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第 1 章 小規模事業者の人手不足と業務の見直し

第 1 節 では小規模事業者の人手不足感が強まっ ている傾向であることを確認した。本節では、 第

2 経営者の従事している業務と削減意向

①経営者が従事している業務

ここまでは、経営者の労働時間について見てき たが、ここからは経営者は実際どのような業務に 従事しているかについて見ていくこととしたい。

第2-1-17図

は、経営者自身が従事している業

務について見たものである。小規模事業者におい ては、経営者は幅広い業務に従事していることが 分かる。経営者の担当する業務の範囲が広いた め、人手不足への対応は「経営者の労働時間を増 やし対応」となりやすいと推察できる。

第2-1-17図 経営者が従事している業務

75.8

64.9 64.3

61.4

54.6 53.3 51.5

45.3 44.0

39.0

0 0.7 10 20 30 40 50 60 70 80

商品やサービ

(営業、接客、スの販売 決済を含む)

資金調達 商品やサービ スの製造・

生産(受注、

仕入を含む)

経営計画の

策定 顧客管理 商品やサービ スの企画・

開発・設計

在庫管理 財務・会計

(記帳) 人事・採用 給与管理・

勤怠管理 その他

資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「小規模事業者等の事業活動に関する調査」(2017年12月)

(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

(%)

(n=4,587)

2

小規模事業者の労働生産性の向上に向けた取組

2

②経営者自身の業務時間削減の意向

第2-1-18図

は、経営者自身が従事している業 務のうち、自身の業務時間を削減したい業務があ

るかを見たものである。半数以上の経営者が、自 身が従事する業務のうち削減したい業務があると 回答している。

第2-1-18図 経営者自身の業務時間削減の意向

55.7

44.3 削減したい業務がある

削減したい業務はない

資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「小規模事業者等の事業活動に関する調査」(2017年12月)

(注)ここでいう「削減したい業務がある」とは、いずれかの業務で経営者の業務時間を削減したいと回答した者をいう。

(%)

(n=4,587)

③従事している業務別に見た経営者自身の業務時 間の削減意向

第2-1-19図

は、いずれかの業務で経営者の業 務時間を削減したいと回答している経営者が、従 事している業務ごとに削減したいと回答した割合 を示している。削減したい業務の内訳を確認する

と、

「財務・会計(記帳)」

「在庫管理」

「給与管

理・勤怠管理」といった間接業務を削減したいと する割合が高い。他方、

「経営計画の策定」の削

減意向割合は低く、経営者自身の担う業務として 重視されていることが分かる。

小規模事業者の人手不足と業務の見直し

第 1 章

第2-1-19図 従事している業務別に見た経営者自身の業務時間の削減意向

65.9

45.6 45.4

41.6 39.1

35.6

23.5

20.6 19.0

13.4

0 10 20 30 40 50 60 70

財務・会計

(n=1,347)(記帳)

(n=1,422)在庫管理 給与管理・

(n=1,189)勤怠管理

商品やサービス の製造・生産

(受注、仕入

(n=1,721)を含む)

商品やサー ビスの販売

(営業、接客、

決済を含む)

(n=2,020)

(n=1,545)顧客管理 資金調達

(n=1,860)商品やサービス の企画・開発・

(n=1,533)設計

人事・採用

(n=1,350) 経営計画の策 定(n=1,729)

資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「小規模事業者等の事業活動に関する調査」(2017年12月)

(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

2.いずれかの業務で経営者の業務時間を削減したいと回答している者について、従事している業務ごとに削減したいと回答した割合を 示している。

3.「その他」の項目は表示していない。

(%)

間接業務の削減意向が高い

④経営者の時間に余裕があれば注力したい取組 第2-1-20図

では、経営者自身の時間に余裕が あれば注力したい取組について聞いている。業務 の幅が広く忙しい小規模事業者の経営者である が、もし時間に余裕ができれば「売上向上に直接

つながる業務に注力したい」とする割合が58.7%

で最も高い。業務を効率化すれば、経営者は生産 性向上に直接つながる業務に注力できるというこ とが分かる。

第2-1-20図 経営者の時間に余裕があれば注力したい取組

58.7

33.0

26.3 26.0

18.5 17.4

0 10 20 30 40 50 60 70

売上向上に直接 業務に注力したいつながる

技術やトレンドを

把握したい 人脈形成に

つとめたい 経営ノウハウを

取得したい マネジメント業務に

注力したい 特にない

資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「小規模事業者等の事業活動に関する調査」(2017年12月)

(注)複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

(%)

(n=4,587)

2

小規模事業者の労働生産性の向上に向けた取組

2

埼玉県寄居町の株式会社カケハシ・スタイル(従 業員4名、資本金300万円)は、2000年に創業し、

60〜70年代ロックCDを中心に扱う買取及び販売の ネット専門店「カケハシ・レコード」を運営している。

「ロック探究のワクワク感」を売ることを理念に掲げ、

顧客が新たな作品と出会えるように、独自の情報発信 を行い、大手のECサイトにはない付加価値を提供し ている。

田中大介社長は、創業当時、全て自らの手作業に よってネットショップを運営していたため、深夜まで働 くことも多かった。「売上を今後伸ばしていくためには、

付加価値を生む仕事に比重を置く必要がある」という 考えのもと、IT導入による単純作業の削減を目指し た。ITについては、社長自らプログラミングやデータ ベースを独学し、社内で地道な改良を重ねていった。

従業員入社後には、ITを駆使して業務標準化を行い、

社長のみがノウハウを持っていた中古CDの値付けや 輸入CDの受発注の業務を、社長以外の従業員でも できるようにしていった。

現在は、在庫データ、顧客データ、査定データ、

発信コンテンツを全てクラウド上で一元管理し、デー

タを連携させることで、作業時間を減らす業務効率化 と顧客ニーズに合わせた効果的な情報発信を実現し ている。自社開発システムだけでなく、無料のクラウ ドサービスも活用することで、従業員同士の情報共有 とコミュニケーション促進にも積極的に取り組んでい る。従業員は、互いの進捗状況や考えをリアルタイム で把握することができるため、自分の判断で業務を効 率的に行うことができ、自主性も生まれている。

こうしたITによる業務効率化によって、現在は業務 のほとんどを従業員に任せている。田中社長は、大 幅に削減された業務時間を使って、寄居町商工会の セミナーへの参加や勉強を行い、中小企業診断士の 資格も取得した。現在はITコンサルタントとして寄居 町の小規模事業者にITの導入支援を行うなど、新た な事業領域を開拓している。

「小規模事業者であっても、クラウド等の普及により IT活用による業務の効率化を進めやすくなっていま す。しかし、地域の小規模事業者はITを活用して困 りごとを解決できると気付いていない事業者も多くい ます。商工会と一体で支援を続けます。」と田中社長 は語る。

事 例 事例2-1-1:株式会社カケハシ・スタイル

「IT利活用により経営者の業務を効率化し、新たな事業を展開した企業」

小規模事業者の人手不足と業務の見直し

第 1 章

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