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6.3 実験結果

6.3.3 サドル付分水栓

サドル付分水栓を設置した青ポリ管の耐震性評価を行う.評価のポイントは,サドル付 分水栓の近傍への応力集中とサドル付分水栓にズレが発生し,漏水するかどうかである.

(1) サドル付分水栓近傍へのひずみ集中

軸方向ひずみ分布(管頂,管底)を図-6.16~図-6.19 に呼び径φ50,φ200それぞれの結 果を示す.x 軸は載荷側の土槽端からの距離を示し,0.4m の位置に金属製サドル付分水栓 が設置されている.変位は変位計①の値を示す.

呼び径 50では,2mm の変位で0.1%の圧縮ひずみが発生し,相対変位の増加とともに圧 縮ひずみが増大し,実験で与えた最大変位では1%に達している.一方,St4地点では管頂,

管底ともにほとんどひずみが発生していないことがわかる.相対変位の増加に伴い,載荷 側を最大とする圧縮ひずみが作用し,その後滑りが生じる.滑り開始以降は設置したサド ル突起部に地盤反力が作用し,サドル部より載荷側では圧縮ひずみが増加し,サドル以降 ではひずみが小さくなった.サドル付分水栓は管頂側に分岐の張出部を有するため,曲げ が作用し,管頂側により大きな圧縮ひずみが作用した.

表-6.3に呼び径ごとの最大ひずみ(St1-上)を示す.レベル2地震動の際に想定される相 対変位量は表-5.4で示す通りであるため,これらの相対変位時に管路に発生する最大ひずみ を示している.最大発生ひずみは,呼び径200で0.05%,呼び径50で0.3%であった.また,

想定以上の滑りが作用する場合における最大相対変位 100mm においても,最大ひずみは 1.0%(呼び径50)であった.想定以上の滑りが生じた場合においても,青ポリ管に発生す るひずみは許容ひずみ以下となり,サドル部近傍への応力集中は耐震設計上,問題無いと 評価できる.

表-6.3 サドル部近傍に発生する最大ひずみ

呼び径50 呼び径100 呼び径200 レベル2地震動で

想定される相対変位Δ

(表-5.4参照)

0.3% 0.18% 0.05%

Δ=3.3mm Δ=6.4mm Δ=12.2mm 実験での最大相対変位

(Δ=100mm) 1.0% 0.35% 0.07%

83

-12000 -10000 -8000 -6000 -4000 -2000 0 2000

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

管頂ひずみ(μ)

載荷側からの距離(m)

相対変位2mm 相対変位10mm 相対変位20mm 相対変位50mm 相対変位100mm

St1-上

(管頂)

St2-上 St3-上 St4-上

サドル 設置箇所

St[番号]:ひずみゲージ

-12000 -10000 -8000 -6000 -4000 -2000 0 2000

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

管底ひずみμ)

載荷側からの距離(m)

相対変位2mm 相対変位10mm 相対変位20mm 相対変位50mm 相対変位100mm St1-下

(管底)

St2-下

St[番号]:ひずみゲージ St3-下 St4-下

サドル 設置箇所

図-6.16 管頂ひずみ(呼び径50) 図-6.17 管底ひずみ(呼び径50)

-800 -700 -600 -500 -400 -300 -200 -100 0 100

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

管頂ひずみ(μ)

載荷側からの距離(m)

変位2mm 変位10mm 変位20mm 変位50mm 変位100mm

サドル 設置箇所 St1-上

(管頂)

St2-上

St3-上 St4-上

St[番号]:ひずみゲージ

図-6.18 管頂ひずみ(呼び径200)

-800 -700 -600 -500 -400 -300 -200 -100 0 100

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

管底ひずみμ)

載荷側からの距離(m)

変位2mm 変位10mm 変位20mm 変位50mm 変位100mm サドル

設置箇所 St1-下

(管底)

St2-下

St[番号]:ひずみゲージ St3-下

St4-下

図-6.19 管底ひずみ(呼び径200)

84 (2) サドル付分水栓に作用した荷重

サドル付分水栓は,管と地盤との相対変位に伴い,地盤反力がサドル部に作用し,サド ルが管を拘束する力(摩擦抵抗力)を上回ることで,ズレて漏水することが懸念される.

表-6.4では,サドル付分水栓に作用した荷重を呼び径ごとに示す.表中の上段は,レベル2 地震動で想定される相対変位,下段は,本実験における最大相対変位100mmにおける値を 示す.サドル付分水栓に作用する荷重ΔPの算出方法は,直管部で滑りが開始した荷重Pcr

(初期勾配の変化点)を基準とし,滑り開始以降の荷重増分がサドル部に作用した荷重と 考え,その値を示す(図-6.20~図-6.23).

結果は,レベル 2 地震動で想定される相対変位において,サドル部に作用する荷重は 1.7kN~4.6kN となった.さらに,本実験における最大相対変位 100mm における荷重は,

7.7kN~10.3 kNであったが,サドル付分水栓がズレて漏水することは無く,サドル部の管体 を拘束する力(摩擦抵抗力)がサドル部に作用する地盤反力を上回る結果となった(写真-6.6

~写真-6.8).

よって,レベル2地震動で想定される相対変位および,想定以上の滑りを考慮した100mm 変位においてもサドル付分水栓からの漏水は無いと考えられる.

表-6.4 サドル付分水栓に作用する地盤反力ΔP

呼び径50 呼び径100 呼び径200 レベル2地震動で

想定される相対変位Δ

(表-5.4参照)

1.7kN 4.4kN 4.6kN Δ=3.3mm Δ=6.4mm Δ=12.2mm

実験での最大相対変位

(Δ=100mm) 7.7kN 8.6kN 10.3kN

85

図-6.20 荷重-変位曲線(呼び径50) 図-6-21 荷重-変位曲線(呼び径100)

0 5 10 15 20 25

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

荷重P(kN)

変位量δ(mm)

サドル付分水栓φ50×20

3.3mm 1.7kN

7.7kN

0 5 10 15 20 25

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

荷重P(kN)

変位量δ(mm)

サドル付分水栓φ100×20

4.4kN

8.6kN

6.4mm

図-6.22 荷重-変位曲線(呼び径200)

0 5 10 15 20 25

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

荷重P(kN)

変位量δmm)

サドル付分水栓φ200×20 4.6kN

10.3kN

12.2mm

写真-6.6 100mm変位後(呼び径50)

漏水無し

漏水無し

写真-6.8 100mm変位後(呼び径200)

写真-6.7 100mm変位後(呼び径100)

漏水無し

86 6章参考文献

1) 日本ガス協会:高圧ガス導管耐震設計指針,pp.26-49,2013.

2) 日本水道協会:水道施設耐震工法指針・解説,I総論,pp.257 pp.-272,2009.

3) 小池武:埋設パイプラインの地震時ひずみ評価,土木学会論文報告集,No. 331, pp. 13-24, 1983.

4) 西川源太郎,塩浜裕一,鈴木剛史,大沼博幹,清野純史:水道配水用ポリエチレン管 の地震動に対する耐震性評価に関する研究,土木学会論文集 A1,Vol.72,No.4,pp.

I_424-I_433,2016.

5) 西川源太郎,塩浜裕一,鈴木剛史,大沼博幹,清野純史:地震時における水道配水用 ポリエチレン管の異形管・給水分岐の耐震性評価,土木学会論文集A1,Vol.73,No.4,

pp. I-412-I_421,2017.

6) 配水用ポリエチレンパイプシステム協会:水道配水用ポリエチレン管の耐震設計の手 引き,2018.

第7章

給水管の耐震性評価

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7 章 給水管の耐震性評価