9. アスペクト形
9.4 継起
合は次頭音節(つまりOM位置)に移動(shifting)ないし拡張(spreading),複数形OMの場合は,OM のHにブロックされる(cf. Anti-Meeussen's Rule)形で,初頭位置(SM-TAM融合位置)で実現すると いう解釈は合理的であろう.否定形ではNTPが適用され,動詞語末のみでHが実現していると解釈され る.
9.4 継起
以外は不可であるという.基本的に ka- の形式が用いられるということであるが,ka- が許容されない 例23もわずかながらあり,その場合は完了形で代用されるということのようである.
9.4.2 構造の一般化
まず,継起形の構造を,動詞形態論のテンプレートにしたがって示せば次のようになる.
≪継起≫
SM- NEG2- ka- (OM-) ≠stem -a
≪完了+継起≫
SM- NEG2- ͡a-ka- (OM-) ≠stem -a
以下に一般現在形の基本活用パターンを示す.音調は単独発話におけるそれである.まずL動詞 ≠
loli-a「見る」に各人称形の SM を接合した形式は次のとおりである.概念として,否定の形式は考えづ
らく(例えばスワヒリ語では継起の否定形は存在しない),ここでは肯定形のみを扱う.
肯定形
SM.1sg: ngi-ká≠loli-a /ngikálolya/
SM.2sg: u-ká≠loli-a /ukálolya/ SM.3sg: e-ká≠loli-a /ekálolya/
SM.1pl: du-ká≠loli-a /dukálolya/ SM.2pl: mu-ká≠loli-a /mukálolya/
SM.3pl: ve-ká≠loli-a /vekálolya/ structure: SM-ká≠[vv]stem(L)-a
他の時制形同様,L動詞ではIHのみが実現し,それはTAM位置に現れる.次に,各人称形のOMを接 合したパターンを示す.SMは3sgである.
肯定形
OM.1sg: e-ka-nǵ’≠loli-a /ekanǵ'lolya/
OM.2sg: e-ka-kú≠loli-a /ekak'lolya/
OM.3sg: e-ka-ḿ'≠loli-a /ekaḿ'lolya/ OM.1pl: e-ka-du≠lóli-a /ekadulólya/
23 例えば,次のような例である:(alafú) űkatengenesa iki?「(それから)何を作ったの?」Halafu
ukatengeneza nini?.おそらくは,スワヒリ語における ka- のカバーする領域と,ロンボ語のそれとの
間にズレがあるというようなことだと推測されるが,詳細は不明である.
OM.2pl: e-ka-mu≠lóli-a /ekamulólya/
OM.3pl: e-ka-va≠lóli-a /ekavalólya/
structure: [OM=sg] SM-ka-OḾ≠[vv]stem(L)-a [OM=pl] SM-ka-OM≠[v́v]stem(L)-a
単数形OMを接合した形ではOM位置で,複数形OMを接合した形では語幹初頭音節でHが実現してい る.H連続回避(HH → LH)の規則であるメーウセンの逆規則(Anti-Meeussen's Rule)が適用されて いると仮定すると,OM単数形ではIHが右に一音節移動して実現し,OM複数形では,IHが消去され,
OMのHが一音節右にずれて実現していると推定できる.
次に,H動詞 ≠kab-a「叩く」に各人称形のSMを接合した形式は次のとおりである.
肯定形
SM.1sg: ngi-ká≠kab-ꜜá /ngikákabꜜá/
SM.2sg: u-ká≠kab-ꜜá /ukákabꜜá/
SM.3sg: e-ká≠kab-ꜜá /ekákabꜜá/
SM.1pl: du-ká≠kab-ꜜá /dukákabꜜá/
SM.2pl: mu-ká≠kab-ꜜá /mukákabꜜá/
SM.3pl: va-ká≠kab-ꜜá /vakákabꜜá/
structure: SM-ká≠[v]stem(H)-ꜜá
L 動詞同様,TAM位置でIHが実現し,さらに語末音節で,語彙的なHと推定される高音調が実現して いる.次に,各人称形のOMを接合したパターンを示す.SMは3sgである.
肯定形
OM.1sg: a-ká-nǵ'≠kab-ꜜá /akánǵ'kabꜜá/
OM.2sg: a-ká-kú≠kab-ꜜá /akákkabꜜá/
OM.3sg: a-ká-ḿ'≠kab-ꜜá /akáḿ'kabꜜá/
OM.1pl: a-ká-dú≠kab-ꜜá /akádúkabꜜá/
OM.2pl: a-ká-mú≠kab-ꜜá /akámúkabꜜá/
OM.3pl: a-ká-vá≠kab-ꜜá /akávákabꜜá/
structure: SM-ká-OḾ≠[v]stem(H)-ꜜá
いずれの形式も,TAM位置およびOM位置でHが実現している.他の時制形との関係で言えば,少なく ともOM複数形の場合はOM位置でのHは期待されない.語末位置での語彙的Hは確認される.