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章では本研究で使用した有限要素法のソフトウェアについて説明した。また、モデル の作成方法や、連成解析についての説明を述べた。

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章での実験内容を模擬した解析を行っ た。結果として、加振周波数が高いほど鉄筋にかかる加振力、振動変位ともに小さくなる結 果が得られ、実験とは異なる結果となった。この要因としてはコンクリートと鉄筋の界面の 状況が異なることが考えられ、実際の鉄筋コンクリートにおいては構造的な共振により高 い加振周波数において振動変位が増加していると考えられる。

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章では衝撃弾性波法を用いて、鉄筋のないコンクリートとあるコンクリート及びコ ンクリート中の鉄筋の固有振動数を測定した。鉄筋のないコンクリートとあるコンクリー トの固有振動数を比較すると、あるコンクリートの固有振動数のほうが低く、実験時の鉄筋 振動周波数と近い値であった。また、コンクリート中の鉄筋の固有振動数はさらに低く、実 験時の鉄筋振動周波数と近い値であった。以上より、シミュレーションにおいて高い加振周 波数のほうが加振力が低い結果が得られたが、実験においては高い加振周波数での振動変 位のほうが大きくなった要因として、鉄筋コンクリートの構造的な共振によるものである と考えられる。

9-2 今後の課題

多周波加振レーダシステムを用いて供試体、実構造物及び鉄筋腐食時における鉄筋振動 変位の加振周波数依存性を確認した。また、FEM 解析及び衝撃弾性波法を用いてその要因 の推定を行った。上記より生じた課題は以下のとおりである。

・供試体形状ごとの加振周波数依存性の確認

本論文では、かぶりの異なる供試体を対象に振動変位の加振周波数依存性の確認を行っ た。この結果より、かぶりによって加振周波数依存性が変化することがわかった。このこと から、鉄筋振動変位の加振周波数依存性は供試体の形状によっても異なることが予想され、

様々なかぶりや、寸法の供試体を対象に振動変位の加振周波数依存性を測定することで、供 試体形状と振動変位の加振周波数依存性の関係を求めることが必要である。

・シミュレーションにおける構造的な共振模擬

実験で得られた振動変位の加振周波数依存性と、シミュレーションで得られた加振周波 数依存性が異なる結果が得られた。この要因としてはシミュレーションにおいて鉄筋とコ ンクリートの界面の状況が異なることにより、コンクリートの構造的な共振が模擬できて いないためであると考えられ、シミュレーションにおいてもこの界面の状況を模擬し、共振 現象が起きるか確認していく必要がある。

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参考文献

【1】清水俊秀、三輪空司、鈴木真、鎌田敏郎、” 増厚床板下の水平ひび割れ探査のための 加振ドップラレーダシステムの開発”、コンクリート構造物の補修、補強、アップグレ ード論文報告集、Vol。18、pp。517-522、 (2018)

【2】本多秀聡、

加振レーダ法による

RC

構造物内鉄筋腐食評価の基礎的研究”、平成

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年 度群馬大学修士論文

【3】堀内亮太、

加振レーダを用いたイメージングによる鉄筋部位の高精度振動変位推定”、

18

回コンクリート構造物の補修、補強、アップグレード論文報告集

【4】共鳴振動によるコンクリートの動弾性係数、動せん断弾性係数及び動ポアソン比試験 方法、日本工業規格 JIS A 1127

謝辞

本研究を行うにあたり基礎から応用にわたる丁寧なご指導、ご協力を賜りました群馬大 学理工学部電子情報部門、三輪 空司 准教授に心より感謝申し上げます。

本研究をまとめるにあたり、群馬大学大学院理工学府電子情報部門 本島 邦行 教授、石 川 赴夫 教授から懇切丁寧なご指導、ご協力を賜りました。深く感謝申し上げます。

本研究を進める上で、供試体の打設にご協力いただきました群馬大学理工学府環境創生 部門 小澤 満津雄 准教授、山本 哲 氏に心より感謝申し上げます。

本研究を進める上で、供試体の打設にご協力いただきました八戸工業大学土木建築工学 科コンクリート工学研究室 迫井 裕樹 准教授に心より感謝申し上げます。

本研究を進める上で、計測システム作成にあたり貴重なご意見を賜りました群馬大学、

遠坂 俊昭 客員教授に心より感謝申し上げます。

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