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線積分

ドキュメント内 微分積分学2 (ページ 123-127)

第 6 章 ベクトル場と微分形式 103

6.3 線積分

が成り立つ. すなわち,曲線の長さ LC は曲線のパラメータ表示によらないことがわかる.

明らかに,曲線C 上で定義された連続関数f(x, y, z) (x, y, z)∈C に対して,積分

I

f(Φ(t))· TC(t)dt

の値が曲線C の向きを保つパラメータ表示によらずに決まることがわかる.すなわち,

du

dt >0 (t∈I) ならば

I

f(x(t), y(t), z(t))TC(t)dt=

J

fx(u), y(u),˜ z(u))˜ T˜C(u)du が成り立つのである.この積分を線積分と呼び

C

f(x, y, z)ds と表す,ds=TC(t)dt は 線素である. さらに,I からJ へのC1級同型(全単射)写像 ϕ:I→J が向きを保たないと きには,すなわち, du

dt <0 (t∈I) ならば

I

f(x(t), y(t), z(t))TC(t)dt=

J

fx(u), y(u),˜ z(u))˜ T˜C(u)du

定義 線積分

C

f(x, y, z)ds=

C

f(x(t), y(t), z(t))· TC(t)dt .

線積分(の値)は曲線の向きを保つパラメータ表示によらない.

例えば,曲線C上のベクトル場 X(x, y, z) = (f(x, y, z), g(x, y, z), h(x, y, z)) ((x, y, z)∈C) に注目するときには,ds=||TC||dtであるから

C

X·tCds = b

a

X·TCdt = b

a

f(x, y, z)x+g(x, y, z)y+h(x, y, z)z

dt は接線方向成分の大きさの積分と考えられる.

例 Ωを R2 の有界閉領域とし,その境界∂Ωは有限個の区分的に滑らかな曲線からなる閉 曲線であるとする.A(x, y) = (f(x, y), g(x, y))をΩ上のC1級ベクトル場とする.曲線∂Ω の正の(領域Ωの内部を左に見て進む)向きのパラメータ表示がx=x(t), y=y(t) (a≤t≤b) であるとき,曲線∂Ωの単位法線ベクトル n= 1

x(t)2+y(t)2,(y(t),−x(t)) を考えると

線積分

ΩA·nds =

Ω

f(x, y) y

x2+y2 −g(x, y) x x2+y2

ds

= b

a

f(x, y) y

x2+y2 −g(x, y) x x2+y2

·

x2+y2 dt

= b

a

f(x, y)y −g(x, y)x

dt

が成り立つ,ただし 境界∂Ωに沿っての線積分は正の(領域Ωの内部を左に見て進む)向きに積 分する.

D. 一次微分形式の線積分 曲線上沿っての線積分を一次微分形式に関連して表現することは,

曲面上での線積分と面積分の関係を示すStokesの定理を理解するためにも重要である.

空間R3のある領域で定義された関数f(x, y, z), g(x, y, z), h(x, y, z)とこの領域内にある 滑らかな曲線

C : x=x(t), y=y(t), z=z(t) (a≤t≤b)

を考える.ここで 曲線が滑らかとは, 関数x(t), y(t), z(t)C1級であるという意味である.

定積分 b

a

f(x(t), y(t), z(t))x(t) +g(x(t), y(t), z(t))y(t) +h(x(t), y(t), z(t))z(t)

dt を曲線 Cに沿っての一次微分形式 ω=f(x, y, z)dx+g(x, y, z)dy+h(x, y, z)dz の線積分

といい

C

ω または

C

f(x, y, z)dx+g(x, y, z)dy+h(x, y, z)dz

と表す.曲線C に沿っての一次微分形式ωの線積分について,曲線 C上の(一次微分形式ω に付随する)ベクトル場

X(x, y, z) = (f(x, y, z), g(x, y, z), h(x, y, z)) ((x, y, z)∈C) に注目するときには,

C

X·tCds =

C

f(x, y, z)dx+g(x, y, z)dy+h(x, y, z)dz=

C

ω が成り立っている.

(一次微分形式の)線積分の性質:

一次微分形式 ω=f(x, y, z)dx+g(x, y, z)dy+h(x, y, z)dz を考える.

(1) 曲線Cの向きを変えないパラメータの変換

t=ϕ(τ) (α≤τ≤β) ϕ(τ)>0 (α≤τ≤β), a=ϕ(α), b=ϕ(β) を行っても線積分の値は変わらない.すなわち

C : x(τ) =˜ x(ϕ(τ)), y(τ) =˜ y(ϕ(τ)), z(τ) =˜ z(ϕ(τ))≤τ≤β) に対して,

C

ω =

C

f(x, y, z)dx+g(x, y, z)dy+h(x, y, z)dz

= b

a

f(x(t), y(t), z(t))x(t) +g(x(t), y(t), z(t))y(t) +h(x(t), y(t), z(t))z(t)

dt

= β

α

fx(τ),y(τ˜ ), ˜z(τ))˜x(τ) +g(˜x(τ), y(τ˜ ),z(τ))˜˜ y(τ) +h(˜x(τ),y(τ˜ ),z(τ))˜˜ z(τ)

(2) 曲線Cの向きを変えるパラメータの変換

t=ϕ(τ) (α≤τ≤β) ϕ(τ)<0 (α≤τ≤β), b=ϕ(α), a=ϕ(β)

を行うと線積分の値は1倍される.すなわち,曲線C の向きを変えたものを−C と表すと

−C : x(τ) =˜ x(ϕ(τ)), y(τ) =˜ y(ϕ(τ)), z(τ) =˜ z(ϕ(τ)) (α≤τ≤β) に対して,

C

ω =

−C

ω.

(3) 曲線Cが二つの曲線

C1 : x=x1(t), y=y1(t), z=z1(t) (a≤t≤c) C2 : x=x2(t), y=y2(t), z=z2(t) (c≤t≤b)

に(互いに重ならないように)分割されるとき

C

ω=

C1

ω+

C2

ω.

(4) 一次微分形式についての線形性 二つの一次微分形式

ω1=f1(x, y, z)dx+g1(x, y, z)dy+h1(x, y, z)dz ω2=f2(x, y, z)dx+g2(x, y, z)dy+h2(x, y, z)dz に対して

ω1+α ω2 =

f1(x, y, z) +αf2(x, y, z) dx+

g1(x, y, z) +αg2(x, y, z) dy +

h1(x, y, z) +αh2(x, y, z) dz と定義するとき

C

ω1+α ω2

=

C

ω1+α

C

ω2R).

線積分

C

ω は空間 R3 上の座標系の取り方によらない(すなわちC1 級座標変換に対して 不変である).

問 滑らかな平面曲線 C:x=x(t), y=y(t) (a≤t≤b)は自然に空間曲線 C˜ :x=x(t), y= y(t), z= 0 (a≤t≤b) と見なせる.また,平面上で定義された二変数関数f(x, y)も自然に空 間で定義された連続関数 f˜(x, y, z) =f(x, y) と考えることができるので,平面上の二変数連 続関数によって定義される一次微分形式 ω=f(x, y)dx+g(x, y)dy が与えられた場合に, 空 間上の一次微分形式 ω˜ = ˜f(x, y, z)dx+ ˜g(x, y, z)dy+ 0dzが自然に考えられる.

このことから, 平面曲線C と平面上の二変数連続関数によって定義される一次微分形式 ω=f(x, y)dx+g(x, y)dy が与えられた場合に,平面R2 上の線積分をつぎの関係式

C

ω =

C˜

˜ ω を通して定義することができる.

このとき,平面R2 上の線積分

C

ω が座標系の取り方によらないことを示せ.

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