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素因数分解に関する定理を証明します。

ドキュメント内 Fibonacci_square_pdf (ページ 37-53)

 この章は,次の 4 個の定理を証明するための章です。

<定理 4-1>

が整数のとき, を素因数分解したときに, 4 で割ると 3 あまるような素因数は 現れない。

<定理 4-2>

が整数のとき, を素因数分解したときに, 4 で割ると 3 あまるような素因数は 現れない。

<定理 4-3>

が整数のとき, を素因数分解したときに, 4 で割ると 3 あまるような素因数 は,3 しか現れない。

<定理 4-4>

 ある整数が,4 で割ると 3 あまる整数で割りきれるとき,その整数を素因数分解する と,必ず 4 で割ると 3 あまる素数がふくまれる。

 この 4 個の定理を証明するために,「補題 4-1」,「補題 4-2」,「フェルマの小定理」,「フェル マの小定理の別の見方」,「因数定理の利用1」,「因数定理の利用2」,「因数定理の利用3」,

「定理 4-1」,「定理 4-2」,「定理 4-3」, 「定理 4-4」の順に証明していきます。

<補題 4-1>

が素数で, が と互いに素な整数のとき, を で割っ たあまりはすべて異なる。

 (証明)  もし, と とが,同じあまりを持っていると仮定します。

 ここで, としても,一般性を失いません。

と の, で割ったときのあまりをどちらも とすると,

のように表すことができますから,

ですから,

は で割り切れることになります。

 よって, の素因数の中に がふくまれているはずですが, は と互いに素なので を素因数に持っておらず, は, も も から の間にある数なので, と の差(つまり, のこと)が, 以上に広がるこ とはありえず, は 未満の数になるので, を素因数に持っていませ ん。

 したがって, も を素因数に持っていないことになり,矛盾していま す。

 矛盾の原因は, の中で, で割ったときに,同じ あまりがあるのが存在すると仮定したからなので,あまりはすべて異なること が証明できました。

(証明終)

<補題 4-2>

 整数 を 整数 で割ったときのあまりを とす

ると, は で割り切れる。

 (証明)

 ………

とします。一般的に, です。

に関する数学的帰納法で証明します。

のとき, ですから, は で割り切れるので,成 り立っています。

のとき, は で割り切れると仮定

します。

 そこで, とします。

です。 (…「式ア」と名付けます。)

 すると, のとき,

(∵「式ア」)

(∵ )

(∵式の展開)

(∵式の整理)

(∵分配法則)

ですから, は で割り切れま

す。

 よって,<補題 4-2>は証明されました。

(証明終)

<フェルマの小定理>

が素数で, が と互いに素な整数のとき, は で割り切れる。

 (証明) は, と互いに素で, も と互いに素ですから,

も, と互いに素なので, で割ったときに割り切 れることはありません。

 そこで,

 ………

とします。

 すると, は 0 ではなく,しかも補題 4-1の,

が素数で, が と互いに素な整数のとき,

を で割ったあまりはすべて異なる。

により,すべて異なっています。

 すると, は,順番は変わっているかも知れませんが,

全体としては, と同じです。

 ですから,

(…「式ア」と名付けます。)

となります。

 ところで,補題 4-2により,次のことがわかっています。

 整数 を 整数 で割ったときのあまりを

とすると, は

で割り切れる。

 いまは, 整数 を 整数 で割ったときのあまり

を としたのですから,

は で割り切れる。

 整理して,

は で割り 切れる。

 上の式に は 個ありますから,

は で割り切れる。

 「式ア」により, ですから,

は で割り切れ る。

 分配法則により,

は で割り切れる。

 よって, の素因数の中に がふくまれ

ていることになりますが, の素因数の中に がふくまれ ることはないので, の中に がふくまれている,つまり,

は で割り切れることになり,フェルマの小定理が証明されました。

(証明終)

<フェルマの小定理の別の見方>

が素数で, が整数のとき, は で割り切れる。

 (証明) が と互いに素な整数のときは,フェルマの小定理により, は で割り切れるので, も で割り切れることになり,

<フェルマの小定理の別の見方>が証明できました。

が と互いに素でないときは, は を素因数に持つので, とす

ることができ, も

で割り切れることになり,<フェルマの小定理の別の見方>が証明できまし た。

(証明終)

<因数定理の利用1>

が 4 で割ると 3 あまる素数のとき,

を で割ると,あまりは になる。

 (証明) を 2 次式 で割ったときの商を とします。

 あまりは 1 次式になるので, とすると,

 この式は恒等式なので, にどんな値を代入しても,式は成り立ちます。

 そこで,( を 0 にしたいために) に虚数である を代入すると,

 ところで, は 4 で割ると 3 あまる素数なので, とすると,

 ところで, なので,

 また,

 よって,

 したがって,

になるので, となり,<因数定

理の利用1>は証明されました。

(証明終)

<因数定理の利用2>

が 4 で割ると 3 あまる素数のとき,

を で割ると,あまりは になる。

 (証明) を 2 次式 で割ったときの商を とします。

 あまりは 1 次式になるので, とすると,

 この式は恒等式なので, にどんな値を代入しても,式は成り立ちます。

 そこで,( を 0 にしたいために) に虚数である を代入すると,

 ところで, は 4 で割ると 3 あまる素数なので, とすると,

 ところで, なので,

 また,

 よって,

 したがって, なので,

になるので, となり,<因数定理の利

用2>は証明されました。

(証明終)

<因数定理の利用3>

が 4 で割ると 3 あまる素数のとき,

を で割ると,あまりは になる。

 (証明) を 2 次式 で割ったときの商を とします。

 あまりは 1 次式になるので, とすると,

 この式は恒等式なので, にどんな値を代入しても,式は成り立ちます。

 そこで,( を 0 にしたいために) に虚数である を代入すると,

 ところで, は 4 で割ると 3 あまる素数なので, とすると,

 ところで, なので,

 また,

 よって,

 したがって, になるので,

となり,<因数定理の利用3>

は証明されました。

(証明終)

<定理 4-1>

が整数のとき, を素因数分解したときに, 4 で割ると 3 あまるような素因数は 現れない。

 (証明)  背理法によって証明します。

が,4 で割ると 3 あまるような素因数 を持っていると仮定します。

 すると, は で割り切れます。 (…「仮定ア」と名付けます。)

 ところで, を で割ったとき,割り切れる場合と割り切れない場合がありま すが,どちらにしても矛盾することを,これから証明します。

 まず, を で割ったとき,割り切れる場合を考えます。  商を とすると,

となりますが,そのとき, となり,

を で割ると 1 あまることになります。

 つまり, を で割っても,割り切れないことがわかり,「仮定ア」に矛 盾します。

 次に, を で割ったとき,割り切れない場合を考えます。

 このときの証明には,<因数定理の利用1>を使います。

<因数定理の利用1>によって,次のことがわかっています。

が 4 で割ると 3 あまる素数のとき,

を で割ると,あまりは になる。

 いま, が,4 で割ると 3 あまるような素因数 を持っていると仮定し ているのですから,その を使って,

(…「式イ」と名付けます)

という式を作ることができます。ただし, は多項式です。

 ところで,<フェルマの小定理の別の見方>によって,

が素数で, が整数のとき, は で割り切れます。

 また,「仮定ア」により, は で割り切れるのですから,

も で割り切れます。

 「式イ」である,

において, は で割り切れ, も で割り切れるので すから, も, で割り切れることになります。

 つまり, は という素因数を持っていなければならないのですが,

は という素因数を持っているわけがないので, が, という素因数を 持っていることになり, は で割り切れることになります。

 しかし,いまは, が で割ったとき,割り切れない場合を考えているの ですから,これは矛盾です。

 よって, を で割ったとき,割り切れる場合と割り切れない場合があり ますが,どちらにしても矛盾することが,証明できました。

 矛盾の原因は, が,4 で割ると 3 あまるような素因数を持っている と仮定したことにあります。

 仮定が否定されたので, は,4 で割ると 3 あまるような素因数を 持っていない,つまり, を素因数分解したときに,4 で割ると 3 あま るような素因数は現れないことがわかりました。

(証明終)

<定理 4-2>

が整数のとき, を素因数分解したときに, 4 で割ると 3 あまるような素因数は 現れない。

 (証明)  背理法によって証明します。

が,4 で割ると 3 あまるような素因数 を持っていると仮定します。

 すると, は で割り切れます。 (…「仮定ア」と名付けます。)

 ところで, を で割ったとき,割り切れる場合と割り切れない場合がありま すが,どちらにしても矛盾することを,これから証明します。

 まず, を で割ったとき,割り切れる場合を考えます。  商を とすると,

となりますが,そのとき, となり,

を で割ると 4 あまることになります。(ただし, のときは,

ですから,1 あまります。)

 つまり, を で割っても,割り切れないことがわかり,「仮定ア」に矛 盾します。

 次に, を で割ったとき,割り切れない場合を考えます。

 このときの証明には,<因数定理の利用2>を使います。

<因数定理の利用2>によって,次のことがわかっています。

が 4 で割ると 3 あまる素数のとき,

を で割ると,あまりは になる。

 いま, が,4 で割ると 3 あまるような素因数 を持っていると仮定し ているのですから,その を使って,

(…「式イ」と名付けます)

という式を作ることができます。ただし, は多項式です。

 ところで,<フェルマの小定理の別の見方>によって,

が素数で, が整数のとき, は で割り切れます。

ドキュメント内 Fibonacci_square_pdf (ページ 37-53)