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紫外線

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第 2 章 オゾン層および紫外線の状況

2.2 紫外線

2010年の紅斑紫外線量の年平均値は、1994~2008年平均と比べ、つくばで多く、札幌・那覇で 並だった。南極昭和基地の紅斑紫外線量の月平均値は、オゾンホール時期(9~12 月)の全ての 月で並だった。札幌、つくば、那覇の年積算紅斑紫外線量は、観測を開始した1990年代初めから 緩やかな増加傾向にある。

気象庁における紫外線観測は、1990年につくばで開始し、現在は国内3地点および南極昭和基地 で実施している。国内3地点における2010年の毎日の紫外線の強さの変化を、日最大UVインデ ックス(用語一覧参照)の年変化として図3.2-9 に示す。UV インデックスは、特に太陽高度との 関係から1年のうちでは夏に大きく、地域的には低緯度で大きくなる。紫外線に対する対策が奨め られているUVインデックス3以上の日は、那覇では1年を通して、北に位置する札幌でも3月か ら 10 月にかけて観測されている。日々の観測値が大きくばらついているのは主に天気の変化によ るものであり、紫外線に与える天気の影響を意味している。

2010年の紫外線量の状況を、紅斑紫外線量(用語一覧参照)日積算値の月平均・年平均値として 図3.2-10 と表 3.2-1に示す。1994~2008 年の平均と比べ、札幌では年平均では並であったが、4 月、7月、12月はいずれもその月として過去最少となった。つくばでは年平均で多く、6月と8~9 月に多かった。特に、8月はその月として過去最多となった。那覇では年平均では並であったが、4

~5月、7月と11月に少なかった。特に7月はその月として過去最少となった。これらの特徴は、

主に各地点の天気の状況を反映したものとみられる。また、図3.2-11に示す南極昭和基地の月平均 紅斑紫外線量日積算値は、オゾンホールの時期である9~12月は、全ての月で並だった。

年積算紅斑紫外線量の経年変化を図3.2-12に示す。札幌、つくば、那覇の3地点における地表に 到達する紅斑紫外線量は、観測を開始した1990 年代初めから緩やかな増加傾向がみられる。札幌

2000 5

2.1.3 南極域上空のオゾン層・オゾンホール

2010年のオゾンホールは8月に現れたが、9月中旬までは過去10年間の最小規模であった。そ の面積(南緯45度以南でオゾン全量が220m atm-cm以下の領域となる面積)は9月25日に2010 年の最大である2,190万km2まで発達した(図3.2-5、図3.2-6)。その後、11月にかけて過去の同 時期と比べ大きくなったが、12月上旬からは急激に面積が縮小し、12月22日にオゾンホールは消 滅した。2010年のオゾンホールの年最大面積は、1990年以降では3番目に小さかった。この原因 として、オゾン層破壊の促進に関係する6月から8月の南極域上空の低温(-78℃以下)の領域が 小さかったことが考えられる。このように、オゾンホールの規模はその年の気象状況等との関連で 変化する。しかし、成層圏のオゾン層破壊物質の総量は 1990 年代後半のピーク後も多い状態が続 いているため、オゾン層が破壊されやすい状況は依然として続いていると考えられる。

昭和基地で観測したオゾン全量の日代表値の変化を図3.2-7に示す。9月から10月にかけて、オ ゾンホールの目安である220m atm-cmを下回る状態がほぼ継続しており、10月4日に2010年の 最低値である145 m atm-cmを記録した。11月以降は昭和基地がオゾンホールの外側に位置するこ とが多くなり、オゾン全量が頻繁に220m atm-cmを上回るようになった。12月7日以降は300m atm-cm程度で推移した。オゾン全量を月平均値でみると、全ての月で近年(1994~2008年)の平 均とほぼ同程度であった(図3.2-8)。

3.2-5 オゾンホール面積が年最大を記録した20109 25日のオゾン全量の南半球分布

中央の灰色の部分がオゾンホール。白色の部分は観測値が 得られなかった領域。米国航空宇宙局(NASA)提供の OMI データをもとに作成。

3.2-6 オゾンホールの面積の推移

オゾンホールの面積(オゾン全量が220m atm-cm以下の領域の面積)の推移。左図は2010年の日別の値(赤丸)と過 10年(2000~2009年)の日別の平均値(黒線)およびその期間の最大値・最小値(濃い紫色の領域の上端と下端)の 推移、右図は1979年以降の年最大値の経年変化。なお、南極大陸の面積を横線(1390km2)で示す。米国航空宇 宙局(NASA)提供の衛星データを基に作成。

あった。1990 年以降、世界のオゾン量は、2.1 節で示したように、1990 年代初めに最も少なく、

その後はほとんど変化がないか、もしくは緩やかに増加している。したがって、国内における1990 年以降の地上での紅斑紫外線量の増加を上空のオゾン量の変動に関連づけて説明することはできな い。中緯度の汚染の少ない場所における地上に到達する紫外線量は世界的に 1990年代後半以降ほ とんど変化していないが、ヨーロッパでは増加しているところもある。この増加はオゾン量の状況 から説明できず、雲量の減少など天候の変化やエーロゾル量の減少が原因として考えられている。

国内における紅斑紫外線の増加も同様の原因が考えられる。

3.2-9 2010年の国内3地点における日最大UVインデックスの年変化

丸印は国内3地点(札幌、つくば、那覇)における2010年の日最大UVインデックス、実線は日最大UVインデック スの1994~2008年の平均値。

3.2-10 2010年における月平均紅斑紫外線量日積算値の年変化

国内3地点(札幌、つくば、那覇)における紅斑紫外線量日積算値の月平均値の年変化。丸印は2010年の月平均値。

折線は、1994~2008年の平均値である。縦線はその標準偏差。

3.2-1 2010年における紅斑紫外線量日積算値の年平均値の階級および月平均値の階級(「多い」、「少ない」)

観測地点名 年平均値の階級 月平均値の階級が「多い」月 月平均値の階級が「少ない」月 札幌 9 4月、7月、12

つくば 多い 6月、8~9 2

那覇 4~5月、7月、11

図3.2-11 南極昭和基地における2010年の月平均紅斑紫外 線量日積算値の年変化

丸印は2010年の月平均値。折線は1994~2008年の平均値。

縦線はその標準偏差。

3.2-12 紅斑紫外線量年積算値の経年変化

丸印は札幌、つくば、那覇における紅斑紫外線量年積算値の観測開始からの経年変化。年積算値は、月平均値に月 日数をかけて 12カ月分を積算して算出する。○印は、月平均値が資料不足値(1ヵ月の日別観測数が20日未満)

となる月が含まれることを示す。統計的に有意に増加している札幌についてのみ、全期間の長期的な傾向を直線で 示した。

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