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選択的な親和性を発現できること, および, その修飾体を感応部位として用い ると, 任意の応答形式の金属イオンセンサが構築できることを実証した.

第3章では, キトサンの親水性の高さを利用した水分測定用センサについて 述べた. 1ーカルボキシプロピルフォルミルピレンをアミド結合で修飾したキト サン膜の蛍光は微量水分の存在で低下する事を見いだ、し, との修飾膜を応答部 位とする有機溶媒中の微量水分測定用二股型光ファイバ蛍光センサを作製し た. このセンサは誘電率の低い有機溶媒中の微量水分に対する応答感度が高 く, ヘキサン中lOppm以下の水分測定が可能であった. 繰り返し再現性, 耐久 性ともは十分使用可能な値であり, サンプリングを伴わない, リアルタイムな 有機溶媒中の微量水分分析, 特に石油製品の行程管理等に利用できる可能性が あるζとを述べた.

第4章および5章では, キトサンの水/有機溶媒に対する膨潤収縮特性を利 用したセンサについて述べた. キトサン/PVA膜および、その色素吸着膜をク ラッドとする内部全反射型の光ファイバセンサを考案作製し, 種々の水中有機 溶媒に可逆的な応答を示すことを見いだした. その応答原理として, 有機溶媒 が浸透することで屈折率の増加を伴うクラッド膜の収縮が起こり, そのために 全反射を規定している臨界角が大きくなり, それがクラッド内を伝搬する光 の減少を引き起こしていることを明らかにした. また保護膜として用いたテフ ロン膜は, センサの安定性, 妨害物の除去などに有効であった. 有機溶媒の誘 電率が低いと応答も大きく, 蒸気圧の高いものは応答速度が速かった. 実用分 析対象物として, 環境モニタ用センサとしての塩素化炭化水素の分析を試みた が, 感度の点で不十分であり, 改良の工夫が必要であった.

一方, リアルタイムなアルコール分析という点に関しては, 十分な耐久性,

感度を有し, 糖・ アミノ酸などの妨害物質への応答もテフロン保護膜で除去で きた. また実際の市販アルコール飲料中のエタノールの定量を行い, 表示値と のよい一致を得た. このことから, アルコール発酵工業などにおける行程管理 利用への可能性を示した.

さらに, クラッド膜のグルタルアルデヒドによる弱い架橋と BPR色素の吸

着処理により, 有機酸への選択性を向上させることが出来た. 応答は有機酸の 構造に依存し, 脂肪族カルボン酸では置換基の疎水性が高くなるほど強くなっ た. クラッド膜の糖構造と水素結合の形成可能な置換基, 例えばヒドロキシル 基やカルボニル基を有する酸も高い応答を示した. また, 多価のカルボン酸は 1価のものに比べて約1000倍高い感度を示した. フェニル基を有するカルボ ン酸にはさらに高い感度を示し, 10 �mol dm-3オーダーでの定量が可能で あった. テフロン保護膜がない場合, 塩酸など無機酸にも応答したが, テフロ ン保護膜でクラッドを被覆することによって揮発性の有機酸への選択性が向上 した. 実際の食酢中の有機酸定量に応用して若干高いが表示値と近い値を得る ことが出来た.

第6章では, キトサンの有する親水性とキラル認識能を分離機能剤に利用す る研究を行った. キトサンから誘導したN-カルボキシメチルキトサンを骨格 に有するシクロデキストリン分校型の修飾体 (ß-CD-NCMC) を合成した.

。-CD環はキトサンの糖ユニット1個分と比較すると立体的に非常にかさ高い が, 置換度0.82の高置換度の修飾体を得た. ß-CD-NCMCを共有結合したシ リカゲル固定相は, 通常のCDのみを共有結合させた固定相と異なるDNP-アミ ノ酸キラル分離挙動を示すことを明らかにした. つまり, ある特定の構造の分 子, すなわち, ß-CD空孔への包接が可能な芳香環を分子内に二つ持ち, その 聞の距離が原子数にして3個分程度の分子に対して非常に高いキラル認識能を 示した. その分離特性より, NCMC骨格中に規則正しく配置されたß-CD空孔 が協同的にゲストを包接するととがキラル分離には必要なことを明らかにし た. また, 極性の高いアミノ酸誘導体はほとんど保持されなかった. とのよう な特徴は, N-カルボキシメチルキトサンやß-CD(もしくはそれらの誘導体)に は見られないものであり, 両者を結び付けることによって初めて生まれる"新 たな認識能Hであることを示した.

CD包接に伴うDNP-トリプトファン DNP- アラニンおよびトリプトファン のlHNMRケミカルシフトの変化を考察することにより (1) 芳香環部位プ ロトンのシグナルの高磁場シフトより包接の直接的証拠を示した. (2) その シフト挙動は低分子。-CDへの包接に伴うそれと異なり DNP-トリプトファ

ンの場合, 空孔への浅い包接を示唆した. このことは, キラル認識の発現に必 要であるとした, 隣接CD環の協同的な同時包接という考えと矛盾せず, 分子 模型を組み立てた場合の取り込み推定構造とも一致した. (3)また,

Bergeron - Channing式に従って包接錯体の解離定数を算出して, DNP-トリ プトファンとDNP- アラニンのHPLCの保持時間の結果を説明した. ただし DNP-トリプトファンの場合のD体とL体の安定性の差に関する直接的な比較 は明確に出来なかった.

。-CD-NCMCのそれぞれの部位がキラル認識発現のために果たしている役 目をまとめると(1 )骨格をなすNCMCはグルコサミンユニットごとに反応活 性な規則的に配置された部位を提供している. ( 2)その規則的な位置に高密 度に置換されたß-CDの隣接するCD空孔が協同的に働いてゲ、ストの取り込み を行うことがキラル認識には必要であり, ( 3)その際水素結合の関与も重要 な役目を果たしている. また(4)親水的な環境をNCMCは提供しており, こ れは疎水部位を有するエナンチオマーのCD空孔への取り込みに有利に働いて いることが考察される. 以上述べたように, キトサンにCD を導入すること で, 従来みられない特性を有する誘導体を創製することができた.

以上, 本研究は化学修飾により, キトサンの元来有する性質をより高度に改 質あるいは機能化し, 得られた修飾体を分析化学的な応用へと発展させたもの である. このアミノ多糖は分子設計された化学修飾を行うことで, 今後重要な 機能材料としての働きが期待されるものと考えられ, このことは, 現在多方面 から注目を浴びている" キトサンの化学" の発展に寄与するものと考える.

謝辞

本論文をまとめるにあたり, 終始適切なご指導, 有益なご助言を賜り, また 長年にわたり広く研究者としての姿勢をご教示いただきました, 九州大学大学 院工学研究科高木誠教授に深く感謝の意を表します.

本論文の審査にあたり, 種々の有益なご指摘ご助言を下さいました, 九州 学大学院工学研究科今坂藤太郎教授, 山田淳教授, 前田瑞夫教授に感謝申し 上げます.

本研究を行うにあたり, 大分大学工学部応用化学科大賀一也教授には長年 にわたり終始暖かい激励とご厚情を持って指導していただきました. また, 研 究の指針および結果の的確な評価・検討を通して, 研究の進め方, 研究者のあ るべき姿勢をご教示していただきましたことに深く感謝申し上げます.

広島県立大学生物資源学部江頭直義助教授(前大分大学工学部応用化学 科)には電気化学計測において, また大分大学工学部熊迫博文技官には研究 室のスタッフとして, いろいろご協力頂きましたことを感謝申し上げます.

本研究を遂行するにあたり, 共に協力し成果を分かち合った, 大分大学大学 院修了生の小野博義氏(現, エスケー化研(株) )はじめ, 永瀬正明(現, フ ジキン(株) ) , 緒方 透(現, 鹿児島日本電気(株) ) , 柳井隆之(現, 昭 和高分子(株) ) , 鶴森栄一(現, 小野田セメント(株) ) , 林 亮(現, 大 気社(株) )の諸氏に感謝申し上げます.

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