また、全国 の各市町村では少なくとも 1 つの「総合型地 域スポーツクラブ」を設置し、地域住民が主 体的に運営するスポーツクラブで、地域住民 の誰でもが年齢、興味・関心、技術・技能レ ベルに応じて様々なスポーツに参加できるよ うな社会を実現することを目指すことになっ た。一方、③については、子供たちの多様な ニーズに応じるために、学校と地域社会・ス ポーツ団体との連携を推進し、国際競技力の 向上に向けた学校とスポーツ団体との連携を 推進することになった。こうした我が国のス ポーツ振興政策の推進に伴って、地域で子供 から老人までスポーツを楽しむための施設や 設備・組織すなわちスポーツ環境の充実が図 られつつある。

適度なスポーツ・運動がもたらす人への身 体的・心理社会的効果、言い替えると、我々 人間の健康の保持増進への効果は極めて大き いことは言うまでもなく、虚血性心疾患、肥 満、特定の癌など生活習慣病の発症予防や死 亡率低下などにもその効果が認められている

(1)。生涯にわたって適度なスポーツ・運動 を行うことは我々の健康寿命(活動的平均余 命)の延長にもつながると考えられる。上記

に記したように、地域のスポーツ環境が整備 され充実されれば、身近なところで気軽に楽 しくスポーツ・運動を行うことができ、我々 の健康の保持増進や健康寿命の延長が期待で きるであろう。

本研究では、上記のようなスポーツ環境の 整備が進められているなか、現時点において、

スポーツ環境の良否と人の健康水準とどのよ うな関連にあるのかを検討するために、地域 のスポーツ環境すなわち各市町村が管理する 体育館、運動場などの施設の利用状況や施設 の多少などと、地域住民の健康水準すなわち 各市町村の死亡状況との関連を検討すること を試みた。ここでは、地域住民の健康水準を 表す指標として各市町村の死亡数に注目した が、人の死亡原因は様々で、スポーツ環境と 人の死亡との間に直接的な因果関係が存在す るとは考えられない。しかしながら、上記に も述べたように、適度な運動・スポーツが虚 血性心疾患など生活習慣病の発症や死亡率を 抑えることが認められているので、地域の身 近なところで日頃からスポーツ・運動を行え る環境があり、スポーツ・運動に親しむ機会 が多いと、その運動の効果として人の寿命や 死亡に何等かの影響が及んでいるようにも思 える。地域のスポーツ環境の良否と住民の健 康水準との間にどのような関連が認められる かは興味のあるところである。

本研究では、スポーツ環境の指標として各 市町村が管理する体育館、運動場、テニスコー トの総年間利用者数、体育館と運動場の面積、

テニスコート数(以下、これらをスポーツ環 境指標とする)、および住民の健康水準の指 標として各市町村の悪性新生物、心疾患、脳 血管疾患の各死亡数ならびにそれら3疾患の

地域のスポーツ環境と住民の健康

石榑清司、清水知宏(滋賀大学)

総死亡数をしらべ、これらの関連を検討した ので、その結果を報告する。

2.研究方法 1)調査資料

京都府(和束町、宇治田原町、木津町、精 華町、城陽市、宇治市、京田辺市の 7 市町)

および滋賀県(守山市、草津市の 2 市)の9 つの市町について、各市町が管理する運動施 設(体育館、運動場、テニスコート)におけ る平成 16 年の年間総利用者数(3 施設の延 べ総利用者数、以下、利用者数)、体育館面積、

運動場面積、およびテニスコート数を、平成 17 年 11 〜 12 月の間に各市町に出向いて調 査した。

また、平成 17 年度発行の京都府統計書(2)

および滋賀県統計書(3)から該当する市町 の悪性新生物、心疾患および脳血管疾患の年 間死亡数および各市町の年齢階級別人口を調 べた。この場合、統計書の死因別死亡数は 2 年前すなわち平成 15 年における年間死亡数 が、また、年齢階級別人口は平成 12 年度の 国勢調査における年齢階級別人口が示され ていたので、それらの死亡数および人口を解 析に用いた。さらに、平成 16 年厚生統計協 会発行の「国民衛生の動向」(4)から、平成 15 年の日本における死因別年齢階級別死亡 率を調べた。

2)統計的解析

統計的解析にあたっては、まず、各市町の 利用者数は各市町の人口 100 人当り、体育館 および運動場面積は人口 1000 人当り、テニ スコート数は人口 10000 人当りで算出した。

次に、年間死亡数については、各市町にお ける人口当りの粗死亡率を算出しても各市町 によって住民の年齢構成が異なるため、粗死 亡率による市町間の比較は適当でないので、

各市町の年齢階級別人口および上記日本にお ける死因別年齢階級別死亡率から平成 15 年 の死因別年齢階級別期待死亡数を算出し、疾 患別および3疾患全体の標準化死亡比(調査

した年間死亡数 / 期待死亡数)を求めた。

その上で、人口 1000 人当りの体育館面積 が 100 ㎡以上と未満の市町、すなわち和束町 および宇治田原町の 2 町(以下、スポーツ環 境良好群)とその他の 7 市町(以下、スポー ツ環境非良好群)との間で、各疾患および3 疾患全体の標準化死亡比、ならびに 4 つのス ポーツ環境指標におけるそれぞれの平均値を 比較検討した。なお、本研究ではスポーツ環 境の良否を体育館面積の大小で決定したが、

これは、人口当りの年間利用数、体育館面積、

テニスコート数が大きい上位 2 市町がいずれ も和束町と宇治田原町であったためである。

さらに、これら 4 つの標準化死亡比と 4 つ のスポーツ環境指標の相互間の相関係数を算 出した。

なお、資料の集計および計算にはエクセル 統計解析プログラムを使用した。

3.結果

表 1 は、各疾患および3疾患全体の標準化 死亡比ならびに 4 つのスポーツ環境指標につ いて、各市町の調査値およびスポーツ環境良 好群と非良好群別の平均値と標準偏差を示し ている。表には両群間の平均値の相違を t 検 定で検定した結果を併記した。

まず、スポーツ環境指標についてみると、

利用者数、体育館面積、テニスコート数はい ずれも、スポーツ環境良好群が非良好群にく らべて平均値が大きく、統計的に有意に相違 していた。運動場面積については、スポーツ 環境非良好群の宇治市が飛び抜けて大きい値 を示していたため、平均値では非良好群が高 い値を示した。

標準化死亡比についてみると、悪性新生物 および心疾患はスポーツ環境非良好群で平均 値が高い値を示したが、統計的に有意に相違 していなかった。一方、脳血管疾患の死亡比は スポーツ環境良好群で高い値を示し、統計的 に有意に相違していた。3疾患全体の死亡比 については大きな相違が認められなかった。

表 2 は、各疾患と3疾患全体ならびに 4 つの スポーツ環境指標について相互に相関係数を 求めた

結果である。また図 1 および図 2 は、それ ぞれ悪性新生物死亡比と体育館面積、心疾患 死亡比と体育館面積の相関散布図である。

各疾患の死亡比とスポーツ環境指標との間 についてみると、悪性新生物では体育館面積 およびテニスコート数との間で比較的強い負 の相関関係が認められ、いずれも相関係数は 統計的に有意であった。すなわち、悪性新生 物の死亡比は人口当りの体育館面積やテニス コート数が広くあるいは多くなると低下する

ことが示唆される。一方、心疾患の死亡比も 悪性心生物と同様に体育館面積およびテニス コート数との間に統計的に有意な負の相関係 数が認められた。しかしながら、脳血管疾患 の死亡比はスポーツ環境指標との間に正の相 関関係が認められたが、いずれの場合も相関 係数は統計的に有意ではなかった。また、3 疾患全体の死亡比はテニスコート数との間に 多少強い負の相関関係が認められたが、他の スポーツ環境指標との関連はまちまちであっ た。なお、悪性新生物と心疾患の死亡比間お よび体育館面積とテニスコート数との間には いずれも正の強い相関関係が認められた。

人口当りのスポーツ環境指標

100 人当り 1000 人当り 1000 人当り 10000 人当り

利用者数 体育館面積 運動場面積 テニスコート数

和 束 町 558 233 1267 7.89

宇治田原町 755 138 1284 1.96

平均 657 186 1276 4.93

SD 139 67 12 4.20

木 津 町 445 65 1613 1.80

城 陽 市 228 24 1612 1.71

宇 治 市 166 25 5437 0.42

京 田 辺 市 461 24 1283 1.11

守 山 市 298 33 1311 0.86

草 津 市 327 39 1598 1.01

精 華 町 199 48 1264 1.17

平均 303 37 2017 1.15

SD 116 15 1517 0.48

t 検定 p<0.01 p<0.01 n.s. p<0.05 標準化死亡比:平成 15 年死亡数 / 期待死亡数

利用者数:平成 16 年の年間延べ利用者数 面積:平方m

n.s.:p>0.05

表1 各疾患の標準化死亡比と人口当りのスポーツ環境指標 標準化死亡比

悪性新生物 心疾患 脳血管疾患

和 束 町 0.65 0.69 0.99

宇治田原町 1.00 0.88 1.30

 平均 0.82 0.79 1.15

  SD 0.25 0.14 0.22

木 津 町 0.96 0.95 0.71

城 陽 市 1.21 1.00 0.88

宇 治 市 1.13 0.93 1.12

京 田 辺 市 1.50 1.38 1.14

守 山 市 1.10 1.10 0.76

草 津 市 1.08 1.19 0.67

精 華 町 1.17 1.18 1.00

 平均 1.16 1.10 0.90

  SD 0.17 0.17 0.19

t 検定 n.s. n.s. p<0.05

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