25 3) 不純物の毒性試験
有害事象により 1 例(60 mg 群:血中 β-ヒドロキシ酪酸濃度上昇)が治験中止となった。バイタル サイン及び心電図において臨床的に問題となる変化は認められなかった。
(4)内因性要因の検討
1)
腎機能障害を有する2
型糖尿病患者における24
週間投与試験(5.3.5.2-3:CSG006JP
試験<2011 年7
月~2012年7
月>)腎機能が正常又は中程度に低下した日本人
2
型糖尿病患者(目標被験者数、腎機能正常患者10
例、中等度腎機能障害患者30
例)を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討するため、非盲検非 対照試験が実施された。また、薬物動態及び薬力学についても併せて検討された(試験デザイン、有効性及び安全性成績については、「(iii)有効性及び安全性試験成績の概要<資料の概略>(2)
第
II
相試験1)腎機能障害を有する 2
型糖尿病患者における24
週間投与試験」の項を参照)。薬物動態について、本剤
40 mg
を初回投与後の血漿中本薬未変化体のC
max、AUClast及びAUC
infの腎機能正常患者に対する中等度腎機能障害患者の幾何平均の比とその
90 %信頼区間は、1.33
[1.02, 1.75]、1.38[1.08, 1.77]及び
1.48[1.10, 2.00]であった。また、反復投与時の血漿中本薬
未変化体及び代謝物のトラフ濃度は、腎機能の程度によらずほぼ一定の値で推移し、腎機能正常患 者及び中等度腎機能障害患者における投与24
週時での血漿中本薬未変化体濃度(平均値±標準偏 差)は29.8±18.7
及び41.8±50.3 ng/mL、血漿中ケトン体代謝物濃度は 2.37±1.51
及び8.37±6.19 ng/mL、
カルボン酸体濃度は
54.5±39.7
及び119±71.9 ng/mL
であった。薬力学について、腎機能正常患者及び中等度腎機能障害患者における初回投与前後の
1
日累積尿 糖排泄量(平均値±標準偏差)は、腎機能正常患者で38.62±40.45
及び138.33±41.68 g、中等度腎機
能障害患者で2.46±3.17
及び47.04±14.52 g
であった。2)
腎機能障害を有する2
型糖尿病患者における単回投与試験(5.3.3.3-2:BP22321試験<2009年6
月~2010年3
月>参考資料)腎機能が正常及び腎機能障害を有する外国人
2
型糖尿病患者43(目標被験者数36
例)を対象に、本剤を単回経口投与したときの薬物動態、薬力学及び安全性に及ぼす腎機能の影響を検討するため、
非盲検並行群間比較試験が実施された。
42 1日平均腎糖再吸収阻害率(%)=(1日平均の糖の腎クリアランス/GFR)×100
1日平均の糖の腎クリアランス:1日累積尿糖排泄量/24時間血漿中平均グルコース濃度、GFR:iohexolクリアランスから算出したGFR 43 主な選択基準:スクリーニング時のHbA1c(NGSP値)が6.0以上10.5 %以下で、腎機能が正常又は腎機能障害を有する40歳以上80
歳以下の2型糖尿病患者
39
用法・用量は、腎機能正常患者(eGFRMDRD44
>80 mL/min/1.73 m
2)、軽度腎機能障害患者(50≤eGFRMDRD
≤80 mL/min/1.73 m
2)、中等度腎機能障害患者(30≤eGFRMDRD<50 mL/min/1.73 m
2)、重度腎機能障害患者(eGFRMDRD
<30 mL/min/1.73 m
2)に本剤20 mg
を空腹時に単回経口投与とされ た。総投与例数
36
例全例(腎機能正常患者11
例、軽度腎機能障害患者8
例、中等度腎機能障害患者9
例、重度腎機能障害患者8
例)が薬物動態、薬力学及び安全性の解析対象集団とされた。薬物動態について、本剤
20 mg
を単回経口投与したときの血漿中未変化体の薬物動態パラメータ は、表 24のとおりであった。表 24 本剤20 mgを単回経口投与したときの血漿中本薬未変化体の薬物動態パラメータ 腎機能障害
の程度
Cmax
(ng/mL)
AUCinf
(ng・h/mL)
tmaxa)
(h)
t1/2
(h)
CL/F
(L/h)
V/F
(L)
正常(n=11) 410±107 1740±628 1.00
(0.50-1.50) 6.21±0.965 13.0±5.01 119±60.6 軽度(n=8) 391±148 2070±984 0.992
(0.97-1.58) 5.65±0.851 11.2±3.89 88.6±26.4 中等度(n=9) 399±91.2 2040±419 0.967
(0.50-1.50) 6.06±1.23 10.2±2.31 88.6±22.1 重度(n=8) 360±118 1970±484 1.23
(0.50-1.50) 6.52±3.43 10.7±2.51 101±63.2 平均値±標準偏差
Cmax:最高血漿中濃度、AUCinf:無限大時間まで外挿した血漿中濃度-時間曲線下面積、tmax:最高血漿中濃度到達 時間、t1/2:消失半減期、CL/F:経口クリアランス、V/F:みかけの分布容積
a) 中央値(最小値-最大値)
腎機能正常患者に対する各腎機能障害患者の
C
maxの幾何平均の比とその90 %信頼区間は、軽度、
中等度及び重度腎機能障害患者(以下同順)でそれぞれ
0.92[0.70, 1.20]、0.98[0.81, 1.19]及び 0.86[0.68, 1.09]、AUC
infはそれぞれ1.16[0.85, 1.59]、1.22[0.96, 1.56]及び 1.17[0.91, 1.53]
であった。
本剤
20 mg
を単回経口投与したときの尿中本薬未変化体の薬物動態パラメータは、表 25のとおりであった。
表 25 本剤20 mgを単回経口投与したときの尿中本薬未変化体の薬物動態パラメータ 腎機能障害の程度 CLR(mL/min) fe(%)
正常(n=11) 22.7±8.00 0.122±0.076 軽度(n=8) 15.2±7.53 0.088±0.050 中等度(n=9) 6.71±2.08 0.041±0.014 重度(n=8) 3.70±1.54 0.020±0.007 平均値±標準偏差
CLR:腎クリアランス、fe:尿中排泄率
血漿中カルボン酸体の薬物動態について、
C
maxは腎機能正常患者に対してそれぞれ約1.4、約 1.8
及び約2.1
倍、AUC
infはそれぞれ約1.6、約2.5及び約 3.6倍であった。尿中排泄率はそれぞれ約 1/0.95、
約
1/1.06
及び約1/1.7、腎クリアランスはそれぞれ約 1/1.5、約 1/2.4
及び約1/5.4
であった。血漿中ケトン体代謝物の薬物動態について、Cmaxは腎機能正常患者に対してそれぞれ約
0.9、約 1.0
及び約1.2
倍、AUCinfはそれぞれ約1.3、約 2.0
及び約4.1
倍であった。尿中排泄率はそれぞれ 約1/1.2、約 1/1.5
及び約1/2.3、腎クリアランスはそれぞれ約 1/1.5、約 1/2.6
及び約1/6.9
であった。44 腎機能障害の程度はスクリーニング時の血清クレアチニンを用いてMDRD式(GFR(mL/min/1.73 m2)=175×血清クレアチニン−1.154
×年齢−0.203×[1.212(黒人の場合)]×[0.742(女性の場合)])で算出されたGFR値(eGFR)に基づき分類された。
非結合型分率(平衡透析法)について、本薬未変化体は腎機能正常患者、軽度、中等度及び重度 腎機能障害患者でそれぞれ
16.9、15.1、 15.6
及び19.7 %(平均値、以下同様)であり、カルボン酸
体は47.4~57.1 %、ケトン体代謝物は 54.6~58.5 %であった。
薬力学について、本剤
20 mg
を単回経口投与したときの1
日累積尿糖排泄量は、表 26のとおり であった。表 26 本剤20 mgを単回経口投与したときの1日累積尿糖排泄量 腎機能障害の程度 投与前日 投与日 投与翌日
正常(n=11) 6.7±8.8 81.5±34.0 23.9±21.2 軽度(n=8) 8.8±17.0 47.2±29.9 14.1±20 中等度(n=9) 2.0±3.8 21.2±8.9 7.4±7.0
重度(n=8) 0.55±0.25 11.9±7.3 6.5±3.2 平均値±標準偏差、単位:g
本剤の投与日の
1
日腎糖再吸収阻害率45(平均値)を検討した結果、腎機能正常患者、軽度、中 等度及び重度腎機能障害患者でそれぞれ32.0、32.6、27.4
及び36.7 %であった。
安全性について、有害事象は腎機能正常患者の
3/11
例に3
件、中等度腎機能障害患者の3/9
例 に4
件認められ、このうち副作用は腎機能正常患者の1/11
例に1
件(下痢)、中等度腎機能障害 患者の1/9
例に1
件(低血糖)認められた。軽度腎機能障害患者及び重度腎機能障害患者では有害 事象は認められなかった。死亡例、重篤な有害事象及び投与中止に至った有害事象は認められず、バイタルサイン及び心電図において臨床的に問題となる変化は認められなかった。
3)
肝機能障害者における単回投与試験(5.3.3.3-1:CSG007JP試験<2011年10
月~2012年4
月>)
肝機能が正常及び肝機能障害を有する日本人被験者(目標被験者数:肝機能正常者
8
例、肝機能 障害者8
例)を対象に、本剤を単回経口投与したときの薬物動態、薬力学及び安全性に及ぼす肝機 能の影響を検討するため、非盲検試験が実施された。用法・用量は、肝機能正常者及び肝機能障害者(Child-Pugh 分類
Class B(moderate))に本剤
40 mg
を朝食15
分前に単回経口投与とされた。総投与例数
17
例全例が薬物動態、薬力学及び安全性の解析対象集団とされた。薬物動態について、肝機能障害者における薬物動態パラメータは、表 27のとおりであった。
45 1日腎糖再吸収阻害率(%)=(1日平均の糖の腎クリアランス/GFR)×100
1日平均の糖の腎クリアランス:1日累積尿糖排泄量/24時間血漿中平均グルコース濃度、GFR:MDRD式で算出されたeGFRMDRD
41
表 27 肝機能障害者における薬物動態パラメータ 測定対象 Cmax
(ng/mL)
AUCinf
(ng・h/mL)
tmaxa)
(h)
t1/2
(h)
CL/F
(L/h)
V/F
(L)
肝機能正常者
本薬未変化体 846±206 3830±879 1.00
(0.50-1.50) 11.5±8.47 11.0±2.65 177±132 ケトン体代謝
物 28.1±7.32 188±30.0 1.25
(1.00-2.00) 6.73±1.12 - - カルボン酸体 262±84.1 3300±925 4.00
(4.00-10.0) 10.8±10.2 - -
肝機能障害者
本薬未変化体 1230±253 6720±2460 0.517
(0.50-1.00) 9.01±0.767 6.60±2.05 86.2±30.1 ケトン体代謝
物 28.9±8.09 257±95.0 1.00
(0.95-2.00) 8.06±1.59 - - カルボン酸体 236±76.8 3760±1180 4.00
(2.83-10.0) 7.51±1.72 - - 平均値±標準偏差、-:算出せず
Cmax:最高血漿中濃度、AUCinf:無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:消失半減期、
CL/F:経口クリアランス、V/F:みかけの分布容積 a) 中央値(最小値-最大値)
肝機能正常者に対する肝機能障害者の
C
max、AUC
last及びAUC
infの幾何平均の比とその90 %信頼
区間はそれぞれ1.47[1.19, 1.80]、1.70[1.32, 2.19]及び 1.70[1.32, 2.19]であった。また、投与 24
時間後までの本薬未変化体の累積尿中排泄率(平均値±標準偏差、以下同様)は、肝機能正常者 及び肝機能障害者で20.7±5.44
及び24.8±7.59 %、同様にケトン体代謝物では 4.59±0.560
及び4.72±1.17 %、カルボン酸体では 29.6±5.37
及び31.4±4.43 %であった。
薬力学について、本剤
40 mg
を単回経口投与したときの累積尿糖排泄量は、表 28のとおりであ った。表 28 本剤40 mgを単回経口投与したときの累積尿糖排泄量
測定時間 肝機能正常者(n=8) 肝機能障害者(n=9)
投与後0-24時間 64.4±12.8 53.5±20.7
投与後0-48時間 84.5±22.1 82.8±30.9
投与後0-72時間 85.1±22.3 87.8±33.0
平均値±標準偏差、単位:g
空腹時血糖値は、本剤投与直前において肝機能正常者及び肝機能障害者で
87.4±5.6
及び99.3±16.9 mg/dL、投与 1
日後では78.8±3.8
及び88.8±9.7 mg/dL、投与 2
日後では88.5±4.7
及び93.1±12.4 mg/dL
であった。安全性について、有害事象は肝機能正常者の
3/8
例に4
件、肝機能障害者の1/9
例に1
件認めら れた。副作用は、肝機能正常者の2/8
例に2
件(血中尿酸増加、ALT増加、各1
例)、肝機能障害 者の1/9
例に1
件(血中ケトン体増加)認められた。死亡例、その他重篤な有害事象及び投与中止 に至った有害事象は認められなかった。バイタルサイン及び心電図において臨床的に問題となる変 化は認められなかった。(5)薬物相互作用の検討
1)
プロベネシド又はケトコナゾールとの併用試験(5.3.3.4-3:BP21758試験<2008年5
月~7月>参考資料)
外国人健康成人男性(目標被験者数
15
例)を対象に、プロベネシド(OAT1/3 阻害剤)又はケ トコナゾール(CYP3A阻害剤)を投与したときの本剤の薬物動態に及ぼす影響を検討するため、非盲検