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第 3 章 下水処理水の生態影響の評価

3.4 下水中に含有する成分の寄与の推定

3.4.3 結合残留塩素

本研究室で作製したモノクロラミンを用いた藻類生長阻害試験の結果を図3.5に示す。2 回の藻類試験を行った結果、最大無影響濃度NOEC、EC10、EC50はそれぞれ1回目0.01 mg/L、

0.0119 mg/L、0.0215 mg/L、2回目0.005 mg/L、0.0075 mg/L、0.0145 mg/Lであった。平均は、

NOECが0.0075 mg/L、EC10が0.0097 mg/L、EC50が0.018 mg/L、となった。

また、残留塩素濃度が高かった下水処理水B、Gの遊離残留塩素と結合残留塩素の保存中 の濃度変化を測定した。図3.6に示すように、下水処理水中の残留塩素濃度は経日的に減少 していった。濃度が高かった結合残留塩素は一日後にはほぼ半減していた。式3.13 を用い て処理水B、G中の結合残留塩素の半減期を計算すると、処理水B、Gでそれぞれ27時間 と39時間であった。

鈴木ら2,14)は、淡水(藻類の生育培地)中のモノクロラミン(NH2Cl)は極めて安定に存在す

ることを報告した。遊離塩素と結合残留塩素NH2Clの半減期はそれぞれ約30時間と250時 間と見積もられた。Hao ら 35)も非酸化性物質の存在しない淡水では、NH2Cl の濃度が

𝑑C

𝑑𝑡= −𝑘𝐶 (3.13)

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0.45~13.4 mgCl2/Lの範囲において濃度と関係なく極めて安定であることを示した。しかし、

清浄な試験水で行った先行研究とは異なり、本研究では下水処理水中に共存している有機 物等の還元性物質との反応で、処理水中の結合残留塩素の減衰が促進された可能性がある。

また、下水処理水中の結合残留塩素と藻類への影響の関連を検討するために、藻類への生 長阻害が認められた処理水B、D、F、G及び第1、2回モノクロラミン試験中の各結合残留 塩素濃度と藻類阻害率との関係を図3.7にまとめた。どの試料の場合でも結合残留塩素濃度 が増加すると、阻害率が高くなる傾向が認められた。特に結合残留塩素濃度が0.01~0.1 mg/L 付近に達してから、阻害率は増加し始めた。つまり、結合残留塩素の生長阻害影響が試料中

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

cont 0.00125 0.0025 0.005 0.01 0.02 0.04 長速度(d-1)

クロラミン濃度(mg/L)

I MEAN±SE(n=6,3) ** P<0.01

* P<0.05

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4

cont 0.00125 0.0025 0.005 0.01 0.02 0.04 長速度(d-1)

クロラミン濃度(mg/L) I MEAN±SE(n=6,3) ** P<0.01

* P<0.05

**

図3.5.1 1回目クロラミンの藻類試験結果 図3.5.2 2回目クロラミンの藻類試験結果

図3.5 クロラミンの藻類試験結果

**

**

0.01 0.1 1

0 1 2 3

濃度(mg/L)

経過日数(日) 図3.6 試料中残留塩素の減衰

B遊離残留塩素 B結合残留塩素 G遊離残留塩素 G結合残留塩素

指数(B遊離残留塩素)

指数(B結合残留塩素)

指数(G遊離残留塩素)

指数(G結合残留塩素)

38 の濃度がが0.01 mg/Lより高い場合にあらわれる。

しかし、処理水の場合の結合残留塩素濃度と藻類試験の生長阻害率との関連をみると、モ ノクロラミン単独で行った実験に比し、より高濃度の結合残留塩素でしか影響が現れない ことから、毒性が緩和されている傾向が示唆される。試験期間中に、処理水の結合残留塩素 の分解が共存物質の作用で促進されたことが推察される。また、処理水 F においては結合 残留塩素が増加しても、生長阻害の増加が認められなかった。その要因として、処理水Fで は、生活汚水中に多く含まれている栄養塩の関係で毒性影響がマスキングされた可能性が 考えられる。

-20 0 20 40 60 80 100

0.001 0.01 0.1 1

結合残留塩素

結合残留塩素濃度(mg/L)

図3.7 結合残留塩素濃度と藻類生長阻害率の相関図 処理水B

処理水D 処理水F 処理水G

モノクロラミン1 モノクロラミン2

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