第 2 章 ショックレー部分転位の STEM による分解
2.4. 結果
図 2.4a に示したモードで撮像された転位の STEM-BF 像を図 2.5 に示す.挿入図は
回折パターンである.中央に位置する検出器の位置を白円で示している.いずれの転位
もg・B=2 となり,特有の二重像が現れている.ここでbTを全体の転位(拡張転位)のバ
ーガースベクトルとするとg//bT,すなわち 2 つのショックレーの部分転位からなる
分解転位が明確に確認されたことになる.これを詳しく見るために図 2.6(a)にg=220
で撮影した転位の STEM-WBDF 画像を示す.転位が 2 本のペアで構成されていること
39 が見てとれる.
図 2.6(a)ではペアのうち下側が上方より強くなっていることに注意する.図 2.6(b)は
同様にg=-2-20 で撮影した画像である.図 2.6(a)に対しgベクトルの向きが逆向きと
なるため,図 2.6(b)中の転位を構成するペアにおいては上側がより強くなっている.図
2.7 はショックレー部分転位のペアに対しgの向きを反転したときのビーム強度プロフ
図 2.5 図2.4(a)の条件で得られたSTEM-BF 像.右上は2ビーム条件を満足す
るSTEMモードで得られた回折像.白実線内は中央にある検出器の位置を,矢印 はgベクトルを表わす. 転位は明確に2重像となっている.転位のバーガースベ クトルbTはgに平行.
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ァイルを表わす模式図である.入射波に対し反射面は分解転位の内部よりも外側の湾曲
が強いため,g(d’)のプロファイルでは x’よりも y’が強く励起され,-g(d")プロファイル
図2.6 (a) 図2.4(a)の条件で得られた,3gを強く励起したg/3g WBDF像.右上
は回折像.白実線内は中央検出器の位置を,黒矢印はgベクトルを表わす.
(b) 図2.4 (b)の条件において-3gで強く励起した-g/-3g WBDF像.挿入図は回折 パターン.黄矢印は転位幅を示す.黄実線はbTの方向を示す(g // bT).
(a)
(b)
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で x"は y"より強く励起される.このことから,図 2.6(a)と 2.6(b)で現れた転位のペア
は,分解転位を構成するショックレーの部分転位であることがわかる.
図2.6(b)からは,水平方向の転位が持つ拡張幅はおよそ 7.2nm であり,回折パタ
ーンから伸びる黄色補助線となす角度から,bTと転位線ζの間の角度は 45°であるこ
とがわかる.これは CTEM モードにおいて得られた拡張幅 7±1nm[14]と良く一致し
ている.
図2.7 ショックレー部分転位のペアに対しgの向きを逆転したときのビーム強 度プロファイルの模式図[12].
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STEM においてg/3g の条件で WBDF 像を取得する手順の要点を CTEM の場合と
比較しながら以下に記す.
① ブラック条件 3g を満たすように試料傾斜する.(CTEM では g がブラッグ反射を
満たすよう傾斜し,その後 -g の条件までビームの入射角度を傾けてブラッグ条
件 3g を満足させる.),
② カメラ長を十分長い値(一般に 40~100cm 程度)に設定する.
③ gのディスクが中央の STEM 検出器の直上となるように投影レンズを偏向させ
る.(CTEM では,小さい対物レンズ絞りを挿入し,g のみが透過するように位置
設定する.)
④ 入射ビームを掃引し,像を取得する.