2.5 耐震性能に関する試験
2.5.2 繰り返し伸縮試験
(1) 試験条件
青ポリ管の地震動に対する許容ひずみは,3%であると設定されているが,青ポリ管の繰 り返し伸縮については,1998年の「水道配水用ポリエチレン管・継手に関する調査報告書」
だけであり,3%以上の繰り返し伸縮試験はこれまで行われていない.そこで,より高い材 料性能を確認するために,配水用ポリエチレンパイプシステム協会が発行する「水道配水 用ポリエチレン管の耐震設計の手引き」では,3%を上回るひずみ領域での繰り返し伸縮試 験(±3%,±4.5%,±6%,±8%)が実施されており,繰り返し伸縮の限界性能を把握す ることができる4).
ここでの繰り返し回数は,1Hzで30回とした.高圧ガス導管耐震設計指針によると,こ れまで発生した観測地震波から最大ひずみの等価繰り返し回数が算定されており,繰り返 し回数は,内陸型地震で2.9回(最大で11.2回),海溝型地震で5.6回(最大で5.45 回)
と設定されている5).よって,30回はおよそ 3倍程度の繰り返し回数であることに留意が 管軸ひずみ:±1.0%,±3.0%
加振周波数:1Hz 加振回数:50回
21
必要である.また,ひずみレベル±8%に関しては,破壊までのメカニズムを把握するため に繰り返し回数を50回とさらに増加させている.各繰り返し伸縮試験後には、引張試験を 行い,部材の材料強度に変化が無いか確認している.
(2) 試験結果
各ひずみレベルにおける繰り返し試験の結果を,図-2.5~図-2.8に示す.試験結果は,横 軸にひずみ,縦軸に応力を示し,各サイクルの履歴曲線として表す.
結果は,6%の繰り返し伸縮試験までは管体に目視で確認できる座屈等の異常および,急 激な応力変化は無かった.また,試験後の引張試験においても物性の低下は確認されなか った.一方で,管体に設置したひずみゲージの値は,4.5%までは軸方向にほぼ均一であっ たが,6%伸縮の場合は部分的にひずみが減衰するなど軸方向に均一な応力が負荷されない 状態が確認された.さらに伸縮量を大きくした8%の繰り返し伸縮試験によると,管体が局
所的に23℃から116℃まで(温度上昇93℃)発熱し,管体が約40回加振させた際に円周方
向に破断する結果となった.このことから繰り返し伸縮の限界は,目視での管体異常や試 験後の引張試験結果に問題はなかったものの,一部でひずみが減衰するなどの異常も見ら
れた6%から,管体が局所的に発熱し,実際に破断した8%の範囲にあると考えられる.
よって,現行の許容ひずみ3%は,繰り返し伸縮試験の限界値6%~8%に対しては少なく とも安全率2以上を有するレベルであることが確認された.
また,繰り返し伸縮試験後の残留ひずみは,3%伸縮で残留ひずみ0.5%程度,4.5%伸縮で 残留ひずみ1%程度,6%伸縮で残留ひずみ2%弱となることが確認された.これは,繰り返 し伸縮に伴い材料の塑性化が生じているためと推測されるが,繰り返し伸縮後の試験体に 対する引張試験結果では新管(繰り返し伸縮無し)との物性に差異が無いことから(表-2.3),
管路としての性能に問題が無いと判断されている.
‐20.0
‐15.0
‐10.0
‐5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0
‐4 ‐3 ‐2 ‐1 0 1 2 3 4
応力(MPa)
ひずみ(%)
Cycle 1 Cycle 5 Cycle 10 Cycle 15 Cycle 20 Cycle 25 Cycle 30
図-2.5 履歴曲線(±3%×30回)
温度上昇3℃
写真-2.2 試験後の供試体
22
‐25.0
‐20.0
‐15.0
‐10.0
‐5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
‐5 ‐4 ‐3 ‐2 ‐1 0 1 2 3 4 5
応力(MPa)
ひずみ(%) Cycle 1 Cycle 5 Cycle 10 Cycle 15 Cycle 20 Cycle 25 Cycle 30
図-2.6 履歴曲線(±4.5%×30回)
温度上昇6℃
写真-2.3 試験後の供試体
図-2.7 履歴曲線(±6%×30回)
‐30.0
‐20.0
‐10.0 0.0 10.0 20.0 30.0
‐8 ‐6 ‐4 ‐2 0 2 4 6 8
応力(MPa)
ひずみ(%) Cycle 1 Cycle 5 Cycle 10 Cycle 15 Cycle 20 Cycle 25 Cycle 30
温度上昇13℃
写真-2.4 試験後の供試体
図-2.8 履歴曲線(±8% 50回)
温度上昇93℃
写真-2.5 試験後の供試体
23
表-2.3 繰り返し伸縮試験後の引張試験結果
結果 判定
引張降伏強さ(MPa) 引張破断伸び(%)
0(加振なし) 23.7 760 -
±3% 23.8 757 ○
±4.5% 23.8 747 ○
±6.0% 23.6 742 ○
±8.0% - - -
備考)n=4平均値を示す
判定:JWWAの規格値を満足すること
(降伏応力20MPa以上・引張破断伸び350%以上)
24 2章参考文献
1) 積水化学工業㈱:水道耐震型高性能ポリエチレン管 技術資料,2017.
2) 日本ポリエチレンパイプシステム協会ホームページ:水道用ポリエチレン 2 層管技術 資料(2017年9月7日閲覧)
http://www.jppe.org/about/index.html#index01
3) 日本水道協会:水道配水用ポリエチレン管・継手に関する調査報告書,pp.26-pp.59,1998.
4) 配水用ポリエチレンパイプシステム協会:水道配水用ポリエチレン管の耐震設計の手 引き, 2018.
5) 日本ガス協会:高圧ガス導管耐震設計指針, pp.296-301,2013.
第3章
地中埋設管路の耐震設計法
25 3章 地中埋設管路の耐震設計法