第 5 章 合流式下水道の雨天時越流水の生態影響の評価
5.3 実験結果及び考察
5.3.1 水生生物への影響
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表5.2 一般水質項目と測定方法
測定項目 測定方法
水温* 白金温度計(SST-100PT, SANSYO製)
pH* pH計(pH/COND METER D-54, 堀場製)
DO* DO計(ProODO, YSI製)
T-P、T-N 工業排水試験方法JIS K0102
TOC TOC計(multi N/C2100S, Analytikjena)
電気伝導度* pH/COND 計(METER D-54, 堀場製)
硬度 キレート滴定法29) アルカリ度 中和滴定法29)
大腸菌群数 デオキシコレート寒天培地平板培養法
元素分析 ICP-MS
陰陽イオン イオンクロマトグラフ法
(IC, MODEL 14, Dionex社製) 注)* 現地で測定した項目
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とが推定されたとの報告もある。本研究では毒性同定評価を実施していないが、こうした物 質の寄与の可能性もある。
図5.2(2)はCSOsの生物応答試験結果TUcを示している。7試料のうち5試料が水生生
物に慢性毒性影響を与えていた。水生生物のうち、甲殻類に対して最も大きな影響を与えて いた。甲殻類への毒性影響が最も強かったC4は、TUcが20である。つまり、この試料が 甲殻類に与える毒性影響をなくすために、少なくとも20倍希釈する必要があると考えられ る。また、初期越流水C2、C3-1は藻類と甲殻類とも影響が認められた。経時的に越流した
試料C3-1、2、3の毒性影響は徐々に減少している傾向が認められた。越流水中の毒性原因
物質の濃度が経時的に、雨水に希釈され、毒性影響が減少していったと推察される。しかし、
路面排水等に含まれる道路塵埃等に由来する重金属等の微量有害化学物質を含む堆積物の 再浮遊が CSOs の汚濁負荷の発生源に大きな寄与を占めていることも報告されており 34)、 越流水の毒性原因物質は生活汚水と路面排水の両者に起因する可能性がある。また、越流水 の放流がセントローレンス川に与える影響を物理化学評価法と生態評価手法を用いて評価 した結果、越流水に対して C.dubia が最も感受性の高い種であることが報告されており 4)。 本研究と一致した傾向であった。
図5.2(3)は河川水のTUcを示している。河川水に対する生物応答試験は甲殻類のみ影響
が認められた。未降雨期間が382 hと最も長い晴天時試料R3u、R3dにおける生物影響が最 も低いことが分かった。また、図5.2(3)に示しているように、雨天時の河川水 R4u が甲殻 類に対する影響が最も強く、TUcが40であった。したがって、対象河川においては、雨天 時に越流水や道路排水などの流入が毒性影響を与えた可能性が考えられる。特に、河川沿い には小規模な金属関連の事業場が点在しており、発生した粉塵などが雨天時に路面排水と して流入した可能性がある。
近年、公共用水域(河川水)を対象として、生物応答試験を実施した例が報告されている。
全国の環境基準点28か所の河川水を対象に3種の生物応答試験を適用した事例では、本研 究と同様にニセネコゼミジンコへの影響が最も検出されたことが報告されている22)。また、
名古屋市内の16河川の河川水について、影響評価を行った結果、一部に強い生物影響が見 られ、比較的高濃度で検出された重金属の影響が示唆された23)。
以上、図5.2 に示しているに三種の水生生物の試験結果TUc では、生下水、越流水及び 河川水に対して最も感度よく検出した生物種とも甲殻類であった。次いでに藻類、魚類の順 で、魚類については全ての試料から毒性影響が検出されなかった。他の報告事例にもあるよ うに、複合的あるいは未知の汚染を評価する場合に生物応答試験、特に、甲殻類の試験が有 用であることが示された。現時点ではまだ限られた知見ではあるが、公共用水域における生 物多様性の保全のため、生物応答試験による越流水の影響調査を継続的に実施し、毒性原因 物質を探索する必要がある。
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5 10 15 20 25
C1-1 C1-2 C2 C3-1 C3-2 C3-3 C4
TUc
(2) 越流水 0
5 10 15 20 25
W1 W2 W3
TUc
(1) 生下水
藻類 甲殻類 魚類
0 10 20 30 40
R1 R2d R2u R3d R3u R4d R4u
TUc
(3)河川水
図5.2 生物応答試験結果、a: TUc≦1.25、影響なし a a a a a
a a a a a a a a a a a a a
a a a a a
a a a a a a a a a a
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