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経営資源の引継ぎを契機とした労働生産性の向上

第 4 章 小規模事業者の企業間連携及び事業承継による労働生産性の向上

第 4 節 経営資源の引継ぎを契機とした労働生産性の向上

第2-4-15図 経営資源の譲り受けの内容

0 10 20 30 40 50 60

顧客・販売先 機械や車両

などの設備 技術や

ノウハウ 店舗・事務所・

工場などの 不動産

従業員 その他

資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「小規模事業者等の事業活動に関する調査」(2017年12月)

(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

2.経営資源の譲り受けの有無について「譲り受けたことはある」とした者について集計している。

(%)

(n=570)

54.2

41.9

24.9

16.8 14.0

3.9

③直近3年間の売上高の傾向(経営資源の譲り受 け有無別)

第2-4-16図

は、経営資源の譲り受けの有無別 に見た直近

3年間の売上高の傾向を見ている。経

営資源を譲り受けたことがある事業者の方が、譲 り受けたことがない事業者に比べ、直近

3年間の

売上高は増加傾向となっている。

第2-4-16図 直近3年間の売上高の傾向(経営資源の譲り受け有無別)

経営資源を譲り受けた ことがある(n=570)

増加傾向 横ばい 減少傾向

33.7 43.0 23.3

小規模事業者の企業間連携及び事業承継による労働生産性の向上

第 4 章

秋田県秋田市の藤田鮮魚店(従業員3名、個人事 業者)は、昭和30年に創業した鮮魚販売業者であっ た。後継者の藤田正仁氏が、高齢の父に代わり実質 経営者として経営してきた。保育園等への生鮮魚介 類の卸売事業のほか、個人向けに小売事業(店頭販 売と移動販売)も行っていた。地域の人口減少と高 齢化が進む状況で、特に小売事業の売上が伸び悩み、

藤田氏は後継者として事業を運営していく上で将来性 に不安を抱えていた。

他方、秋田県秋田市の株式会社蔵吉フーズ(従業 員5名、資本金1,000万円)は大手では対応できない 様々な注文に応じた水産加工品・鮮魚等を病院、介 護施設、ホテル等に販売、またインターネットでゴル フコンペ賞品の注文も全国から受けていたが、佐々 木和雄社長が60代となったことをきっかけに、年齢・

体力を意識して早めの事業承継を考えた。社内に適 当な後継者がいなかったため、事業承継について河 辺雄和商工会や県の事業承継相談推進員に相談した ところ、秋田県事業引継ぎ支援センターを紹介され

M&Aの説明を受けた。

藤田氏は、同商工会青年部長の経験があり、商業 振興組合理事長も務めるなど人望が厚かったことから、

同商工会経由で株式会社蔵吉フーズのM&Aの打診 を受けた。藤田氏は、同商工会を介して株式会社蔵 吉フーズの事業内容や財務状況について詳しい説明 を受けると、既存の事業と商圏が重ならずシナジーを

発揮できる事業者だと判断し、M&Aを行う決断をし た。

藤田氏は、M&Aの手続きを進めるために事業引 継ぎ支援センターに相談した。そこで専門の公認会 計士の紹介を受け、財務デューデリジェンスや各種契 約書の作成等を支援してもらった。また、商工会と事 業引継ぎ支援センターは連携して、藤田氏の事業計 画書の作成や資金調達策の検討等を支援した。資金 面については、引継ぎ時期のスケジュールがタイトで あったが、秋田銀行から協力を得て資金調達を行っ た。

手続き完了後、藤田氏は株式会社蔵吉フーズの代 表取締役に就任した。経営ノウハウについては、当 面佐々木氏が取締役として社内に残ることで、スムー ズに引継ぐことができた。現在は、株式会社蔵吉フー ズに藤田鮮魚店の事業を統合させて営業している。

「小規模な個人事業でしたが、支援機関のサポート のおかげでM&Aを行うことができました。複数の専 門家が連携して支援してくれる体制が整っていたこと が、非常に心強かったです。M&Aは帳簿上の資産 だけでなく、顧客やノウハウ等の経営資源も引き継ぐ ことができ、事業の拡大に効果的です。事業を引き 継いだこれからがより大切になるので、支援機関と連 携してさらなる経営革新を図っていきます。」と藤田 氏は語る。

事 例 事例2-4-4:藤田鮮魚店、株式会社蔵吉フーズ

「複数の支援機関のサポートを受け、M&Aにより個人事業と法人を統合させた事例」

社長の藤田正仁氏 加工作業の様子

2

小規模事業者の労働生産性の向上に向けた取組

4

高知県高知市の株式会社澤田機工(従業員12名、

資本金1,000万円)は、砂利採取船や運搬船等に用 いる船舶用クレーン部品製造を主力とし、各種産業 用の機械部品、環境整備機械部品等の金属機械加工 を手掛けている。

同社は1959年に創業し、澤田保男社長が2代目と して1992年に事業承継をしたが、3代目となる後継者 が不在のため、2013年に廃業の検討をはじめた。澤 田社長が2014年12月、後継者不在を理由とした廃業 の相談を取引銀行である四国銀行に行ったところ、他 社への事業譲渡(M&A)の提案を受けた。そこで、

四国銀行の取り次ぎで高知県事業引継ぎ支援セン ターへM&Aについて相談した。

2015年、金属製品製造業の田村プラント工業株式 会社(従業員34名、資本金1,000万円)は、事業拡 大や業務効率化等を目的とした企業買収を希望し、

高知県事業引継ぎ支援センターに相談していた。

2016年3月、事業引継ぎ支援センターを通じ、両

社のマッチングが実現した。田村プラント工業株式会 社が株式会社澤田機工を買収することを決めた理由 は、同社が有する機械加工技術、設備、顧客であっ た。

M&Aの仲介は両社と取引実績のあった四国銀行 が担当した。両社は、事業引継ぎ支援センターや高 知商工会議所の支援を受けながら、営業権の取扱、

資産価値の算定等に関して協議・調整を重ね、2016 年8月に株式譲渡の形で無事成約に至った。

現在、同社は田村プラント工業株式会社の子会社 として事業を継続している。子会社化以降新たに雇用 した従業員により従業員の平均年齢が若返り、熟練 工から、多能工化を目指す若手への技術継承が進め られている。また、田村プラント工業株式会社では、

株式会社澤田機工が有する機械加工技術を活かした 付加価値向上に取り組み、今後、高品質生産による 受注の拡大、新事業の展開を狙っている。

事 例 事例2-4-5:株式会社澤田機工

「後継者不在のなか、M&Aにて会社を譲り渡すことで事業を継続した企業」

小規模事業者の企業間連携及び事業承継による労働生産性の向上

第 4 章

3 事業引継ぎ支援センターは、産業競争力強化法に基づき、中小企業者等の後継者マッチング等を支援するために設立された専門機関である。

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