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食関 連業界 にと っ て信頼 性の確 保は 不 可欠で あり,原 材料 の 異種混 合や産 地およ び期限 表示 の 偽装は その根 幹を 揺 るがす 極めて 重大 な 問題で ある.特 に,オレ ンジ など の カンキ ツ類は 種類 が 多く,意 図的 にあ る いは偶 発的に偽 和 が 懸念 さ れる 食品 素材 で あ る . 中 でも ,シ ーク ワ シャ ー(Citrus depressa

Hayata)は抗が ん作 用 や抗炎 症作用 など の 健康機 能をも つこ と が報告 されて

いるこ とから 需要 が 急増す る一方 で,慢 性的な 原料不 足と な ってい た.その ため 供給 不 足を 補う ため にシ ー クワ シャ ー の 代 わ り に カ ラマ ンシ ー(Citrus madurensis Lour.)を シーク ワシャ ーと 偽 称して 輸入し ,シー クワシ ャー果 汁 に混入 して販 売 す る 原材料 を偽装 した 偽 和果汁 の流通 が横 行 してい た.シー クワシ ャーと カラ マ ンシー の果汁 は類 似 した性 状を示 すた め,カラマ ンシー 果 汁 が 混 入 した シ ー ク ワ シ ャ ー 果汁 を 外 観 から 識 別 す る こ と は 困難 で あ る . そのた め本研 究で は,シーク ワシャ ー果 汁 の真正 性を評 価す る ことを 目的と して,果 汁の官 能特 性 ならび に品質 成分 に 着目し たシー クワ シ ャー果 汁とカ ラ マ ン シ ー 果 汁 の 識 別 お よ び 偽 和 果 汁 の 判 定 に 関 す る 分 析 法 の 開 発 を 試 み た.

まず,第 2 章 では シ ークワ シャー を含 む カンキ ツ摂取 の有 用 性を明 らかに するこ とを目 的と し て,カン キツ果 汁の 摂 取によ るスト レス 緩 和効果 をヒト 試験で 検証し た.試 験 飲料に は シー クワ シ ャーと 同様の 香気 成 分組成 を示す 日本固 有の香 酸カ ン キツで あるユ ズの 果 汁入り 飲料を 用い た.被験者 に試験 飲料を 摂取さ せた 後,単純作 業によ る精 神 的 スト レスを 負荷 す る試験 を実施 した.ス トレ ス負 荷 試験で は,評 価指 標 として 心拍変 動お よ び脳波 を測定し た.その 結果,ユズ 果 汁入り 飲料を 摂取 す ること でスト レス 緩 和を示 す副交 感神経 活動の 亢進 お よび α 波の 増加が 確 認され たこと から ,カ ンキツ 果汁の

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摂 取 は 香 気 成 分 の 鼻 孔 か ら の 吸 引 と 同 様 に ス ト レ ス 緩 和 効 果 を 示 す と 推 測 された .

次に 第 3 章で は,最 も消費 量が多 い輸 入 オレン ジ果汁 を対 象 として,果汁 の真正 性を評 価可 能 な品質 因子を 明ら か とする ため,色調 ,糖,有 機酸,フ ラボノ イドお よび 香 気成分 を分析 し,個 別 の指標 が真正 性評 価 に適用 できる かを考 察する とと も に,産地 判別手 法と し て用い られて いる 元 素濃度 および 重元素 同位体 比に つ いて 検 討を加 えた . 試料は 産地の 異な る 5 か国合 計 36 種類の 冷凍濃 縮オ レ ンジ果 汁を用 い, 欧 州の果 汁ガイ ドラ イ ンである AIJN に準拠 し,糖 用屈折 計 示度 が 11.2°Birx とな るよう に希釈 して 分 析に供 した . 各 種の 項 目・成 分の 測 定 結果 か ら , 色 調 は 産 地間 で 大 きな 差 は 確 認さ れ ず , 色調だ けで真 正性 を 判断す るのは 困難 で あると 考えら れた.糖 類組成 比は真 正性の 評価指 標の 候 補であ ったが,一次 代 謝産物 である 糖類 は 果実の 栽培条 件や熟 度など によ る 変動が 危惧さ れた た め,糖類 組成比 のみ で 真正性 を評価 するの は困難 であ る と判断 した.有 機酸 量 は産地 間での 差異 が 確認さ れたこ とから,産地 判別 に 用いる ことが 可能 と 推察さ れたが ,糖 類 と同様 な理由に より真 正性評 価に は 適さな いと考 えら れ た .糖類 や有機 酸類 と 比較し てフラ ボノイ ドや香 気成 分 などの 二次代 謝産 物 は,カン キツの 種類 に より組 成や含 量の差 異が大 きい 一 方,それ ら同一 産地 内 ではそ の含量 の変 動 が小さ いこと から,産 地判 別に 利 用でき る可 能 性が 示 唆 され たが,単一 の 成分を 因子とし て真正 性を識 別す る ことは 困難で ある と 考えら れた.産 地判 別 に利用 されて いる元 素濃度 およ び 重元素 同位体 比で は ,Sr の同位体 比と Sr および Rb 濃 度を用 いるこ とで 一 部の産 地に限 ると 産 地判別 できる こと が 判明し た.個別 解析に よる真 正性 評 価の結 果から,単一 の 成分因 子では 評価 が 困難で あると 判 断さ れ た た め , 次 に 主成 分 分 析 法を 用 い て さ ら な る 検 討 を 行 った .59 項 目 の品 質 成 分 値 によ る 主成 分 分 析 を 行っ た 結果 , 産 地 の 違い が 第 1 主 成分

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(寄与 率 29.72%)お よび 第 2 主成 分( 寄 与率 10.93%)によ っ て説明 可能と なった .第 1 主成 分で 寄与度 の高い 成分 は,d-limonene(主 成分負 荷量,0.947) などの 香気成 分 や nobiletin(0.771)な どの フラボ ノイド であ り ,第 2 主成 分 では糖 類であ った .しかし ながら ,糖 類 は果実 の栽培 条件 や 熟度な どの影響 を受け 易いた め,変 動 が小さ い香気 成分 や フラボ ノイド など の 二次代 謝産物 が,判別 因子 とし て 有用で あると 判断 し ,シーク ワシ ャー の 真正性 を評価す るため の指標 とし て 選定し た.

第 4 章では ,シ ー クワシ ャー果 汁の 真 正性の 評価法 を設 定 するた めに,官 能評価 法,ク ロマ ト グラフ 法およ び DNA 識別法 につい て検 討 した. 官能評 価法で は,シー クワ シ ャー果 汁にカ ラマ ン シー果 汁を混 合し た モデル 偽和果 汁を調 製し,3 点 識 別法お よびシ ェッ フ ェの一 対比較 法を 実 施した .3 点識 別法で はカラ マン シ ー 果汁 の 50%以上の 混入は 有意水 準 1%で 識別可 能であ った.ま た,シェ ッ フェの 一対比 較法 に より,官 能評価 では 色調と 香りが 有 用な識 別 因子 であ る ことが 示され た.し かしな がら,官能評 価法で は 50%未 満のカ ラマン シー 混 入は識 別困難 なた め,次に分 析 機器 によ る 評価法 を検討 した.果 汁の 真正 性 を評価 する上 で最 も 確実性 が高い 方法 は ,その果 汁に固 有な成 分 もし くは 両 果汁で 含量が 異な る 成分に 着目し た分 析 法であ る.カラ マンシ ーに固 有な 成 分であ る 3’, 5’ -di-C-β-glucopyranosylphloretin(フロ レチ ン 配 糖 体 ) を 識 別 指 標 と し て , 簡 易 分 析 可 能 な 薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ (TLC) 法によ り混入 識別 可 能なこ とを示 した .TLC法では ,1.0 mg以 上のフ ロレチ ン配糖 体がス ポッ ト できれ ば偽和 果汁 が 識別可 能であ るこ と を示し た.さら に,高速 液体 クロ マ トグラ フ(HPLC)法 におい ても TLC 法と 同様に フロレ チン配 糖体の 識別 成 分因子 として の有 用 性が示 された .次 い で,第 3 章でフ ラ ボ ノ イ ド や 香 気 成 分 が 真 正 性 の 識 別 因 子 と な り 得 る こ と が 示 唆 さ れ た こ とから ,3 種の ポリ メ トキシ フラボ ン類(nobiletin,tangeretin およ び sinensetin)

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量およ びシー クワ シ ャーに 特徴的 な香 気 成分で ある γ-terpinene を指標と し た 判 別 分 析 を 試 み た . ポ リ メ ト キ シ フ ラ ボ ン 類 量 比 に よ る 判 別 分 析 と , γ-terpinene 組成比を 用 いた判 別分析 では , 原料果 汁およ び市 販 果汁の 12 試料 中 11 試料( 判別率 91.7%)に おいて ,フ ロレチ ン配糖 体の 有 無によ る真正 性 の 評 価 と 同 一 の 結 果 が 得 ら れ , ポ リ メ ト キ シ フ ラ ボ ン 類 量 比 お よ び γ-terpinene 組成比 に基 づき,カラ マンシ ーの 混入が 識別可 能 で あ ること が示さ れた.

さら に,シー クワ シ ャー果 汁への カラ マ ンシー 果汁の 微量 混 入およ び栽培 気候や 品種,熟 度な ど による 成分の 変動 に より識 別が困 難に な ること が懸念 される ため ,変化 が小 さいと 想定さ れる 葉 緑体 DNA を 識別指 標 と す る DNA 識別法 の検討 を行 っ た.品 種識別 に多 用 さ れて いる葉 緑 体 DNA の遺 伝子間 スペー サー領 域で あ る trnL-trnFtrnT-trnL 領域を目的 領域 と して , シーク ワシャ ーとカ ラマ ン シーの 塩基配 列を 比 較した.果汁製 造過 程 での加 熱処理 によ る DNA 断 片化 を 勘案し て短鎖 配列 で 識別可 能 とな るよ う に,両 者の一 塩基多 型(SNP)を見 出し,各 SNP を ター ゲット に含 む 2 種 類 の 識別 用プラ

イマー(CiDeLF およ び CiMaTL)を新 たに 設計し た.プラ イマ ーの有 用性を

確認す るため に果 皮 から精 製し た DNA を 鋳型と して ,アリ ル特 異的 PCR法 で検討 した結 果,CiDeLF では シー クワ シ ャーに 対して,CiMaTL ではカ ラマ ンシー に対し て特 異 的な DNA 断片 の増 幅 が確認 され, 両者 は 明確に 識別で きるこ とが示 され た .また ,少量 の DNA しか含 まれな い原 料 果汁に おいて も,あ らかじ め DNA を増幅 させる 操作 を 加える ことで 果皮 と 同様に 識別可 能であ ること を明 示 した.

以 下 に 本 研 究 で 設 定 し た シ ー ク ワ シ ャ ー の 真 正 性 評 価 法 の 特 徴 を ま と め る.

1. 官 能 評 価 法 は 機 器 が 不 要 な た め 最 も 低 コ ス ト , か つ 容 易 な 手 法 で あ る .

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色調と 香りを 評価 項 目とす ること でカ ラ マンシ ー果汁が50%以上混 入し て い る 場 合 は 真 正 性 を 識 別 で き た . し か し な が ら ,50%以 下 の 混 入 に 対 しては 対応不 可能 で あり ,パネ リス トの 育成が 不可欠 な点 に 留意す る必 要があ る.

2. クロマ トグラ フ法 の うち TLC 法は 高額な 機器が 不要で あり,果 汁製造 現 場で利 用可能 な手 法 である .カ ラマ ンシ ー 固有 成分で ある フ ロレチ ン配 糖体を 分析す るこ と で,カ ラマ ンシ ーの 混入を 判断可 能で あ った .HPLC 法は装 置が高 額で あ るが TLC 法よ り検出 感度が 高いた め,よ り 微 量な 混 入が識 別 可能 であ っ た .しか しな がら,フロレ チン配 糖体 の 標準物 質は 市販さ れてい ない 点 に留意 する必 要が あ る.

3. フロレ チン配 糖体 が 入手不 可の場 合,HPLC 法と GC 法に よ る識別 が可 能であ った .それ ぞ れ ポリ メトキ シフ ラ ボン類 量比 と γ-terpinene 組成比 による 判別分 析で 真 正性が 評価可 能で あ った .保有 する 分析 機器に 応じ てポリ メトキ シフ ラ ボン類 また は γ-terpineneを判別 因子 とし て 識別可能 である が,両 者の 値 を用い ること で識 別 の精度 は高ま った .

4. DNA 識別法 は僅 微量 な混入 に対応 でき た .DNA 識別 法で は両 者の識 別 用 プ ラ イ マ ー を 用 い る こ と で 他 の 手 法 と 大 き く 異 な り シ ー ク ワ シ ャ ー 100%果 汁 , カ ラ マ ン シ ー100%果 汁 あ る い は カ ラ マ ン シ ー 混 入 果 汁 と し て識別 可能で あっ た .しかし なが ら,混 入され たカラ マン シ ー果汁 の割 合は求 めるこ とが で きず ,特殊 な機 器や 技術を 要する 点に 留 意 する 必要 がある .

以 上 , 本 研 究 で は 果 汁 製 造 の 現 場 で 簡 易 に 利 用 可 能 で あ る 官 能 評 価 法 や TLC 法 な ら び に 研 究 施 設 で 利 用 可 能 な 高 感 度 な 分 析 機 器 を 用 い た 真 正 評 価 法を提 示した( 図 5-1).その ため ,こ れら 評価法 は生産・加工・流通に 至る 幅広い 現場に おい て 活用さ れるこ とが 期 待され る.ま た,提 示 した 方 法はシ

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