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ドキュメント内 けるシナプス可塑性の役割 (ページ 66-70)

第 5 章 電気定位の物体情報の抽出におけるシナプスダイナミクス 49

5.4 結果

表5.2: NP、EGPのモデルで用いられる記号 λZ Z(Z=NP, EGP)神経細胞のシナプス加重

τZ 時定数

SZはZ神経細胞の入力である。Z=NPのIZはELLの神経細胞からの出力である。

Z=EGPのときのIZはNPからの出力である。

NP、EGPのELLの神経細胞i, jに対するシナプスの可塑性は次の式で表される。

τLT,Y

dwLT,Yi j,EGP

dt =−wLTi j,EGP,YLT,YSEGP(t−tLT,Y)Vi jD, (5.5) τST,Y

dwSTi j,NP,Y

dt = −wSTi j,NP,YST,YSNP(t−tST,Y), (5.6) Y=Iのときは抑制性のシナプス、Y=Eのときは興奮性のシナプスを表す。LTは長 期、STは短期シナプスを表す。τは時定数、λは学習率である。

ELLへの出力は次の式で表される。

IFB,NPi j =wSTi j,NP,ESNP(t−tST,E)−wSTi j,NP,ISNP(t−tST,I) (5.7) IFB,EGPi j = wLTi j,EGP,E SEGP(t−tLT,E)−wLTi j,EGP,I SEGP(t−tLT,I) (5.8)

450 500 550 600 650 700 750 800 850

0 5 10 15 20 25 30 35

time (msec)

neuron number Sa

図5.2: ELLの発火の様子。横軸は細胞の番号、縦軸は時間を表す。プロットした

点でELLの錐体細胞が発火している。

0 50 100 150 200 250 300

450 500 550 600 650 700 750 800 850

count

time [ms]

図5.3: ELLの応答の様子。PSTヒストグラム。

0 500 1000 1500 2000 2500

0 20 40 60 80 100

count

ISI (ms)

図5.4: ELLのISIヒストグラム。横軸はスパイク間のインターバル、縦軸はその

インターバルを持つ発火の数を表す。ファーストピークはバースト内スパイクイ ンターバルを表している。セカンドピークはバースト間のインターバルを表して いる。

5.4.2 バーストの特徴

バースト発火範囲Saとバースト発火インターバルTlと物体情報の関係を図5.5、

図5.6に示す。図5.5は物体の大きさとバースト発火の関係である。物体の大きさ が大きくなればなるほどバースト発火範囲は大きくなり、バーストインターバル は短くなる。図5.6は物体の側方距離とバースト発火の関係である。物体の距離 が遠くなればなるほどバースト発火範囲とインターバルは大きくなる。これらの ELLのバースト応答の特徴は、第3章の図3.21、図3.22で示した物体の特徴(大き さ、側方距離)により生じたEOD変調の特徴(変調の振幅、変調の半値幅)をELL で反映している。これらの結果から、EOD変調の振幅はELLのバースト発火イン ターバルTlで表現でき、EOD変調の半値幅はバースト発火領域の大きさSaで表 現できる。

58 60 62 64 66 68 70 72 74

2 3 4 5 6 7

12 14 16 18 20 22 24 26 28

Interburst interval TI (msec) Maximum spatial area Sa (mm)

size (mm) Sa TI

図5.5: 物体の大きさとバーストの応答 の関係

58 60 62 64 66 68 70 72 74

3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 12 14 16 18 20 22 24 26 28

Interburst interval TI (msec) Maximum spatial area Sa (mm)

distance (mm) Sa TI

図5.6: 物体の距離とバーストの応答の 関係

5.4.3 シナプスの可塑性の役割

弱電気魚は物体の特徴を電気刺激EODの微少な変調から検知することが出来 る。物体により誘発されたEODの変調は第3章で示した通り、変調の最大振幅と 半値幅で表されている。その物体により誘発されたEODの変調の特徴をELLの バースト発火の発火領域と発火インターバルにより表現できることを示した。こ のように安定して物体の特徴がELLで抽出できるのは、NP, EGPによりELLの活 性を刺激に応じて制御するからだと考える。NP、EGPでは、ELLからの入力によ り抑制性、興奮性の出力をELLの各錐体細胞のdendriteへフィードバックを行う。

EGPの長期シナプスは自らのEOD信号に適応するため、物体によるEOD変調に より変化しない(図 5.7a)。つまり、弱電気魚は物体が周囲に存在しない場合、自 分自身が発しているEODには応答しないようにELLの錐体細胞の活性を調整し ている。そして、閾値のすぐ下の状態に膜電位を保つことで、物体が引き起こす 極めて小さなEODに対しても敏感に応答できるようにしている。また、魚が成長 したり、季節によってEODの大きさが変わってはEGPの時間的に遅い可塑性を 持つフィードバックによって錐体細胞のゲインを調節して小さなEODの変調のみ を検知できるようにしている。

また、NPからの興奮と抑制のフィードバックの成長の時間差により物体の情報 がバーストによりロバストに取り出せる。先に成長する興奮性シナプスによりEOD の変調が起こるとELLの感度が上がり、小さなEOD変調の場合でも変調の半値 幅が取り出せる。さらに、後から成長する抑制性フィードバックにより、ELLネッ トワークの活性の上昇を押さえ、バーストが必要以上に継続するのを押さえ、さ らに次のバースト発火を起こす状態に膜電位をリセットする働きをする(図5.7b)。

このように、物体の距離と大きさに依存して生じたEOD変調の特徴がバースト の同期発火範囲とそのインターバルによって表される。その同期発火は、ELLへ のフィードバックを介したシナプスの興奮、抑制の短期変化によりELLの神経細 胞の利得がコントロールされ、安定にEOD変調の特徴をELLで抽出することが 可能となる。

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