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車体角度を指定範囲内に制限するエネルギー関数の設計

第 4 章 エネルギー整形と不安定性を利用した倒立振子型移動体の走行制御

4.3 制御系設計

4.3.3 車体角度を指定範囲内に制限するエネルギー関数の設計

ここでは4.3.1項で述べた設計指針を満たすエネルギー関数を設計し,詳細を考察する.Vpdを次式で

定める.

 

1 2 2

1 1

2

1 1

1 2

p

pd ref

l

V q K q q

q q

  

(4.24)

q1による1階および2階導関数は次式となる.

 

1

1 1



1 1

1 pd ,

pv ref ref

dV q K q q q q

dq   (4.25)

   

 

2

1 1 1

1 1 2 2 2

1 1

, l ref

pv ref p

l

q q q

K q q K

q q

  

 (4.26)

   

 

 

 

2 2

2 1 1 1 1

2 1 3 3

1 2 1 1 1 2 1 1 1

p ref p ref

pd

l l l l

K q q K q q

d V q

dq q q q q q q

 

 

  (4.27)

1, 1ref 1l

q qq として考えれば,式 (4.25) はq1q1refのときに限って0であることから条件式 (4.16) が成 立する.式 (4.27) は常に正であり条件式 (4.17) も成立する.従ってVpdq1q1ref で唯一の極小値を とる.

閉ループ系に与える所望の慣性Mpdも設計自由度であるが,本章ではMpdMp 0とする.2章およ び3章においては,運動エネルギー整形を利用することで引き込み領域を十分大きく維持しつつ過渡応

(a) Body angle (b) Displacement

(c) Translational velocity (d) Total energy of the closed-loop PH system Figure 4.6 Tracking for a constant reference body angle

(a) Body angle (b) Input torque

Figure 4.7 Tracking for a constant reference body angle from the edge of the domain of attraction

[rad][rad]

0 1 2 3 4 5

0 0.1 0.2 0.3

time [s]

q1 q1r

q1

q1ref1r

q q1

[m]

0 1 2 3 4 5

-10 0 10 20 30

time [s]

[m/s]

0 1 2 3 4 5

0 5 10

time [s] 00 1 2 3 4 5

20 40 60

time [s]

[rad][rad]

0 1 2 3 4 5

0 0.2 0.4 0.6

time [s]

q1 q1r

q1

q1ref1r

q q1

[Nm][Nm]

0 1 2 3 4 5

0 500 1000 1500 2000

time [s]

答の速さも良好な IDA-PBC制御系を設計できることを示した.本章および5 章では,運動エネルギー の整形を行わない場合でも良好な性能を有する制御系を設計することができたことから,制御系の調整 の複雑化を避けるためにポテンシャルエネルギーのみの整形に留めた.2章および3章のようにPHシ ステムが劣駆動である場合,閉ループ系に与えることができるエネルギー関数がPDEにより制限される ことから,この違いが生じていると考えられる.Mpdが制御性能やロバスト性などに与える影響は今後 の検討事項とする.漸近安定性は4.3.2項と同様の考え方により保証される.

また,式 (4.24) のVpdは分母にq12lq12を含み,Mpd 0であることから領域

 

1, 1 2| 1 1l

Dq p  qq (4.28)

において閉ループ PH システムの全エネルギーHpd は半径方向に非有界な関数である.ゆえに

 

10 1l, 1l

q  q q を満たす任意の初期状態

q10,p10

に対して,車体の運動はq1 

q q1l, 1l

に制限された上 で目標角度へ収束し,同時に MIP の並進方向加速度は式 (4.1) より一定値xssrq2ssm/s2 へと収束す る.

次に上記Vpdが制御入力に与える影響を考察する.Vpdは式 (4.25) の形で制御入力へ寄与し,q1q1ref に車体角度依存ゲインKpv

q q1, 1ref

が掛かった比例制御と類似した役割を担う.これはq1q1refに対する ゲインが定数Kpであった4.3.2項とは異なる重要な点である.また,Kpv

q q1, 1ref

q q1, 1refq1lより常 に正値である.ここでq1ref 0.30 rad,q1l 0.60 rad およびKp 1とし,Kpv

q q1, 1ref

のゲイン特性を

Figure 4.4に示す.縦の破線は目標車体角度q1q1ref 0.30 radを表し,この付近の特性に着目して考え

る.車体が倒立状態へ近づく方向であるq10.30 rad では,Kpv

q q1, 1ref

は小さくなる傾向がある.一 方,車体が転倒に向かう方向であるq10.30 rad においては,Kpv

q q1, 1ref

は大きくなる傾向がある.

従って,目標角度を超えて車体が転倒に近づくにつれて値が大きくなるゲイン特性が実現されている.

なお,4.3.2項で示したVpdを用いる場合,ゲインKpは車体角度に依らず一定値であることから,Figure

4.4において水平線となる.

(a) Body angle (b) Displacement

(c) Translational velocity (d) Input torque

Figure 4.8 Tracking for a varying reference body angle

0 2 4 6 8 10 12

-0.4 -0.2 0 0.2 0.4

time [s]

q1 q1r

[rad][rad]

q1

q1ref1r

q q1

[m]

0 2 4 6 8 10 12

0 10 20 30

time [s]

0 2 4 6 8 10 12

-2 0 2 4 6 8

time [s]

[m/s] [Nm][Nm]

0 2 4 6 8 10 12

-10 -5 0 5 10

time [s]

以上より,IDA-PBCの設計自由度を活かして本項で提案するVpdを設計することで,設計指針を満た す制御系設計が可能であることが示された.提案制御系のブロック線図をFigure 4.5に示す.