①一般ドライバー
各属性の歩行者とのすれ違いにおける速度割合の平均と,歩行者との距離の平均を図6-1
~6-5 に示した.なお,歩行者が視覚障害者であったケースにおいて,すれ違う際に完全 に停止した車両や,停止に近い状態まで速度を落とした車両があった.以下ではこれらの 結果を含めて考察を行うものの,これらのデータを含めて速度割合の平均を算出すると実 態とはかけ離れた結果となるため,速度割合や歩行者との距離の平均を算出する際には除 外することにした.
図6-1より,健常者とのすれ違いに関しては,速度割合の平均が86%,健常者との距離 の平均が 131%であった.健常者との距離については第 5 章の実験(図 5-2)とほぼ同じ 結果が得られた.速度割合に関しては第5 章の実験よりもその平均値が大きく,公道で観 察された車両の方が健常歩行者とすれ違う際に速度を緩めない傾向にあった.第 5章の実 験参加者は自身の運転を実験者に見られていたわけであり,その点では自らの運転行動を 通常よりも意識していたと考えられる.そのため,通常よりは走行速度が抑えられた可能 性がある.つまり,公道で観察された速度割合の平均の方が現状をより反映していると推 察される.
図6-2~6-5より,一般車両が交通弱者とすれ違う際の速度割合の平均は,いずれも健常 者より低かった.また,歩行者との距離についても,健常者より大きく避ける傾向にあっ た.歩行者の属性ごとの結果をみると,第 5 章の結果と同様に,視覚障害者や幼児連れと のすれ違いにおいて,ドライバーが大きく距離をあけ(視覚障害者 208%,幼児と母親 215%),速度を落としている(視覚障害者60%,幼児と母親63%)ことがわかる.また,
図 6-5 の結果には含めなかったが,視覚障害者とのすれ違いにおいては,停止した車両や 停止に近い状態まで速度を落として徐行した車両が観察された(停止が 2台,停止に近い 徐行が 4台).さらに,視覚障害者とすれ違う際に,警笛を鳴らした車両が2台あった.
図6-1.健常者とのすれ違い(一般) 図6-2.高齢者役とのすれ違い(一般) ※( )内の「一般」とは,一般ドライバーのことである.以下も同様.
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図6-3.幼児連れとのすれ違い(一般) 図6-4.車いす使用者役とのすれ違い(一般)
図6-5.視覚障害者役とのすれ違い(一般) 写真6-1.高齢者役を避ける様子
写真 6-2.幼児連れを避ける様子 写真6-3.視覚障害者役を避ける様子
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②プロドライバー
図6-6より,プロドライバーが車いす使用者とすれ違う際の速度割合の平均は44%,車 いす使用者との距離の平均は191%であった.一般ドライバー(速度割合68%,車いす使 用者との距離 177%)と比較すると,プロドライバーの方が速度を落とし,かつ距離をと ってすれ違う傾向にあった.また,平均値を求める際には外れ値として除いたが,車いす 使用者とすれ違う際に停止した車両が1台(タクシー)あった.
図6-7に示したように,視覚障害者とのすれ違いでは,速度割合の平均が42%,視覚障 害者との距離が 254%であり,やはり一般ドライバーよりも速度を落とし,大きく避けて 通る車両が多かった.また,平均値を求める際には外れ値として除いたが,視覚障害者と すれ違う際に停止した車両が4台(このうち3台はタクシー,1台は宅配車),警笛を鳴ら した車両が2台(いずれもタクシー)あった.
図6-6.車いす使用者役とのすれ違い(プロ) 図6-7.視覚障害者役とのすれ違い(プロ) ※( )内の「プロ」とは,プロドライバーのことである.