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結果について

ドキュメント内 開閉口運動の速度解析に関する研究 (ページ 54-76)

313.31士40.09 164.79+26.07

2. 結果について

ー49-うことにした。 また、 顎運動の規制要素である顎関節の形態は、 正常者 でも左 右で異なることが知られており、 従来から補綴学の領域では側方運動はもとよ り前方運動のような本来左右対称と考えられる運動の解析にあたっても 、 矢状 頼路傾斜度や頼路の管曲などの項目について、 左右別々に計測, 解析するのが 通例である。 さらに、 速度パターンと頼路形態との関連について検討したとこ ろ、 両者間に関連があることが示唆された。 そこで、 本研究のような精密計測 に基づくデータ解析にあたって は、 生体は左右対称という巨視的な考え ではな く、 生体固有の値を採用するのが妥当と考えた。

またこの研究は、 顎関節内障の顎関節部の動態解析に対して基礎的情報を提 供し、 この領域の研究者に新たな理論を構築する一助となることも目的 として いる。 顎関節内障には片側性および両側性があり、 顎関節内障患者の穎頭運動 解析にあたっては左右別々に扱うのが通例である。 この点からも、 正常 とは左 右対称でありそれ以外は異常であるという立場をとらず、 本研究で採用した被 験者の採用基準をもって正常とし、 その中にどれだけの左右差が含まれるかと いうことも重要な基礎情報となり得ると考えた。 ちなみに、 速度パラメータを 用いた数値 解析について左右の平均値を用いて同様の解析を行ったところ、 性 差の検討において左右別々で扱った場合に性差がみられた5つの項目す なわち 頼頭点開口相の最大速度, 第l大臼歯点閉口相の最大速度発現時移動量, 第l 大臼歯点開口相の最大速度発現位置, 第l大臼歯点関口相の最大速度発現時切 歯点位置および第l大臼歯点閉口相の最大速度発現時間で性差がみられ なかっ たが、 他のすべての解析項目で同様の結果であり、 全体としての傾向は変らな かった。

1 )速度パラメータについて

( 1 )速度パラメータの伺人内安定性について

被験者ごとの代表値を求めるのにさきだって、 速度パラメータの個人内安定 性について評価を行ったが、 解析点間ならびに項目によっては開口相と閉口相 との間で値に差があるため、 標準偏差ではなく変動係数を安定性の指標として 用いた。 表1, 2に示すように、 最大移動量についてはいずれの解析点でも2

%以下、 また他のほとんどの項目で10%以下であり、 運動の条件付けにより 個々の被験者の運動について安定かつ有効なデータが得られたと考えられる。

関口相と閉口相とを比較すると、 表2のごとく変動係数の平均値は、 頼頭点 の最大速度発現時間でのみ関口相の方が関口相よりも有意に小さかったものの、

他のほとんどの項目で関口相の方が閉口相よりも有意に大きかった。 個人間の 変動係数についても、 男女合計の値で、は頼頭点最大速度発現時間を除くすべて の項目で関口相の方が閉口相よりも大きかった(表4 1 1)。 また、 頼頭点 の速度パラメータについて左右側の相関係数を算出し、 関口相と関口相とで比 較したところ、 最大速度発現時切歯点移動量, 最大速度発現時切歯点位置, 最 大速度発現時間, 最大速度発現時間%において関口相よりも閉口相の方が有意 に高く、 関口相よりも閉口相の方が左右頼頭が同様の運動をしている傾向が強 かった。 このように、 関口相よりも閉口相の方が安定していることが示唆され た。

福島65)は開閉口運動時の安定性について、 切歯点運動経路上で、岐頭訣合位の 下方5mmの高さの座標値の前後的成分の標準偏差から、 閉口相の方が安定し ていたと報告している。 水野ら30)もまた、 全運動軸の回転と切歯点の運動経路 について閉口相の方が安定していたと報告している。 このように、 運動経路や 回転角度といったより静的な値と同様、 速度というより動的な値についても開

-51-口相よりも閉口相の方が安定し ている傾向が観察された。 この理由としては水 野ら30)が報告しているように、 開口相の方がより意識が関与することのほかに 関口相と閉口相の解剖学的規制因子の差も考えられる。 すなわち、 関口相の終 末位は佼頭按合位という明確な規制因子が存在するが、 関口相の終末位は関節 包, 鞍帯, 筋などの軟組織が主な規制因子であり71,72)、 より明確な目標点へ向 かう閉口相の方が安定性があると考えられた。

( 2 )最大移動量について

切歯点に おける最大関口量については様々な報告がある。 杉森64)、 Trave1l73)、

Ingervall74)、 Agerberg 75 )、 石垣ら76)、 Pullingerら77)、 Meritsら88)は顎機能評価の

指標として最大関口量を測定し、 その値は46.7�59.0mmと報告している。

本研究では、 切歯点の最大移動量は男性42 . 3 9 + 3

.

4

1 mm, 女性 3 8 . 9

8+2.91mmとこれらの報告と比較して小さかった。 これは、 本研究では一 連の顎運動を行わせた状態で最大移動量を算出しているために、 中枢性 および 末梢性の調節が関与し、 これらの報告のような言わば静的な開口量よりも小さ かったと考えられる。

開閉口運動は、 側方運動成分の差異はあるものの岨噂運動と同様中枢性の調 節と反射による末梢からの調節によって生じるとされている79,80) 。 このうち、

中枢性の調節としては、 脳幹にあるリズム形成機構(rhythm generator)が関口 筋および閉口筋運動ニューロンを交互に発火させることが考えられており80,81)、

末梢性の調節としては関口反射および閉口反射があることが知られている。

開 閉口運動の関口相で閉口筋に筋活動が観察されるこ とは、 Gi bbsら45)、 ー 浦46)、 Griffinら 61)、 長谷川62)、 Stohlarら82)が報告している。 特にStohlarら82)は

毎分30回の頻度の開閉口運動 を行わせ、 正常者に おいて最大関口の直前に佼 筋筋活動が2 1.2 %にみられたと報告している。 また、 長谷川62)は毎分30,

6 0および 90回の頻度の開閉口運動を行わせ、 切歯点部の開口量と阻噂筋筋 電図を記録し、 関口量と筋活動時間様相について検討している。 長谷川62)の報 告によると、 関口筋筋放電活動が終了する前に閉口筋筋放電活動が観察 され、

この筋活動 のオーバーラップ現象は中杭性の調節とともに関口筋の伸展による 閉口反射に より生じることを、 加えて、 この現象は運動の頻度を増すと著明に 現れたとしている。 本研究では毎分 90回よりも 速 い頻度で 開閉口運動を行っ ていた被験者が40名中9名に 観察され、 このオーバーラップ現象が生じてい たと考えられた。

穎頭点の移動 量については、 塩津22)は10名の被験者の矢状面内限界運動を 計測し全運動軸点の前後的移動量は

17.8+3.8mmで、あったことを、

同様に 中島ら83)は20名の正常者において17.11+2.92mmで、あったことを報告 している。 本研究では、 80穎頭、で平均15.6 7+2.6 4mmとこれらの報告 と比較して小さかった。 これも、 開閉口運動の頻度が速いために小さめ の値を 示したと考えられる。

( 3 )最大 速度について

最大速度についての報告は関口量と比較して著しく少なく、 岨噂運動57)や小

および中等度の関口量の開閉口運動48,56)に関する報告がほとんどである。 本研 究で規格した運動と同じ条件の運動を計測した報告69,70)は僅かであり、 さらに

実測値を記載したものは極めて少ない。 また、 いずれも切歯点についての報告 である。

-53-このうち、 Cooperら69)はMandibul訂Kinesiographを用いて26名の正常者の開

閉口運動を計測し、 21名、 76%の被験者において最大速度が30 0 mm/sec に達しなかったことを報告している。 また、

Feineら70)も同様に1

0名の正常者 の内8名は最大速度が2 5 0 mm/sed-_)_下で、各被験者の平均値の範囲は95---2

8 6 mm/secで、あったこと、 および何人内変動も大きかったことを報告している。

本研究では、 最大速度が3 0 0 mm/secに達しなかった被験者は、 男性8名、 女 性11名、 計1 9名の47.5%であった。 また、 最大速度が2 5 0 mm/secに 達しなかった被験者は、 男女各2 名の4 0名中4名、 伺人の平均値の範囲も1

7

2

. 5 9 --- 4 4 3. 0 4 mm/ secであった(表4 )。 このように、 最大速度の値 は本研究の方が大きな値を示した。 これは、 Cooperら69)および、Feineら70)の方法

は、 センサ部が頭部固定式のため測定時の頭部動揺の影響で測定精度が低下す ること、 同様の理由で測定時に頭部動揺を最小限にするために頭部を意識的に 動かさないような状態で測定した可能性があることなどの要因が考えられ、 本 研究の結果のほうが被験者伺人の顎機能をより忠実に反映していると考えられ た。

Feineら70)はまた、 実験の規格が適切になされれば速度による 顎機能の判定が

可能なことは示唆しているものの、 測定結果から考えてかなりの不安定性があ ることを考察している。 この点でも、 運動の規格は極めて重要な位置を占める と考えられるが、 最高速度の値だけで機能異常を評価することは困難であり、

定量的な解析とともに定性的な解析の必要性が示唆される。

この他に最大速度の実測値を記載したものとして、

Toolsonら48)は正 常者2

8名に中等度の開閉口運動をできるだけ速く5団連続で行わせてシロナソグラ

フで記録し、 切歯点の垂直的移動量は29.8+4.5mm、 最大速度は関口相で

ドキュメント内 開閉口運動の速度解析に関する研究 (ページ 54-76)

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