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②プロドライバー

図6-6より,プロドライバーが車いす使用者とすれ違う際の速度割合の平均は44%,車 いす使用者との距離の平均は191%であった.一般ドライバー(速度割合68%,車いす使 用者との距離 177%)と比較すると,プロドライバーの方が速度を落とし,かつ距離をと ってすれ違う傾向にあった.また,平均値を求める際には外れ値として除いたが,車いす 使用者とすれ違う際に停止した車両が1台(タクシー)あった.

図6-7に示したように,視覚障害者とのすれ違いでは,速度割合の平均が42%,視覚障 害者との距離が 254%であり,やはり一般ドライバーよりも速度を落とし,大きく避けて 通る車両が多かった.また,平均値を求める際には外れ値として除いたが,視覚障害者と すれ違う際に停止した車両が4台(このうち3台はタクシー,1台は宅配車),警笛を鳴ら した車両が2台(いずれもタクシー)あった.

図6-6.車いす使用者役とのすれ違い(プロ) 図6-7.視覚障害者役とのすれ違い(プロ) ※( )内の「プロ」とは,プロドライバーのことである.

も,ドライバーが十分に減速し,間隔を空けてすれ違っていることが明らかになった(測 定開始地点と比べて速度割合の平均は約6割,間隔の平均は200%超).加えて,すれ違う 際に一時停止をした車両も少数ながら確認された.

視覚障害者と車いす使用者については,速度も間隔も配慮しないとした運転者は14%で あり,運転者の多くは速度か間隔,あるいはどちらについても配慮をするとした.ただし,

車いす使用者とのすれ違いにおいて,速度をかなり落とすか停まることが望ましいと答え た者は 82%(かなり減速56%,停まる26%)であったのに対し,実際にそのような対応 をとるとした者は65%(かなり減速51%,停まる 14%)であった.また,間隔をかなり 空けることが望ましいと答えた者は63%であったが,実際にかなり空けるとした者は55% であった.5章,6章の実験では,測定開始地点と比べてすれ違い時の速度割合の平均が約 7割,間隔の平均が160%前後であり,高齢者とすれ違った場合の結果と近似していた.

幼児連れの親子とのすれ違いにおいては,81%が速度をかなり落とすか停まることが望 ましいと答えたが,実際にそのようにしていると答えた者は69%であった.一人歩きの幼 児とすれ違う時に速度をかなり落とすか停まる者は86%いたことから,幼児が親といる場 合には,幼児一人でいる時ほどの危険を運転者が感じていないことがうかがえる.すれ違 う際の間隔についてもかなり空けるとした者は,幼児一人の場合は 63%いたのに対して,

親がついている場合は 48%であった.5,6 章の実験結果をみると,測定開始地点と比べ て速度割合の平均は 6 割超,間隔の平均は 200%前後であり,車いす使用者や高齢者との すれ違いよりも減速し,間隔を空けている者が多かった.

②一般ドライバーとプロドライバーの違い

プロドライバーはヒアリング調査(4 章)において,幼児については車道に飛び出す可 能性をふまえて時速 30km以下ですれ違うと述べた.また,視覚障害者や車いす使用者と のすれ違いにおいてはいつでも停まれるように減速し,かなりの距離を空けるとした.さ らに,高齢者とのすれ違いにおいてはかなり速度を落とすものの,間隔は多少空ける程度 であると答えた.5,6章の実験結果から,視覚障害者や車いす使用者とのすれ違いにおい てプロドライバーは,一般ドライバーよりも減速し,十分に間隔を空けていることが確認 された.

③交通弱者が自動車運転者に求めること

3 章の調査結果より,視覚障害者はドライバーに対して,歩車道が分離されていない歩 道では,視覚障害者との間隔を空けて徐行をしながらすれ違うことを望んでいた.また,

すれ違う際に一時停止をしないことを求めていた.さらに,よほどの危険がない限りはそ ばで警笛を鳴らさないこと,屈曲した場所でのすれ違いでは視覚障害者が屈曲に気づかず に車道側に出てくる可能性をふまえて,より速度を落とし,間隔を空けるなどの配慮をす ることを望んでいた.

車いす使用者は,自動車に気づいた場合は端に避けるなどの対応をとっていた.一方で,

雨水がたまった場所,凍っている場所など,歩道や道路端には車いす使用者が通行できな い場所もある.また,歩道が車道側に傾いている場所では,車いす使用者は車道側に転倒 する可能性がある.そのため,道路端に寄れない場合でも,またバランスを崩して車道側

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に倒れても接触せずにすむだけの間隔を空けることをドライバーに求めていた.転倒やつ まずきの可能性はシルバーカーを使用する高齢者からも挙がった.つまり,高齢者も車い す使用者と同様に,自分がつまずいたり転んだりしても接触せずに済むだけの間隔を空け てすれ違うことをドライバーに求めていた.

ADHD 傾向のある幼児の保護者は,大人が一緒についていても ADHD の子どもが急に 車道に飛び出してしまうことがあるため,幼児のそばを通る時にはいつでも停車できるく らいの速度で走行することを求めていた.

7.2 総合的考察

一般ドライバー,プロドライバーともに,交通弱者とすれ違う際には通常の歩行者より速 度と間隔に配慮する傾向があったが, 歩行者の属性によって運転行動には違いがみられた.

視覚障害者とのすれ違いでは,プロドライバーだけでなく一般ドライバーも,他の交通 弱者の時以上に減速し,大きく迂回して避けていた.視覚障害者は,白杖を巻き込まれた り,車道に迷い出た時に接触したりすることのない間隔を空けることを望んでおり,上述 したドライバーの行動は視覚障害者のニーズに応じた適切な行動であると言える.一方,

運転者の2 割超が一時停止をしていると答え,実験でも停止した車両が確認されたが,視 覚障害者は,車両が自分のそばで一時停止してもなぜ停まったのか,自分はどう対応すれ ばよいのかがわからないため,強いとまどいを感じていた.そのため,視覚障害者とすれ 違う際に一時停止をすべきではないことを,ドライバーには伝えていく必要がある.

車いす使用者やシルバーカーを使用する高齢者とのすれ違いでは,運転者が視覚障害者 ほど速度を落としたり間隔を空けたりする必要性を感じていないことがうかがえた.しか し,車いす使用者が車道側に転倒するケースや高齢者がつまずいたり転倒したりするケー スがあり(安心院ら,2010;徳田ら,2001など)、ドライバーはこのことをふまえた運転 行動をとる必要がある.今後は運転免許をもつ者にこの情報を提供し,車いす使用者や高 齢者が転倒しても接触しなくて済むだけの減速と、間隔を空ける必要性について理解を促 していかなくてはならない.

幼児とのすれ違いについて,運転者は幼児が親と一緒にいる場合は幼児がひとり歩きを している時よりも危険性を低く評価していた.実験では,幼児と親が一緒に歩いている場 合でも測定開始地点の 6 割ほどまで減速し,2 倍の間隔を空けてすれ違う様子が観察され たが,今後は大人がついていても幼児が車道に飛び出してくる可能性があることをドライ バーにより強調して伝え,子どもが車道に出てもすぐに停まれるほどに減速をすることを 求めていく必要がある.

なお,交通弱者に自らの存在を伝えるために警笛を鳴らすとした運転者がいたが,特に 視覚障害者や高齢者は自分のそばで警笛が鳴ると,非常に驚くとともに,どう対応してよ いかわからずとまどうことになる.そのため,そばで警笛を鳴らすという対応は不適切で あることを運転者に伝えていくべきである.ただし,視覚障害者は走行音の小さい電気自 動車の存在をこわいと感じていた.このことから,視覚障害者の中には「少し離れたとこ ろから軽く警笛を鳴らしてもらうと,自動車の存在に気づけるのでよい」と述べた者がい

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