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第 6 章 結論
本論文では,外付鋼板耐震補強工法を適用した耐力壁の地震水平力下の挙動と壁の構成 要素の役割について,有限要素法解析により評価した。解析結果による壁面内の応力分布 状態から,壁構面内の位置によりドリルビスが発揮するせん断性能が異なることを示し,
その評価方法を述べた。得られた知見を以下に示す。
(1) 外付鋼板耐震補強壁のモルタルと鋼板をそれぞれ弾塑性シェル要素で置換した解析モ デル(標準モデル)を構築した。既往の壁実験と比較して,変形角約 3.0%までは概ね一 致した。大変形時(変形角 5.0%)以降は水平耐力に差が生じるものの,壁の挙動として は概ね良好な精度で再現できた。
(2) 静的水平荷重下の外付鋼板耐震補強工法のせん断力伝達機構の推移を示した。鋼板が モルタル壁面対角のせん断ひび割れを抑制すること,モルタルによる圧縮場と鋼板に よる張力場が共存する合成効果があることがわかった。
(3) 補強耐震壁を評価する解析モデルを拡張し,全面壁に連続する腰壁を含めた全幅 2P 分 を補強壁とした解析モデルを構築し,解析により水平荷重荷における壁耐力と挙動を 評価した。モルタルの損傷が補強壁の水平剛性に及ぼす影響が大きいことがわかった。
鋼板補強により最大耐力は 2.0-2.4 倍に上昇し,大変形時は角波形状の鋼板の有する 面外剛性によりモルタルの面外変形を抑制することを確認した。
(4) 解析モデルをさらに拡張し,腰壁・垂れ壁含む 7P 構面に対して本工法を適用した解析 モデルを構築して挙動を評価した。腰壁・垂れ壁と全面壁がそれぞれ独立して剛体回 転する。ただ,腰壁・垂れ壁に比べて全面壁の剛体回転が大きいため全面壁と腰壁・
垂れ壁接触箇所に応力が集中し,水平力化における±X 方向載荷時の挙動は概ね一致す る。
(5) 本研究で提案した解析モデルの課題と解決策について整理した。モルタル圧縮場と鋼 板張力場が生じる箇所でそれぞれドリルビスの発揮するせん断性能は異なる。従って,
各部材間ごとに入力する接合ばねの特性を再評価する必要があり,今後は各部材間に 生じるせん断力を評価する実験を行うことで評価する。また,評価する実験の試験体 について紹介した。
第 6 章 結論
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(6) 本工法による耐震補強工事について実物件に対して人工調査を行った。作業歩掛りは 前回の実耐震補強工事の約 3 倍となり,角波鋼板工事においても施工面積あたりの単 純比較で施工効率が 1.5 倍に向上した。今回の工事においては施工間違いにより作業 効率の低下が生じたが,鋼板加工のマニュアル化と工事内容を共有することにより改 善できる内容であった。
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