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繊維産業における製造工程くずの実態把握

ドキュメント内 表紙と目次.PDF (ページ 62-75)

 繊維製造に関わる各業種において、製造工程で発生する繊維系副産物・廃棄物の発生・処理状 況の把握を試みた。

3.1 調査の設計

 繊維産業における繊維系廃棄物・副産物の発生・処理実態を把握することを目的とし、表 3.1

‐1 に示す繊維・繊維製品製造業種を対象に、繊維・繊維製品の出荷量及びそれらを製造する際 に発生する繊維くずの形状・発生量・処理方法についてアンケート調査を実施した。

繊維・繊維製品製造業における業界団体名簿等から抽出した調査対象を表3.1‐1に示す。

表3.1‐1 調査対象事業所数

なお、本アンケート調査項目の設計を図3.1-1に示す。

業種 発送数 業界団体 抽出数

化合繊製造 19日本化学繊維協会 19

紡績業 7 日本麻紡績協会 2

日本羊毛紡績会 5

ねん糸かさ高製造業 20日本撚糸工業組合連合会 20

レース繊維製造業 18日本編レース工業組合連合会 18

織物業 65(社)日本絹人繊織物工業会 日本絹人繊

織物工業組合連合会 25

日本綿スフ織物工業連合会 27

日本毛織物等工業組合連合会 13

ニット生地製造業 19日本ニット工業組合連合会 19

綱・網製造業 13日本繊維ロープ工業組合 13

フェルト製造業 33日本フエルト協会 33

不織布製造業 2 日本不織布協会 2

じゅうたん・カーペット製造業 15日本カーペット工業組合 15

フラットヤーン製造業 62日本フラットヤーン工業組合 62

染色整理業 9 日本毛整理協会 9

寝具製造業 138全日本わた寝装品製造協同組合 18

日本羽毛寝具製造業協同組合 20

日本毛布工業組合 88

全日本ベット工業会 12

タオル製造業 37全国タオル工業組合連合会 37

カーテン製造業 24インテリア・ファブリックス協会 24

手袋製造業 22日本作業手袋工業組合連合会 12

日本手袋工業組合 10

衣服製造業 50日本アパレルソーイング工業組合連合会 20

日本被服工業組合連合会 20

輸縫連 10

業種別 業界団体別

図3.1-1 繊維・繊維製品製造業における繊維系廃棄物・副産物発生実態に関する アンケート調査項目

自治体で の処分量 自社焼却量 自社リサイクル量

自社での処分

繊維系廃棄物・副産物の発生量抑制及びリサイクルの取組 繊 維 系 廃 棄 物 ・ 副 産 物 の 発 生 量         繊維系廃棄物・副産物の発生源,発生形態,素材

出 荷 品 目 別 の 出 荷 量         業 務 内 容 ・ 事 業 の 規 模        

取引価格

他社リサイクル量   他社での処分量 他社での処分

リサイクル用途

3.2 調査結果

①  回収状況

 アンケート調査票の回収量は表 3.2-1の通りであり、総発送量533件に対し、210の回答が 得られ、回収率は全体で38%であった。また、回収された調査票のうち、199件が有効回答であ る。なお、得られた回答の業種区分は発送時に利用した所属団体の業種区分に従い、回収率を算 出した。「その他」分類の5件は、送付先にて複写し、送付先以外の企業より回答を得たものであ る。また、回収された調査票のうち、「2.繊維製品の製造について」「3.繊維系副産物(廃棄 物を含む)の発生量と処理方法」に回答のない調査票は無効とした。

表3.2-1 調査票回収状況 発送数

回収数(発 送業種)

回収率

(回収数/発送数)

有効回答数

(発送業種)

1 製糸業 0 0 - 0

2 化合繊製造業 19 9 47% 9

3 紡績業 7 4 57% 4

4 ねん糸かさ高製造業 20 12 60% 9

5 レース繊維製造業 18 10 56% 10

6 織物業 65 27 42% 27

7 ニット生地製造業 19 6 32% 6

8 綱・網製造業 13 4 31% 4

9 フェルト製造業 33 13 39% 13

10 不織布製造業 2 0 0% 0

11 じゅうたん・カーペット製造業 15 6 40% 5

12 フラットヤーン製造業 62 18 29% 13

13 ジャガード刺繍業 0 0 - 0

14 染色整理業 9 4 44% 4

15 寝具製造業 138 36 26% 35

16 タオル製造業 37 19 51% 19

17 カーテン製造業 24 10 42% 10

18 手袋製造業 22 10 45% 10

19 衣服製造業 50 17 34% 16

20 その他 0 5 5

553 210 38% 199

合計

②  回答事業者の業務内容・規模等

有効回答を得られた199事業者の業務内容及び事業規模等を表3.2-2に示す。表 3.2-2の回答 事業者数は調査票の質問項目1.において尋ねた業務内容(複数回答)による。複数の業務にま たがって活動する企業が多いため、所属団体の業種区分別回答数よりも全体的に大きくなってい る。業務内容「その他」を選択した 8事業者の具体的な業務内容としては、靴下製造業、帽子製 造業、伸綿加工業、織物壁紙製造業などが挙げられる。

また、表3.2-2 より、従業員数が多いのは、化合繊製造業(3,142人/社)、不織布製造業(1,912 人/社)、少ないのは、綱・網製造業(40人/社)、タオル製造業(45人/社)であり、平均出荷額が 多いのは、化合繊製造業(243,854百万円/年・社)、不織布製造業(148,004百万円/年・社)、少 ないのは、網・綱製造業(794 百万円/年・社)、タオル製造業(1,161 百万円/年・社)と、従業 員規模と平均出荷額規模はほぼ同じ傾向を示している。なお、調査票発送時に比較的規模の大き い事業者を抽出して発送したため、実質的な業種規模は表 3.2-2 より小規模であることが予想さ れる。

表3.2-2 回答事業者の業務内容と事業規模

1 製糸業 3 5,709 (3)  1,903 133,416 (3)  44,472

2 化合繊製造業 10 31,419 (10)  3,142 1,950,830 (8)  243,854 3 紡績業 28 14,376 (25)  575 559,563 (23)  24,329 4 ねん糸かさ高製造業 9 2,097 (9)  233 20,703 (7)  2,958

5 レース繊維製造業 11 838 (11)  76 12,439 (9)  1,382

6 織物業 43 13,733 (42)  327 617,569 (38)  16,252 7 ニット生地製造業 15 4,920 (14)  351 141,598 (14)  10,114

8 綱・網製造業 5 161 (4)  40 2,382 (3)  794

9 フェルト製造業 12 2,170 (12)  181 38,972 (9)  4,330 10 不織布製造業 11 19,122 (10)  1,912 1,332,037 (9)  148,004 11 じゅうたん・カーペット製造業 13 4,394 (11)  399 226,216 (12)  18,851

12 フラットヤーン製造業 3 333 (3)  111 10,574 (3)  3,525

13 ジャガード刺繍業 0 - - - - -

-14 染色整理業 11 8,871 (11)  806 413,599 (11)  37,600 15 寝具製造業 33 4,552 (32)  142 105,852 (36)  2,940

16 タオル製造業 20 897 (20)  45 19,733 (17)  1,161

17 カーテン製造業 9 3,178 (9)  353 95,779 (7)  13,683

18 手袋製造業 8 504 (8)  63 9,341 (8)  1,168

19 衣服製造業 22 7,189 (21)  342 134,737 (19)  7,091

20 その他 8 1,107 (8)  138 43,195 (8)  5,399

平均出荷額

(百万円/社)

業務内容

出荷額合計(百万円)

従業員数合計(人)

平均従業員 数(人/社)

(回答事業者数) (回答事業者数)

回答事業者

③  回答事業者における繊維製品の出荷状況

繊維製品品目別の出荷量について回答のあった182 社について、品目別の出荷量を表3.2-3 に 示す。「その他」出荷品目としては、繊維リサイクル商品、羽毛布団、再生わたが挙げられている。

1社あたりの平均出荷量の多い品目は化合繊(49,192t/年・社)、じゅうたん・カーペット(10,095t/

年・社)、少ない品目は手袋(980t/年・社)、ジャガード(138t/年・社)であった。

表3.2-3 回答事業者における繊維製品の出荷状況

④  発生源品目別繊維系副産物・廃棄物の発生・処理状況

<繊維系副産物・廃棄物の発生量>

回答事業者における発生源品目別の繊維系副産物・廃棄物の発生量を表 3.2-4 に整理する。な お、当該繊維製品を出荷しているとする回答のうち、副産物・廃棄物の発生・処理状況について 記載のないもの、回答された副産物・廃棄物が繊維ではないもの(梱包用段ボール、廃プラスチ ック等)は集計対象としなかった。また、フェルトを出荷する事業者のうち、中古衣料品を原料 とする株式会社中部・新東海フエルトについては、フェルト出荷量に対する繊維系副産物・廃棄 物発生量の割合が突出して大きいために、集計対象外とした。

繊維製品出荷重量あたりの製造工程における繊維系副産物・廃棄物の発生比率が多い品目は、

不織布(14.9%)、毛布(12.5%)、紡績糸(10.5%)であり、一方発生比率の低い品目は、ニット 生地(0.4%)、ねん糸(0.8%)、手袋(1.2%)であった。

繊維製品出荷

事業者数 出荷量(/年) 平均出荷量

(t/年・社)

1 10 21,846 2,185

2 化合繊 16 787,069 49,192

3 紡績糸 26 111,024 4,270

4 ねん糸 7 3,683 526

5 かさ高 3 16,726 5,575

6 レース 6 1,191 199

7 織物 41 85,977 2,097

8 ニット地 20 95,517 4,776

9 網/綱 5 3,375 675

10 フェルト 14 13,654 975

11 不織布 14 48,385 3,456

12 じゅうたん・カーペット 12 121,138 10,095

13 フラットヤーン 3 20,430 6,810

14 ジャガード 2 276 138

15 わた寝具 7 3,157 451

16 毛布 18 14,149 786

17 タオル 19 7,674 404

18 カーテン 7 2,443 349

19 手袋 8 910 114

20 衣服 18 17,645 980

21 その他 3 34,336 11,445

出荷品目

表3.2-4 製造工程における繊維系副産物・廃棄物の発生量(発生源品目別)

<処理状況>

 回答事業者における出荷品目別の繊維系副産物・廃棄物の処理状況を表3.2-5に示す。

他社でリサイクルを行っている品目が比較的多いが、レース、網/綱、フェルト、じゅうたん・カ ーペット、ジャガード、毛布、カーテン及び手袋製造工程において発生する繊維系副産物・廃棄 物については、他社で処分する量が比較的多くなっている。また、化合繊、不織布、わた寝具製 造工程で発生するものは自社においてリサイクルを行っている割合が多い。一方、自治体で処分 を行っている割合が多いのは、タオル、衣服製造工程において発生する繊維系副産物・廃棄物で ある。

当該品目 出荷事業

者数

集計対象 回答数※

出荷量 (t/年) (集計対象回答)

繊維系廃棄物・副産 物発生量 (t/年)

(集計対象回答)

繊維系廃棄物・副産 物発生率

(出荷量あたりのくず発生比率)

糸 10 8 21,834 1,531 7.0%

化合繊 16 14 785,769 35,489 4.5%

紡績糸 26 26 111,024 11,703 10.5%

ねん糸 7 5 3,350 26 0.8%

かさ高 3 3 16,726 332 2.0%

レース 6 6 1,191 71 6.0%

織物 41 37 83,496 4,339 5.2%

ニット地 20 18 95,461 416 0.4%

網/綱 5 5 3,375 70 2.1%

フェルト 14 12 8,646 695 8.0%

不織布 14 14 48,385 7,202 14.9%

じゅうたん・カーペット 12 12 121,138 9,873 8.1%

フラットヤーン 3 3 20,430 1,048 5.1%

ジャガード 2 2 276 27 9.6%

わた寝具 7 7 3,157 183 5.8%

毛布 18 17 14,069 1,765 12.5%

タオル 19 17 7,074 133 1.9%

カーテン 7 7 2,443 212 8.7%

手袋 8 8 910 11 1.2%

衣服 18 15 17,405 420 2.4%

その他 3 1 840 1 0.1%

※副産物・廃棄物の発生・処理状況について記載のないもの、発生するとする副産物・廃棄物が繊維ではないもの、繊維系 副産物・廃棄物発生率の割合が突出して大きい1事業者を除く

表3.2-5 製造工程における繊維系副産物・廃棄物の処理状況(発生源品目別)

⑤  繊維形状別の製造工程における繊維系副産物・廃棄物の発生・処理状況

 以下の理由により、製造工程における繊維系副産物・廃棄物の発生・処理状況を発生する繊維 の形状別に整理した。

・ 繊維系副産物・廃棄物の組成、リサイクル用途、取引価格は発生源品目ではなく、発生する 繊維の形状によって左右されると考えられるため。

・ 発生源品目別に集計する場合、一品目あたりのサンプル数が少ないことから、組成、用途、

取引価格など選択回答方式の詳細データについて信頼性が低い。

繊維形状別に集計する際には、複数の繊維系副産物・廃棄物の発生形状について合計した処分 量を記載している回答は、記載した全ての発生形状に当該合計処理量を計上し、また、発生形状 について記載のない回答は集計対象外とした。

<発生・処理状況>

繊維形状別の繊維系副産物・廃棄物発生・処理量を表 3.2-6 に示す。副産物種「その他」とし ては落綿、裁断くず・不良品以外の繊維くず、糸くずなどが多く挙げられ、発生形態「その他」

としては綿状、フェルト状が挙げられている。

糸状不良品や糸状その他繊維くずが多く発生している。他社でリサイクルされる割合が比較的 大きいが、固体状裁断くず、固体状不良品、汚泥は他社で処分されている割合が高い。

単位:t

8 1,531 185 (12%) 1 (0%)  962 (63%)  383 (25%)  1 (0%)  化合繊 14 35,489 14,365 (40%) 2,012 (6%)  16,620 (47%)  2,500 (7%)  25 (0%)  紡績糸 26 11,703 2,083 (18%) 976 (8%)  7,184 (61%)  1,464 (12%)  30 (0%) 

ねん糸 5 26 6 (25%) 0 (1%)  11 (41%)  9 (33%)  0 (0%) 

かさ高 3 332 31 (9%) 1 (0%)  270 (82%)  30 (9%)  0 (0%) 

レース 6 71 0 (0%) 24 (34%)  0 (0%)  45 (63%)  2 (3%) 

織物 37 4,339 432 (10%) 884 (20%)  1,984 (46%)  945 (22%)  92 (2%)  ニット地 18 416 46 (12%) 31 (8%)  161 (40%)  83 (21%)  81 (20%) 

網/綱 5 70 0 (0%) 2 (8%)  2 (8%)  24 (81%)  1 (3%) 

フェルト 13 695 107 (15%) 46 (7%)  68 (10%)  400 (58%)  74 (11%)  不織布 14 7,202 3,001 (42%) 571 (8%)  2,993 (42%)  632 (9%)  6 (0%)  じゅうたん・カーペット 12 9,873 1,113 (11%) 1,225 (12%)  2,130 (22%)  5,404 (55%)  0 (0%)  フラットヤーン 3 1,048 0 (0%) 308 (29%)  534 (51%)  206 (20%)  0 (0%) 

ジャガード 2 27 0 (0%) 5 (20%)  8 (28%)  14 (51%)  0 (0%) 

わた寝具 7 183 62 (34%) 43 (23%)  0 (0%)  55 (30%)  23 (13%) 

毛布 17 1,765 5 (0%) 0 (0%)  739 (42%)  835 (47%)  185 (10%) 

タオル 17 133 2 (2%) 16 (12%)  20 (15%)  12 (9%)  82 (62%) 

カーテン 7 212 12 (6%) 0 (0%)  13 (6%)  184 (87%)  3 (1%) 

手袋 8 11 2 (20%) 0 (2%)  1 (4%)  6 (49%)  3 (25%) 

衣服 15 420 5 (1%) 10 (2%)  141 (34%)  100 (24%)  164 (39%) 

その他 1 1 0 (0%) 0 (0%)  0 (0%)  1 (100%)  0 (0%) 

合計 75,545 21,457 (28%) 6,156 (8%)  33,839 (45%)  13,330 (18%)  773 (1%)  繊維系副産

物・廃棄物発 生量回答数

繊維系副産 物・廃棄物発

生量

自治体処分量

自社リサイクル量 自社焼却量 他社リサイクル量 他社処分量

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