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結果および考察

第2章 :「製品設計」のための構造方程式モデリングの応用

2.1 官能評価データの構造化とその利用:バニラアイスのおいしさモデルの構築

2.1.5 モデルの頑健性の確認と改良

2.1.5.3 結果および考察

(A)おいしさモデル4(6 変数モデル)の頑健性の確認

前節で最終的に採択したバニラアップアイスの「おいしさモデル4(6変数モデル)」を 仮説モデルとし今回収集した 237 名のデータの 2 群データ(非明示 117 名/明示 120 名)に 適用し、平均構造のある多母集団モデルで 2 群の差異を記述、各商品ごとに上述の5つの モデルについて適合度を算出し、最終的に最も適合のよいモデル をそれぞれ選択した。こ の結果、すべてのモデルで構造不変が成り立ち、その頑健性が示された。各商品ごとに選 択されたモデルとその適合度を表 2.18 に示す。

なお、12 商品別に、パッケージ明示群、非明示群それぞれに個別に 6 変数モデルで分析 した場合の適合度が表 2.19 であり、いずれの適合も悪くない。これからも構造の頑健性が 示されたと言える。

表 2.18 各サンプル毎に選択されたモデルの適合度( 6 変数モデル)

表 2.19 おいしさモデル4(6 変数モデル)の個別分析の適合度

(B)バニラカップアイスのおいしさ モデル5(13 変数モデル)の検討

モデルの検討経過を踏まえて 6 変数モデルを改良し、より詳細な評価構造モデルとして 観測変数を増やした 13 変数モデル(図 2.9)を検証する。分析は 6 変数モデルと同様に、

平均構造のある多母集団の同時分析の利用し、モデルの制約をはずしながら、パッケージ 非明示群と、明示群の違いを検証するが、ここではより詳細に表 2.20 に示す8つのモデル で検証した。ケース数が 237、変数数が 13 と大きいためp値はいずれも 0 と算出されてし まうため、AIC と RMSEA を中心に CFI を参考にしながらモデル選択を行う。表 2.21 に各商 品で選択されたモデルの適合度を示す。

表 2.20 おいしさモデル5(13 変数モデル)の検討モデル一覧

表 2.21.各サンプル毎に選択されたモデルの適合度( 13 変数モデル)

パッケージの明示・非明示の違いを 13 変数モデルの平均構造のある多母集団モデルで 分析した結果、12 品すべてで構造配置および測定不変が成り立った。うち、4品について は、強因子不変(model2)が選択でき、潜在変数の平均値のみが、パッケージ非明示群、

明示群での差異という結果となった。

13変数モデルの母数推定値を解釈し、各商品ごとに選択されたモデルの、パッケージ非 明示群に比べた明示群の特徴をまとめたのが表 2.22である。これらのいずれもが、製品の 特長と関連づけて解釈可能であった(詳細な母数推定値は、付表 1~付表5として節末に記 載)。

概要としては、パッケージを提示した群では、低価格の100円商品で評価が有意に低く、

逆に 250円の高級タイプ商品では、評価が有意に高い傾向があり、価格の影響が大きいこ とが推察できた。また、パッケージ明示群は非明示群に比べて商品の特徴が増幅される方 向に評価されていることが読み取れた。特に 20:エッセルと 37:ゼロなどで顕著で、エ ッセルは、ORが他の製品にくらべ低く結晶が大きいため、風味がさっぱりしている反面、

やや舌触りが荒くなるという製品特徴が強化されており因子平均としてその特徴が読み取 れた。パッケージ明示効果としては、「食感の好み」因子が、「風味の好み」因子よりも有 意差が出やすい傾向があった。37:ゼロ「砂糖不使用」表示・91:ローソン「ニュージー ランド産」表示の影響など特徴的な言葉が記載されている商品では、対応する 風味因子の 平均が有意に大きいことから、言語情報の影響も推察できる。測定不変は成り立つが誤差

観測変数の誤差分散はパッケージ明示群の方が小さい傾向があり 、パッケージ明示によっ て、評価が集団として一致していることが読み取れた。また、model5および6が選択さ れた3商品では、因子間相関は小さくなる傾向が見受けられ、風味が良ければ触感もよく、

くせも好みである、といった因子の共変動関 係が、パッケージを提示した群では、より独 立に評価されている様子も読み取れた。

各因子から総合的なおいしさへのパスを見ると、全ての商品において F1 風味の好みか らのパスは有意で 0ではなく、F2食感の好みおよびF3くせの好みからのパスよりも推定 値が大きい。また、F2食感の好みおよびF3くせの好みからのパスは有意ではない商品も あり、すべてのパスが有意であったのは S37ゼロだけであった。また、パッケージの非明 示、明示でパスに統計的な差異があったのは、S64のハーゲンダッツだけであった。全員 が認知し、店頭接触しており、最も販売額の大きいこの商品では、パッケージ明 示の効果 がきわめて大きく、パッケージを見せることで、F1風味の好みからのぱすだけではなく、

F2食感の好みからのパスも有意となった。

表 2.22 商品別パッケージ明示群の特徴