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3.3.3 フェーズ 2:因果探究

お茶の味に関する成分についての科学的な文献を参照する.例えば,お茶の味を構成す る成分として有名なものは,カテキン(渋み・苦み)とテアニンをはじめとするアミノ酸

(甘みや旨み)である[4].この科学的な説明をもとに,できるだけ多くの形容詞を用いて 表現したお茶の味を振り返り,評価項目を決定する.この決定された評価項目がおいしい お茶の要因となる.

さらに,定めた評価項目を基に,もう一度市販のお茶を飲み比べ,官能評価を用いデー タを採取する.データを分析し,おいしいお茶の味を見出す.ここで,データに基づいた 要因が原因として特定でき,目的「おいしいお茶」に対する原因と最適値が見出される.

例えばおいしいお茶は,甘み(原因)が強く(最適値),渋味(原因)はほどほど(最適 値),などである.

つぎに,おいしいお茶を淹れるためのプロセスに着目する.つまり,美味しいお茶とい う結果に対し,淹れ方に関する原因の特定のため,要因を列挙し分類し整理して仮説を立 てる.ここでは,お茶の抽出温度に着目し,おいしいお茶を淹れるための温度を原因変数 として官能評価を行い検証することとする.本教材では,茶葉 10g,抽出時間 3 分,湯量

450mlと条件を固定し,官能評価を行う.評価結果を全員分集計し,バブルチャートや散布

図等を用いて分析し,真の原因・メカニズムを特定する.

例えば,「おいしいお茶」の最適値の探究の際に,カテキンの味(渋み)への感度が高 かった被験者のみで層別を行うなどをして分析を行う.図3.5 は,それぞれ,横軸に温度,

縦軸に甘み,渋み,おいしさの評価点数をとっている.これをみると,75℃で淹れたお茶 が一番おいしいと感じる人が多いことがわかる.また,この 75℃のお茶に着目してみると 渋味がほどほどで,甘みを強く感じるお茶がおいしいと解釈することができる.このよう な実験結果の分析,及びおいしいお茶を淹れるための条件についての考察は,レポート課 題とする.

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では,なぜ 75℃で淹れたお茶がおいしいのか,この理由をデータに基づき科学的に考察 する.図3.6は,渋み,甘みの成分であるカテキンとアミノ酸の溶出量,温度,時間の関係 である.上煎茶における抽出時間(横軸)と,温度による渋み成分のカテキンとうま味成 分のアミノ酸の溶出量(縦軸)の関係を示したグラフである.このグラフより,温度が上 がるにつれてカテキン,アミノ酸の溶出量が上がることに気づくと考えられる.しかし,

図3.6(左)を参照し,アミノ酸量が一番多い90℃のお茶に着目すると,一番甘みを感じて

いないことがわかる.このことから,カテキン量が多いと渋みが強すぎて甘みを感じるこ とが難しくなると考えることができる.すなわち,両者の成分量のバランスが重要である ことが見出せる.そこで,それぞれ60℃,75℃,90℃で3分間抽出した際のカテキン,ア

図 3.6 カテキン量への感度が高い被験者の結果の例

2.3 3.0 1.5 -1012345

45 60 75 90

甘み

温度(℃)

甘みと温度の関係

1.3 2.8

4.5

-10123456

45 60 75 90

渋み

温度(℃)

渋みと温度の関係

2.8 4.2

2.7 0

1 2 3 4 5

45 60 75 90

温度(℃)

おいしさと温度の関係

図 3.5 上煎茶の抽出時間と抽出温度によるカテキンとアミノ酸の溶出量 の変化

(データの出典:[5])

0 2 4 6 8 10 12 14

0 2 4 6 8 10 12

カテキンの溶出量(%)

抽出時間(分)

抽出時間によるカテキン量の変化

95℃

80℃

60℃

40℃ 0 20 40 60 80 100

0 2 4 6 8 10 12

アミノ酸の溶出量(%)

抽出時間(分)

抽出時間によるアミノ酸量の変化

95℃

80℃

60℃

40℃

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ミノ酸の溶出量を図3.6より読み取り,カテキン量を横軸,アミノ酸量を縦軸とする散布図 に表す(図3.7).75℃で淹れたお茶が一番おいしいと感じる人が多かったことから,おい しいお茶を淹れるためには,カテキンとアミノ酸の溶出量を,各々7.6%,74%になるよう に淹れるとよいことがわかる.

図 3.7 上煎茶のカテキンとアミノ酸の溶出量の関係

3.3.4 フェーズ 3:対策実行

温度の見直しによりおいしいお茶になったかどうかを確認する.さらに,75℃で淹れた お茶と同様においしいお茶のもっと簡易な淹れ方を講じ,効果を確かめる.

最後に,一連の問題解決活動を手順・方法・考え方などに着目して振り返る.

このように,問題解決基本 3 フェーズを用いることによって,問題解決型の教材開発が 可能となる.

50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100

0 2 4 6 8 10 12 14

ア ミ ノ 酸 の 溶 出 量 ( %

カテキンの溶出量(%)

40℃ 60℃ 80℃ 95℃ 実験・3分

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